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羽を跳ねる
パネルを器用にとじて
鳥は止む

空は青く
そのかなたに生えた
おなじ色だけのソーラーを
背中で掴もうとする

てのひらを合わせる
人と人にも似た
ぬくもりから ....
 
仕事をもらった
知らない女の
角質を食べる仕事だった

女の足の中指は
親指より長かった
おれはその指のあたりを
重点的に食べたのだった

足の親指より
中指 ....
 
自転車を漕いでる
全速力で
ふみきりまで
息子を荷台にのせて
遠くから汽笛の音が聞こえる
蒸気機関車だ!

夢をみていた
眠りにつくまで
SLを夢みる
少年だったはずなのに
 ....
 
頂角が
ひとつ消えてしまったなら

残りの頂角も
消えてしまうので

音は鳴るほうへと
響いていった

やがてそれは
指先につるされた
小さな楽器とは思えないほど

宇 ....
 
なぜだろう
ただそれだけのことなのに
いらないものが
少しもない

テレビで見たものを買うよりも
増えていく
たくさんのあなたやあなた
そしてあなたも

それでいて
どこか ....
 
雑音が聞こえる
鞄の中から
聞こえる声を聞きながら
母は呆けた

雑音が聞こえなければ
昔のような
声で母は話した

鞄の中から
雑音が聞こえると
途端に母は
声を濁らせ ....
 
本家にはいつも
猫がいた
本家とよばれる所には
いつだって
猫がいるのだった

お盆とお正月に
本家に帰ると
やはり猫がいた
けれどもその猫は
おなじ猫ではなかった

お ....
 
父さんと
楽天の試合を見にいった
けれども本当は
野球よりも球場を一周する
小さな汽車に乗りたかったから
父さんは入場券をポケットにしまって
試合が終わるまで
何度も何度も汽車に乗 ....
 
秋に夜が訪れて
炭酸水が流れこむと
暗い海の底
音もなく稲穂が揺れる

えら呼吸をはじめる
溺れないように
母が子守唄を歌う

目を覚ますまで
魚になる
泡をこらえて ....
 
小高い
線路を走る電車から
同じ色ばかりの
屋根を見てる

同じ色の屋根の
あの色の
屋根の下で家族たちに
いったい何が
あったのだろう
と、思うと
もう次の駅に着いてる
 ....
 
冬でもアイスが
買えるようになってから
妹がいる

冬でも愛した
恋人と暮らしてから
それでもまだ
妹がいる

冬にアイスを食べた後
当たりなのか
つい
確かめてしまうよ ....
 
太陽のない
惑星の
生きもののように
夢を見てる

漆黒の意識の中
聞こえない
囀りと
見えない鳥

あの空も
雲も
地平線と
沈みゆく太陽さえ

目を覚ます
 ....
 
この雨の
景色を覚えてる

父に手をひかれ
玄関の
扉をあけた

その時
降りはじめた雨を
あれから僕は
ずっと
見てる気がする


僕の手の中にある
小さな手
 ....
 
金魚だった
時の記憶がよみがえる
透明な水の中で
息をしながら
その向こうに
白い建物が見える
人だった
時の記憶がよみがえる
わたしは今
どちらなのかわからない
夢 ....
汚れた掌に
赤いポストがあるので
たくさんの
手紙を書いた

赤いのは
恥ずかしいからだと
手紙の返事には
いつも
そう書かれていた

あの赤いポストが
今はない

窓 ....
 
どうして
ぼくは
ここにいるの

きづいたら
せかいのてっぺんで
しゃれいを
うけとっていた

こどくでも
かいかにひとの
けはいさえあれば
ここは
ここでありつづけた ....
とけそうと
ひとがいったので
そのとおりですねと
ひとがいったら
そのとおりになって
かたちをとどめながら
ひとはなみだがかわくまで
そうしていた

とけていく
 ....
空から新聞を配達した
鳥が
雲の匂いをさせて
日付変更線をまちがえて

落ちてくる
少しずつ速度を上げて
時はわるびれた様子もなく

記事が
ところどころ切り取られていて
それ以 ....
母さんと間違えて
息子が僕に抱きついてきた

首筋に
ぴったり口をくっつけて
おっぱいみたいに吸ってきた

ああ
母さんになるって
こういうことだったんだ

時計を見ると朝の六 ....
長さが
ちょうどいいので
いつもその道を歩いた

長さは長さ以上に
距離ではなく時間だったから
帰る家もなつかしい

廊下の床がゆるんで音が鳴るのは
散歩と人の長さが
同じ距離に ....
雨の日なば
いっぱい
匂いっこするっけおの

雨の日なば
匂いっこ嗅ぎつけて
いっぱい
犬っこ集まるっけおの

雨の日なば
いっつも
なんかの大会
やってらっけおの

ば ....
週末
接待のため夜中に帰った
けっこう酔っていて
おみやげに肉まんを買って帰った

あっくんが起きてたら
一緒に食べたかったのに

と、言おうとしたのに

あっくんが生きてた ....
グッバイベイビー
きみはまだ
そこにいるのかい

トンネルを抜けると
そこは
まだ雨が降らない
東京駅だった

高層ビルが
山のように建っていて
お洒落だった
遠くの景色が霞 ....
君が牛乳なら
僕はコーヒーだった

国道4号線
右折しても左折しても
そこは鎖骨だったから
かならずてのひらで行き止まりだった

行き止まりの
てのひらを握りあって
 ....
野球を見に行った

試合の途中
本日の入場者数がアナウンスされて
僕が生まれ育った町の人口ほどだった

思わず観客席を見回すと
そこには
懐かしい人ばかりいるような気がした

当 ....
世界がひとつになると
さらさらと
砂の崩れる音がする

幼い頃
ひとり布団の中で
聞いた音と同じだった

朝、家族に
おはようを言う

こんなに幸せな朝なのに
さらさらと
 ....
はかいされたまちが
きおくをとめて
しにたえる

あのかぜは
どこへいくの
きいてもだれもこたえない
どこでもないところに
さっていくから

きこえてくる
はるのあしおと
はき ....
春の土が
炊きたてのご飯のように
顔を出す

そんなご飯
誰も食べないわ
君が言う

君が炊いたご飯なら
僕ひとり
よろこんで食べたのに

おかわりしたら
夏になった
ポケットから詩が零れる
あなた行きのバスに乗り遅れてしかたなく
わたし行きのバスの中だった

乗客のほとんどは
自分に帰るため
僕は少し場違いな葛藤をしてる

発車します
 ....
自分の名前が
しっくり来なくて
他人事のように生きてきた

しっくり来てる
他人の僕は
どこか別な世界で
名前のように
生きてることだろう

いろんな春があった
それなのに
 ....
夏野雨さんの小川 葉さんおすすめリスト(141)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ソーラーパネル- 小川 葉自由詩9*08-10-11
ドクターフィッシュ- 小川 葉自由詩308-10-10
臨時列車- 小川 葉自由詩1008-10-6
トライアングル- 小川 葉自由詩208-10-4
キャベツ畑- 小川 葉自由詩308-10-1
- 小川 葉自由詩17+*08-9-29
毛を舐める猫- 小川 葉自由詩7*08-9-23
僕らの休日- 小川 葉自由詩16*08-9-17
微炭酸- 小川 葉自由詩11*08-9-14
レトロつみ- 小川 葉自由詩2*08-8-24
アイス- 小川 葉自由詩508-8-20
夜球- 小川 葉自由詩5*08-8-20
雨の景色- 小川 葉自由詩308-8-19
夢の中で- 小川 葉自由詩3*08-8-7
ポスト- 小川 葉自由詩508-7-18
ペントハウス- 小川 葉自由詩708-7-17
梅サワー- 小川 葉自由詩208-7-14
あさっての新聞- 小川 葉自由詩3*08-5-24
それでも世界は美しい- 小川 葉自由詩5*08-5-6
むずかしい散歩道- 小川 葉自由詩1108-5-1
雨の日にいっぱいの、におい大会- 小川 葉自由詩6*08-4-25
三人家族- 小川 葉自由詩708-4-24
グッバイベイビー- 小川 葉自由詩7*08-4-22
あかさたな限界- 小川 葉自由詩4*08-4-18
野球観戦- 小川 葉自由詩1208-4-15
砂の音- 小川 葉自由詩808-4-9
かぜのきおく- 小川 葉自由詩408-4-1
おかわり- 小川 葉自由詩408-3-14
物狂おしい- 小川 葉自由詩2*08-3-13
春の名前- 小川 葉自由詩408-3-9

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