すべてのおすすめ
ふるさと
というものが
わからなくなって
しょもつのいえに
あなたはかえる
かえって
みたところで
わかったような
かおをして
なみだぐみ
ぺえじをめくる
....
スーパーにいくと
果物ばかり買ってくる
もう一人
いるみたいに
声はしないのに
それはたしかに
+
骨をのこして
魚はいってしまった
これが最後です
....
あめがふると
くさがはえていた
いのちが
うまれるのは
なぜだろう
あめに
なまえがないのは
なぜだろう
それで
やくにたっている
ここにいることが
....
不在票が
届いている
裏の公園の
桜が散ったのだ
こんなにたくさん
さよならを伝えたくて
春が終わっていたのだ
私がいない時に
どうぶつは
おとなになってもなく
うれしいときも
かなしいときも
ここにいるよと
いってるみたいに
にんげんはどうだろう
ためしにないてみると
どうしても
....
むねからひばながでる
ぜんまいのおもちゃであそんでいたのは
きのうのことだった
そぼがそれをみていた
それはきのうのことではなかった
さんじゅうねんの
としつきがすぎて ....
きゅうじつ
のっぱらにねころんで
そらをみている
くもが
すこしずつ
かたちをかえながら
いそがしそうに
そらをながれていく
あれはあれで
しごとをしているのだ
....
息子が
ひらがなを
逆さまに書いた
いつから僕は
鏡の世界に
いたのだろう
左から分けた
髪が右に
そよいでいく
街宣車の怒号も
静かな春に
よく馴染んで ....
てのひらを
みみにあてると
なみのおとがきこえる
そのうみを
いっぴきのおおかみが
わたっていく
とおいむかしに
ほろんでしまった
くにのしきちに
さくらがさいている
....
また首になりそうだよ
顔のない父が言う
もうとっくに切り落とされた首を
また切り落とされるまで
明日もできるだけ頑張って
働きにいく
もの心つくまで
父の首が玩具だった
....
声が聞こえる
とても遠いところから
すぐ近くから
ここにいるよと
声が聞こえる
わたしの隣の席から
贈り物が届いている
箱を開けると
欲しかったものばかり
微 ....
母さんに
ブティックを
プレゼントしてあげたい
もう街にいかなくていい
大好きな洋服が
売るほどあるのだから
試着室で
好きなだけ
試着することができる
しば ....
伝えたい気持ちを形にして
あなたに届けたいけれど
そもそも私には形がなかった
とでも伝えたいのだろうか
どこかから吹いてきた風が
もう一つのどこかへと走り過ぎていく
その向こう ....
言い訳のように
日は昇り
言い訳のように
日が沈む
言いたいことがあった
その日は
もうここにない
ここにはない
言い訳ばかりが
空と海の隙間
地平線で
まだ ....
立ち食いそば屋で
夕飯を食った
客のほとんどは
お酒を飲んでいて
立てなくなると
ざるそばを食って
次々と去っていった
素数について
話している客がいた
立て ....
父が釣りに連れてってくれた
それから数日後か
数ヵ月後か
数年後なのか
忘れてしまったけれど
近所のおじさんか
同級生か
はたまたいもしない
兄なのか
とんびなのか
カ ....
父さんが
なれなかった父さんに
なろうと思う
父さんは
自動車が好きで
僕は
自転車が好き
自転車に乗る
父さんを
僕は見たことがないし
自動車を運転する
僕を父さ ....
アメリカを好んだ
わたしから
アメリカを除くと
わたしだけが残った
アメリカが
わたしなのではなかった
フロリダも
シスコも
ロスも
わたしが好む何かではなくて
それは ....
ほしいものも
いらないものもない
とあなたは
いったけれども
パンツをはかずには
いられなかった
ぼくらのまっしろな
そのむこうにある
ここにはたしかに
ちがうところがあ ....
小さな頃から夢だった
エスカレーターを家に取り付けるため
大人になると僕は
さっそく業者を呼んで相談した
ところがこの家には
二階も地下室もないので
どこまでも上り続けるか ....
見えているもの
それが少し
へんなものであっても
僕らは生きることに
必死だ
街ですれ違う人たちが
冷蔵庫だとしても
見えているもの
それが少し
へんなものであっても ....
懐かしいことをしている
八十歳になった
私が今を
そんなふうに思い出す
つまらないことをしたね
本当に
つまらないことばかり
してたね
遠い目をして懐かしむ
八 ....
夕日が沈むと
真っ黒な紙を空にしきつめ
穴のたくさん開いた
空の向こうから
いろんな色の
ランプを照らしてる
私たちは
それが星であるかのように
夜空を見上げている
....
蛇口をひねると
水の流れる音がして
母の声が聞こえる
何を言ってるのかわからないのに
それは声であることがわかる
蛇口をしめると
母の声は止む
雫が数滴零れると
泣いて ....
手をつなぐと
僕らはまた
別な生きものになっていた
それは家族だったり
友情だったり
恋だったり
そんな名前で
手をつなぐ
生きものは呼ばれていた
ここには
....
玉葱のにおいがしている
玉葱が匂いになって
何かしている
夏祭り
まだ日は高く
午前中のうちに宿題を終えた
小学生たちが集い
がまん大会に参加する
冷水が満たされた青い ....
夜が青く明けてゆく頃
除雪車の音が聞こえている
ひとつの戦争のように
降り積もる雪を魂に置き換えて
作業は続く
まどろむ真冬の月の目は
わたしたちと同じ
出来事だけを音で ....
春の影が歩いている
人のふりをして
わたしのふりをして
わたしが振り返ると
影も振り返る
いったいどんな過去を
振り返りたかったと言うのか
影は
わたし以外に知らな ....
消しゴムで消してしまうと
虹が出来てしまうから
それ以上描けなかった
あなたの顔は
スケッチブックの上で
雨後のように濡れていて
小さな水溜りにある黒子は
ゆらゆら揺れながら
....
春が訪れた
ある晩
列車に乗って
終着駅にたどり着くと
妹はまだ
待ってくれていた
春夏秋冬
それからもうひとつの
季節があった
かつてひとつの
家族でいられた季節
....
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