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眼を閉じよ
どんな風景が
どんな制裁が
君をここまで連れてきたのかを想像せよ
踏みつぶされた
ひとつひとつの物語を噛みしめて
陽の下でのあらゆる可能に背を向けて
夜の中での不可能に随伴す ....
確かに
すべての物語は 語られた
それは真実
疑うことの出来ない 真実
だが
人々の ひとりひとりの
それぞれの物語はいまも
日に
夜に
生まれつつある
やがて
歩くものとなる物 ....
あまりにも長い一日だったな
そう あまりにも長い
頭の中で 声と声が話し合う
俺は二重人格なのだ
ひとりの俺は勇猛果敢で
もうひとりの俺はあまりにもなさけない
あまりにも長い午後だな
そ ....
彼は
街角の信号機に吊るされている
頸に
太い縄を巻きつけられて
どんな罪なのか
どんな過ちなのか
それを知る者は誰もなく
彼は吊られながらも 笑っている
それはひとつの風景
この世 ....
世界は正常で
人間は生まれた時から既に正しいと
信じる脳天気な操り人形たち
彼等のはきはきした口調
輝く瞳を尻目に
いま空高く
首が飛ぶ
もう数世紀も前に胴体から切り離されて
わが骸を ....
ふらふらと
さまようのか
群集よ
醒めている目を閉じて
開いている口を噤んで
ふらふらと
朝から 夕へ
夕から 夜へと
たださまようのか
群集よ

君たちはまぼろし
まぼろしの ....
そして佳境に入った祝宴は
いつ果てるともなくつづく
せめて笑え
君は死んだ
君の生は
もう明るい陽を無条件に享受することはない
倒立した塔を褒めたたえ
これら魔の巣窟に敬礼せよ
そう
 ....
 詩誌「荒地」に所属していた詩人たちの中でも、北村太郎の存在は一種特異である。鮎川信夫のように出発時に先頭に立つこともなければ、田村隆一のように低空飛行しながら生き延びることもない。最初期にはいかにも .... ひるがえる
水の分子
玉となって
雨となって
降りそそぐ
鳥でさえも
ひるがえる
水の玉に
水のために
ひるがえり
ゆっくりと落ちてくる

空を見る
地に視線を落とす
ひる ....
飛行機の夢を見た
滑空する
雲の上の翼
その下にたたずみながら
許されずに在る 自らの境涯を
針のように感じていた

そんな 夢だった
朝の空気は変らずにひんやりとしていて
世界中の ....
 数年前、引越しの際に荷物を整理していたら、和室の天袋の中から、昔父が書いた詩の原稿が出てきた。以前から、僕の父親は若い頃に詩を書いていたらしいと、聞いてはいた。だが、僕の知る父の姿からは詩を書くこと .... 不幸な者が飢えるのは
あまりにも遠くを見すぎるためだ
降りそそぐ朝の洗礼に
われわれの首筋は鈍く痙攣する
釣り上げられた魚が
苦しげに未完の呼吸へ焦るように
われわれは前夜の遂げられなかっ ....
私は眠る
掛け蒲団の左右を身体の下に折りこみ
脚をやや開きぎみにし
両手を身体の脇にぴったりとつけた
直立不動の姿勢で
寝袋にくるまる旅人のように
防腐処理を施され
身体中を布で巻かれた ....
 田村隆一は太平洋戦争後の荒廃した社会を的確な詩語で捉え、戦後詩壇を代表する存在になった。と、日本の詩の歴史ではそういうことになっているらしい。僕は言うまでもなく戦後生まれ、それも高度経済成長の真っ只 .... 今日もまた水平に生きてしまった
床に零れた水のように
だらりと二次元に広がる憂鬱
その中で私は
音楽のような殺意を胸に秘めて日常に微笑む
空に観察されている
私は何者でもない

冬の山 ....
こごえる
声の
淋しい温度
舌は口の中に引きこもり
のぼってくる苦い味にじっと耐える
やわらかく
ただやわらかい音のままにこごえる
もえることのない白い声
たとえばここで
たとえばそ ....
橋を渡る
ここから先であえて水の味を嘗める
遠い背後で冷たくなった人びとは
絶句したまま 熱い指を池の面に浸す
最初から順番に数を数えて
今日もまた
汚れた者がひとり
明日もまた
汚れ ....
ひとつの認識から始まる憂鬱
鶏が鳴く
もう朝である
月を背後に負った者は
木の幹の太さを計測して
空にまで届かない溜息を吐く
星の下につぶされた者は
動かない時計を見つめて
色のない繰 ....
混沌の中に
夜はある
夜の中には数多の息が
凍りついたまま存在していて
人々はその下で
ぶざまな眠りを眠っている
君は
やがて忘れ去られる
それが君の運命である
目的を持たない淋しい ....
陽が落ちる
葉が落ちる
その中に埋もれて
誰かの手が落ちている
手首から先を見事に切り離されて
隠れるように静かに余生を送っている
枯れた手の来歴は誰も知らない
気ままな散歩の途中で見つ ....
ぷうわり、ぷん
ぷうわり、ぷん

君はシャボン玉のことをこう呼ぶ
膨らんで飛んでゆくさまが
ぷうわり で
弾けて消えるさまが
ぷん なのだろう

ぷうわり、ぷん
ぷうわり、ぷん
 ....
今夜も 僕はほんの少しだけ世界を忘れる
飛び上がって
ひと思いに刺すことが出来ずに
沈みながら
血迷った逆流に身を躍らせる
時計は残された時を静かに刻み
やせおとろえた夜の下で
僕は僕の ....
果てしない葉の落下
星は脱獄囚のように走り出す
ヤニ臭い黄色い歯が喉笛に噛みつく
もう二度と
歌など歌えないように
新しい蝕の始まりだ
みんなが赤い声を上げて君を待っている

またひと ....
道は渋滞で
バスの中は混み合っていて
みんな一日の疲労でうつらうつらしていて
外はもう真っ暗で
バスはなかなか進まなかった

ドアの側に坐って
ぼんやりと前を見ていた
ふと目に留まった ....
人ひとり
やっと通れる狭い森の道で
ひらひらと
枯葉が舞っている
ひらひらと
枯葉が落ちている

冷たくなり始めた風に押し流されて
ひらひらと
枯葉が舞うのは当然のこと
ひらひらと ....
夏のかかとは海を渡る
渡って向こう側の大陸へとたどりつく
潮くさいにおいに魚どもも逃げ出し
伸びる砂浜ほどの清潔さを持たない

夏のかかとは山を渡る
渡って峰から峰へと踏み越える
傲慢な ....
公園の片隅で花が咲き
人びとの心の中にも花が咲き

そよそよと
良い香りの風が吹き
そわそわと
気のはやりがちな人はあせり出し

山の斜面にも花が咲き
人びとのくらしの中にも花が咲き ....
僕は淋しかった
または、淋しくなかった

だから 僕は森を歩いた
だから 僕は空を仰いだ
しんしんと
珍しくも降ってくる雪に合わせて
その降ってくる音に合わせて
僕は息を吐いた

 ....
宇宙の深淵から
水がひとつぶ
滴り落ちる。 。 。
と、
いのちたちはいっせいに水際に集まり
それぞれに
祈りの言葉をつぶやく
遠い場所で起こった恩寵に
いのちの囁きは共振し
星の瞬 ....
荒野の中に人柱が建つ
立ったまま
石と化して
柱のように天に伸びる人の残骸
人生に遅刻した者
あるいは 人生から早退した者の
群れが
向日葵のように咲き揃っている
そんな人柱の
列石 ....
ふるるさんの岡部淳太郎さんおすすめリスト(152)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
オカルト- 岡部淳太 ...自由詩4*05-5-9
物語- 岡部淳太 ...自由詩7*05-5-7
あまりにも長い- 岡部淳太 ...自由詩3*05-5-5
鋭角の風景- 岡部淳太 ...自由詩6*05-5-2
異常気象- 岡部淳太 ...自由詩5*05-4-30
群集挽歌- 岡部淳太 ...自由詩4*05-4-24
流体静物- 岡部淳太 ...自由詩2*05-4-20
北村太郎(その詩と死)- 岡部淳太 ...散文(批評 ...12*05-4-17
水玉記念日- 岡部淳太 ...自由詩12*05-3-22
飛行機の夢- 岡部淳太 ...自由詩5*05-3-15
父が書いた詩- 岡部淳太 ...散文(批評 ...6*05-3-5
終着の浜辺- 岡部淳太 ...自由詩7*05-3-3
夜毎の木乃伊- 岡部淳太 ...自由詩11*05-2-22
田村隆一(その詩行のかっこよさから語る)- 岡部淳太 ...散文(批評 ...30*05-2-20
私たちの空- 岡部淳太 ...自由詩9*05-2-19
寒い声- 岡部淳太 ...自由詩3*05-2-15
水瓶座の朝と夜- 岡部淳太 ...自由詩6*05-2-6
遠い旅- 岡部淳太 ...自由詩6*05-2-2
忘却- 岡部淳太 ...自由詩6*05-2-2
落手落葉- 岡部淳太 ...自由詩4*05-1-29
ぷうわり、ぷん- 岡部淳太 ...自由詩5*05-1-23
午前0時の黙祷- 岡部淳太 ...自由詩3*05-1-21
境界線をまたぐ- 岡部淳太 ...自由詩2*05-1-18
求めています- 岡部淳太 ...自由詩10*05-1-16
歌_4- 岡部淳太 ...自由詩3*05-1-15
歌_3- 岡部淳太 ...自由詩3*05-1-15
歌_2- 岡部淳太 ...自由詩3*05-1-14
歌_1- 岡部淳太 ...自由詩5*05-1-14
水宇宙- 岡部淳太 ...自由詩6*05-1-13
人柱- 岡部淳太 ...自由詩4*05-1-13

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