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らせんのような共鳴を感じる
ピアノをたたくゆびの柔さに似た
無邪気さの中で吸う空気
どこまでも青くひろがる
世界の端っこで
どうしようもなくうばいあっては
求めあう
わたしと君のすが ....
海の中にいた
ここは地球なのだが
靴を脱いでいるから
地に足が着かず
やわらかい席の
おしりの感触が消えそうで
前の席の 男の子 女の子
野鳥のさえずりに似ている
夏は タンパク質 ....
商売女の膝で眠る
彼女は19歳
大人びた手つきで
僕の髪を撫でる
これまでの
どんな女性よりも
優しく
まるで
ビリー・ホリディの
歌声みたいに
時々僕の髪をつまむ
....
秋を潤わす金色の木立は
この時季、配色に惑うのです
茜色に染まった夕陽は
黄熟した稲穂を金色に光らせ
時を刻む砂時計に全てを託した
ざわめきと胸の鼓動は止まらない
....
屋久島の暮らしでは
無数の鯖が
村人達の手から手へとまわり
こころからこころへとめぐり
一匹の鯖を手に
樹木のように立つ老人は
不思議なほどに
目尻を下げる
夜明 ....
しがらみに追いつかれた
雨上がりの宵の口
ゆらゆらと裏通りを歩けば
アーケードの端にかかる立待月
前のめりのふりをして
探していたのは出口
つらつらと磨いた逃げ足で
袋小路に駆け込ん ....
だまって
いないで
すきなように
きみののぞみを
だいじょうぶだよ
いつもそばにいるから
すきなみちを
きみがきめていいんだ
だましちゃ
いけない じぶんのこころ
すきなこ ....
080913
ガス抜きを致しますと
クエン酸
パチンコ屋のご亭主は
幼児はお金がないから
遊べないよと
すげない顔して
駄菓子屋の親父に下駄を預け
古く ....
ゆっくりと
息を止めるように一日を仕舞う
箱の中のガラクタはいつも
明日になれば綺麗になっているから
ゆっくり、と
息を
ここ、に戻す
主のいなくなった
家の、傾き
通り沿い ....
生まれてすぐに言葉を食べた
降る雪のように冷たい言葉
それは小指の爪のように
やわらかく甘く
そっと僕の心臓に住まった
なんだか涙が出そうで
手のひらを握ったりしていた
つぼみが ....
とても幸せそうな家庭だった
それなのに
僕が帰ると言うと
君は泣きそうな顔をして
つまらなそうにうつむくのだった
いつか君も
僕の家に遊びに来た
垢にまみれた泥の顔をして
即 ....
影を落としたのでしょう
その想いのそばに
闇を忍ばせたのでしょう
その言葉のすみに
誰に伝える事もない
誰に触れる事もない
ついのすみか
....
{引用=玉子の親じゃ、ぴよこちゃんじゃ、ぴっぴっぴよこちゃんじゃ、アヒルじゃぐぁーぐぁー。}
(一)
「兄ちゃん、コイツをくんねぇ」
カーバイトランプに照らされた
みか ....
初めて会う人の顔の真ん中に
或いは胸の真ん中に
おへその辺りに
とにかくその人の中心線に
隙間がないかどうか
確かめる
それは
ある時はボーリングの球くらいの大きさだったり
ある時は米 ....
かみさまという鏡のような未来は
ぽろぽろとこぼれながら
なにか悪い事を口にしかけて、
小さくなっていく産声
どうやらここは初めから
ちきゅうという
名前もないどこか遠いところ
....
先生、あのね
アメンボ赤いなあいうえおっていうけど
僕は黒いアメンボしか知りません
先生、あのね
今日もお父さんはいろんな人を裁きました
テレビの前で、ビールを飲みながら、ニュースを見て ....
季節も
コンピュータも
風も
液晶画面も
叫びたいほどの
この孤独を
呑み込んでいく
そのたび
余計に孤独になりそうな気がして
あてもなく
答えのない何かを
探し始め ....
不機嫌そうな空は好き
よくできた心模様
ぐずりかけた空が好き
声を上げて泣きだすといい
突き抜けるような空が
心から憎い日は
本当の気持ちを ....
ずいぶんと歩いていた
ぼんやりとそれだけはわかる
ふくらはぎの痛みの感覚は通り越して
いつか読んだ本の陳腐なストーリーのセリフみたいに
「それでも行きたい先がある限り歩くんだ」 ....
空が流れて
夏が止まって
指をのばせば
静かな想いを
星をみつけるまで
まだ帰らないで
とまった景色を
衣にして
まとう
無言蜻蛉、するりするり
夕陽が焼ききる
あな ....
生きる意味について
考える事ができる
食べ物がないのなら
飲む水がないのなら
意味など考えないだろうに
明日生きることだけを
考えるだろうに
自分の中の本能に忠実に生きるだろ ....
テレビの電源を
オフにする
それだけでは
現実と私は切り離せない
と知ると
カーテンを開け放って
現在と対峙する
朝焼けも
夕暮れも
物悲しく過ぎた日の
言葉を吐くことを
一 ....
彼はいつも、四つ足を
ぴたりと大地につけている。
一体何が本当に
天から彼に
与えられたものなのか
ぢっと開いた丸い目で
夜の{ルビ静寂=しじま}を見抜く
蛙のよう ....
080910
夾竹桃に絆されて
ここまで来たのです
行きたい場所に
連れて行ってやると
いわれ続けて50年
もうこれ以上登れない
階段の先を眺め ....
祭りの夜は渦巻く貝殻
空はずっと青かった
水の流れをずっと聞いていた
草を噛むとたちまち苦みが
口なかに広がって 星が銀河が
水のように押し寄せて来る
あれは
ケンタウルスのきら ....
たまゆらぐ
あきのひとみで
草のなかにかくれた
君をきいている
何かにすがりつきたいふうな君は
細い、ほそい線になって
なまみの月を仰ぎ
永いときを抱え
ふるえる
{引用=
....
カシャとピストル撃って、たたんで
カシャとピストル撃って、たたんで
工場作業は朝9時朝礼からはじまる、それは社会の無機物の一部になる瞬間
値付けは季節の移りかわり直前とボーナス直前が一番忙し ....
どうやらここがとてもとても明日で
透明なはずのここは鈍く曇っていて
上を見上げればちょっと青みがかっていて
(水槽だよな)
なんて
ぼんやりしてみたりもする
息苦しいのはきっと酸欠だから
....
彼女の晩年は
ほんにんの生き恥をさらすものだった
ひとに気を使わせては
かげではひどく落ち込んで
それには素直になれずに
しかし正直すぎるように生きていた
がん ....
駅前の公園で
大人になることをまだ知らない僕は
彼女の帰りを待つ友達のふかした
煙草の煙を吸い込んで
萎れた茎のような心を直視してしまう
どうしようもないから
雲の多い夜空を見上げた
そ ....
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