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自転車を漕いでる
全速力で
ふみきりまで
息子を荷台にのせて
遠くから汽笛の音が聞こえる
蒸気機関車だ!

夢をみていた
眠りにつくまで
SLを夢みる
少年だったはずなのに
 ....
 
景色を
琥珀色に染めながら
涙のように零れてしまう
煙が風に揺れてる

力いっぱい泣く
汽笛はいつも
理由も知らずに
旅立ってしまった僕らのように
涙をこらえてる

繋がり ....
 
ぶるぶるとふるえてる
風もないのに
双葉のような腕を
ふるわせて

僕の息子だ
それはまるで捨てられたように
道端に生える雑草と
何がちがうというのだ

それが僕の息子である ....
 
本家にはいつも
猫がいた
本家とよばれる所には
いつだって
猫がいるのだった

お盆とお正月に
本家に帰ると
やはり猫がいた
けれどもその猫は
おなじ猫ではなかった

お ....
 
僕は釣りに飽きて
木陰に隠れて自慰した

木陰から戻ると
大きな鯉でもかかったのか
父に借りた釣竿が
遠く沖に浮かんでいた

それは時々
生き物のように動くのだった

ボー ....
 
野菜が野菜の味がしないし
なによりも
僕が僕の味がしないから
ごはんは船に乗った

旅に出るつもりではなく
綺麗な女の人に会うために
船は川でも海でもない
水があるところならどこ ....
 
いろんな空が
ひとつの空で
暮らしてる

言葉もなく
言葉ばかり集めて
あの頃
僕は
何を見てたんだろう

こんな空がある
あんな空もあった
そこで
暮らした日々よりも ....
 
焼け落ちた
羽がまた羽のように
はばたいてる

焼く前よりも羽らしく
空気をとらえ
空気におぼれながら
屋根の上に
鳥がいる

まだ飛べない
幼い鳥の声がする
途方にくれ ....
 
こうえんから
おばけのこえが
きこえました

おばけじゃなくて
ぼくのこえだよ
おばけはいいました

やっぱりおばけだ
みんなは
わらっていいました

そういうみんなも
 ....
 
これでいいのだ
なんていうと
いいことだけではなかったことも
思い出しそうだから

バカボンのパパよ
あなたは
いつも無表情なのに
端的な
その言葉の奥に揺れてる
瞳だけがあ ....
 
神社の階段を登る
人を追いかけて
無意識のまま
僕も登る
人になっていた

声が聞こえる
それは
ヒグラシの声かもしれないし
その日を暮らした
僕の声かもしれなかった

 ....
 
 
 
村のしくみ


西の空に
捨てられた村がある

誰もがそこで
暮らすことができた

今日は村長さんの
誕生日だった

まだ生まれてなかった


+

 ....
 
西の空に
家があった

東の空にあるのは
僕の家だった

さらに
その東の空には
田畑があった

こんなところに
家が建つなんて

祖母が言った
あの頃が懐かしい
 ....
 
こどもができたの
と、いうと
嘘をつけ、といわれ
生まれてきたのは正真正銘
ロボットの赤ちゃん
の、はずだったのに
人間の
あなたの赤ちゃんよ

それでも
ロボットの子供にふ ....
 
汗をかいたので
洗濯して
ベランダに干す

ここは海が近いから
命の
匂いがする

書店で本を開いても
どれも白紙なので
選択は
できなかった

もう
言葉などいらな ....
日曜日の午後は
ここからはじまる
たくさんの
命の庭

話したり
話しかけられたり
平日とは違う
あんパンを
ほおばってみたりした

午前中
僕は眠っていたので
午後は
知 ....
 
どうして
ぼくは
ここにいるの

きづいたら
せかいのてっぺんで
しゃれいを
うけとっていた

こどくでも
かいかにひとの
けはいさえあれば
ここは
ここでありつづけた ....
人になりたかった
人に憧れて
その日を待っていた

等しく並べて
輪郭をつくると
それは人間だった

近づいては遠ざかる
消えそうな
わたしの輪郭

人は人がいなければ
人 ....
ある日家に帰ると
コインロッカーがあった
お父さんも使っていいのよ
妻が言うけれど
いったい何のために使うのか
僕にはわからなかった

それでも
次々とうまっていく
コインロッカー ....
生きたまま
乾いてる
かさぶたをはがすと
地下鉄は走り
首都圏は湿りながら
鼓動を返す

洗濯機が
すこししずつ
ホームに近づく
近づくものを
選択して脱水する

 ....
世界のすべてが橙に染まり
この世ではないまでに
あなたの顔も
わたしの指先までも甘く
飴色の光の一部なのに
すべてはあたりまえの日々の一日の
夕暮れに過ぎないのに
記憶のひとつに ....
いつまでも
空想してるので
年老いたことも知らない

ランドセルを背負って
横断歩道を渡れば
簡単なことだった

この畑には
背の低い木があったはずだ
僕と年輪を同じくして  ....
僕はものごころついたときから
自分によく似た大人を見てきました
それはずっと
父親だと思ってましたが
本当は自分の息子かもしれないと
最近では思うようになっているのでした

息子はまだ ....
真夜中
港まで自転車で走る
橙のあかりが点々と
その下に一人
また一人と
釣り人が並んでる

釣れますか
聞いても誰もこたえない
みな透明だから
二人乗りしてきた友人も
いつのま ....
歌詞をわすれた歌手が
案山子になって
仮死してる

観客は稲穂になって
空をからすが飛んでいる

沈む夕日に
染まれずに浮かぶ
くろい雲がひとつある

産声をあげて
案 ....
近くて遠い
海底の故郷に別れを告げ
電車に乗って
少しずつ遠ざかる
私の体は群れをなし
回遊魚となって
思いめぐる寒流の
水面に浮かんだ
そこは近くも遠くもない
今の私の終着駅 ....
ありもしない
過去を記憶として
ありもしない
今を現象として
ありもしない
未来を描き尽くす
夢はありもしないのに
ありもしえたものとして
それがわたしの
世界のすべてだった
そんなことは言わないと
きっと君は言うから
言わずに黙ってる

ああ、そうして今夜も
何も話さずに
暮れてしまった

僕は堪えられず
今日一日が終わるまで
眠る君に ....
五月が
裏口から入ってきて
玄関から出ていくところだったので
私は少し呼び止めて
今こうして二人でお茶を飲み
別れを惜しんでいます

何もはなさずに
はなすことなどもうなくなったから ....
鼓動する
線路上の心臓の
信号ではじまる旅
信号で終わる旅

点滅する
信号の果てにある
命の駅

信号は
出会いの青だから
別れの赤だから

動脈と静脈が
行き交う街に ....
kauzakさんの小川 葉さんおすすめリスト(354)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
臨時列車- 小川 葉自由詩1008-10-6
蒸気機関車- 小川 葉自由詩4*08-10-4
赤児と緑児- 小川 葉自由詩2*08-10-2
毛を舐める猫- 小川 葉自由詩7*08-9-23
しまい忘れた風鈴- 小川 葉自由詩3*08-9-20
遡航- 小川 葉自由詩5*08-9-11
故郷の空- 小川 葉自由詩408-8-21
屋根の鳥- 小川 葉自由詩208-8-6
みんなおばけ- 小川 葉自由詩7*08-8-3
これでいいのだ- 小川 葉自由詩308-8-3
神社- 小川 葉自由詩4*08-8-2
世界のしくみ- 小川 葉自由詩6*08-7-31
西の家- 小川 葉自由詩108-7-29
妊婦のロボ子さん- 小川 葉自由詩6*08-7-26
言葉などいらない- 小川 葉自由詩908-7-26
休日- 小川 葉自由詩708-7-21
ペントハウス- 小川 葉自由詩708-7-17
人間の輪郭- 小川 葉自由詩508-7-8
コインロッカー- 小川 葉自由詩6*08-7-6
生乾き- 小川 葉自由詩2*08-7-3
夕暮れ- 小川 葉自由詩408-6-27
道草- 小川 葉自由詩508-6-21
桜桃- 小川 葉自由詩408-6-19
- 小川 葉自由詩1108-6-18
たえがたくうたわれたうた- 小川 葉自由詩3*08-6-15
終着駅- 小川 葉自由詩608-6-12
夢想- 小川 葉自由詩208-6-6
そんなことを言う- 小川 葉自由詩308-6-1
五月- 小川 葉自由詩608-5-20
鼓動する信号- 小川 葉自由詩4+*08-5-19

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