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金曜の夜
僕は誰かを探しに行く
誰もいないその街へ
つめたいビールが飲みたくて

土曜の朝
知らない誰かと眠ってる
眠りから覚めれば
またひとりぼっちになるから
夢を見つづける ....
 
だって
家族はコンピュータだから
のひとことで
だれもが無口になった
そのことが不思議でしょうがない
子供が欲しがるものといえば
ファミリー・コンピュータ

わたしたちは家族です ....
 
ただしい船が
たくさん
海に浮かんでいる

沈まずに
まっすぐに
まちがいのないところへ
向かって進みながら
ただしさだけを保っている

嵐にでも遭ったのか
うちあげられた ....
 
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした

できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
 
下校中
ぼくは君の背中ばかり
見ていた気がする

とても小さな水が
生まれる場所をめざして
いつもの帰り道は澄みわたりながら
永遠みたいに流れていた

君の背中はとても自由に見 ....
 
なつかしいひとよ
あなたのことを
わたしは知らない

なつかしいひとよ
記憶とは
つくりものでしかなかった

なつかしいひとよ
はじめて会った日のことを
覚えているだろうか
 ....
 
夜空を歩いてたら
サンタクロースに会った

そのことを君におしえたくて
さがしたけれども
みつからない
君ははじめからこの世界に
いなかった気がしてくるのだから
不思議なものだ
 ....
 
おなじ水が
おなじ水のほうへ
ながれてゆくように
僕らは
さかなになりました

僕らはいつしか
濡れたからだで
水辺に立ち尽くしていました

はじめて会った
気がしませんで ....
 
あなたと
ともに死ぬつもりになって
恋をしたい
というときの
あなたとは
あなたなのか
あなた以外なのか
そのどちらでもないのか
わからないまま
あなたと恋をしたい
わたしが ....
 
つたわらないのは
ことばなの
あるいはぼくの
そんざいなの

あなたは
残り香になって
いつもここからいなくなる

この初雪みたいに
かたちもなくとけてゆく
てのひらのなか ....
 
無鉄砲な人ほど
やさしい人はない
人を撃つことの
痛みを知ってるから

無鉄砲な人ほど
ひどい人はない
人を撃つことで
守ることができたのに

社会は答えを
ただのひとつさ ....
 
木枯らしに吹かれて
落葉たちが駆けていきます
その先で
誰かが待ってるかのように
子供たちが
追いかけていきます

それは
生きるための
練習のようにも見え
あるいはいつか死 ....
 
開けっぱなしの窓から
雨が零れている

前にも同じ
失敗をしたことがある

ひとりぼっちで
濡れた床を
拭いていたことがある

誰かとお別れして
後悔していた
ことがある ....
 
約束をした
もうひとりのあなたと
あなたには
内緒で

約束のことを知らない
あなたは
なぜかいつもより
やさしかった
気がした

ひとを裏切ることが
ひとをやさしくして ....
 
僕らは
指定席とよばれる
ひとりずつ与えられた席にすわって
ときには時速三百キロメートルを超える
レースドライバーのように
ふと孤独の恐怖に気づいたかと思えば
またすぐに慣れてしまっ ....
 
その噴水のある公園に
二十五になったばかりの
僕がいる

もしまだそこにいたならば
連れてきてほしい

そこにいてかまわないと
前置きしてから
やさしい声で伝えてほしい

 ....
 
つめたく湿った朝
目がさめると
屋根から鳥の足音が聞こえる

降り立って
昨夜の戦況を
せわしなく伝えていた
兵士の声は力尽き
衛生兵の途方に暮れた
足音が聞こえる

数匹 ....
 
こどもの頃
お正月とお盆になると
母の実家に行った
山々にかこまれた盆地に
田んぼが海のように湛えられ
島のように点々と
街や集落が浮かんでいた

遠くに見える
おおきな島に駅 ....
 
待ってる
ということは
生きてる
ということだから
待ってくれなかった
そのひとは
死んでしまったのかもしれない

遠くから
改札口を見つめるそのひとは
待ってる
というよ ....
 
満月が
おおきくくちを開けて
新月になる
夜空をひとつ
噛み終えるまで

いくつもの時を食べつくし
それでもなお
夜はおとずれる

無数の星は彼らの目だ
今日もどこかで
 ....
 
釣りは飽きてしまったようだ
さかながいないからしかたがない
父さんだけが夢中になって
往生際がわるかった

ふりむけば
木のベンチで息子がねむってる
一億年前から
そうしていたよ ....
 
きのうの夜
妻とけんかしたのだ
きっと疲れていた
今日は帰りたくなかった
だから僕は家の前を通りすぎていった

同じ色の
とても小さな家が
線路沿いにつづいてる
青でもなく緑で ....
 
僕と妻にとてもよく似ていて
そのどちらにも
似てはいない
それが彼なのだ

君はいったい
誰なの
と息子の目を見てそう問うと
不思議な顔をしてる

ふと思い出す
僕と妻は
 ....
 
日陰に咲く花の
黒々と生えそろう髪とは対照的に
透けるように肌の白い
女を都会で見かけた

窓越しに
ハンバーガーを食べ
南中する真昼の太陽から逃れ
安堵したように
煙草を斜め ....
 
恋文を書いたつもりでした
まったく何年ぶりなのでしょう
こんな気持ちは
なんども破り捨てようと思いましたが
結局そうすることもできずに
他の誰にもわからないように書きました
あなた以 ....
 
ひとり遊びしてると
きゅうに孤独を感じることがある
ひとり遊び
という言葉を知らなくても
たしかに僕は孤独だった

夜遅くに
父さんが帰ってくる
忙しくて食べられなかった
と言 ....
 
みわたすかぎりの草原でした
一頭二頭と牛が産まれると
そこは牧場とよばれました
牛は子供のように戯れて
やがて大人になると柵を越えていきました
柵をこえずに残る牛もいました
牧場とい ....
 
本家の夜更け
障子のむこうの影を
目で追いながら
人の鼾と鼾を調和させ
命のありかを探すように
それらの影と音は
まだ幼い眠りの夢のように
瞬きを絶やさず生きのびていた

これ ....
 
獣たちがさわいでる
奪われたものを奪うため
あの山なみの
とても深いところで

秋の次には冬がきて
春はかならずやってきて
めぐりめぐって谷底を
ながれる夏の
水はもうなかった ....
 
斜路を行く
山脈をのぼりつめて
そのむこうには
街がある

ひとは呟く
おさない子供のように
どうして汽車は
ひとを乗せて行ってしまうの

はく息が白い
煙のように
あら ....
kauzakさんの小川 葉さんおすすめリスト(354)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
つめたいビールが飲みたくて- 小川 葉自由詩4*08-12-5
_ファミリー・コンピュータ- 小川 葉自由詩3*08-12-3
ただしい船- 小川 葉自由詩408-12-2
椅子- 小川 葉自由詩21*08-11-30
初恋- 小川 葉自由詩408-11-29
なつかしいひと- 小川 葉自由詩408-11-27
プレゼント- 小川 葉自由詩6*08-11-24
おなじ水のほうへ- 小川 葉自由詩1208-11-23
「無鉄砲社会読後感」の読後感- 小川 葉自由詩608-11-21
初雪- 小川 葉自由詩408-11-21
無鉄砲社会- 小川 葉自由詩6*08-11-19
子供たちの秋- 小川 葉自由詩708-11-17
失敗- 小川 葉自由詩308-11-16
約束- 小川 葉自由詩408-11-15
指定席- 小川 葉自由詩4*08-11-12
写真- 小川 葉自由詩308-11-11
鳥たちの雨- 小川 葉自由詩308-11-8
傷跡- 小川 葉自由詩308-11-5
待つということ- 小川 葉自由詩208-11-5
夜を噛む- 小川 葉自由詩8*08-11-4
一億年前の休日- 小川 葉自由詩2008-11-2
- 小川 葉自由詩308-11-1
不思議なこと- 小川 葉自由詩508-10-28
アイデンティティ- 小川 葉自由詩2*08-10-26
解凍パニック- 小川 葉自由詩4*08-10-25
ひとり遊び- 小川 葉自由詩12*08-10-24
牧場- 小川 葉自由詩8*08-10-17
本家- 小川 葉自由詩508-10-16
世界山脈- 小川 葉自由詩408-10-8
斜路- 小川 葉自由詩2*08-10-8

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