ジョゼは魚になりたいといった
木曜日の夜
二度と目が醒めない様に
風呂桶に潜りながら
枕を抱えていた
ギターの音が聞こえていた
水曜日の朝
世界の全てが消される様に
窓の向こうを眺 ....
早く脱出しなければ。
非行少女の、夏が来る。
厳粛のメモ用紙、多彩なパノラマ。
薄羽蜉蝣の大群。
ストリ ....
屋根をつくった
もう雨が降っても
濡れなくてすむ
立ったまま目をつぶると
近くや遠くから
夏の音が聞こえてくる
いつもと同じなのに
いつもと同じくらい懐かしい
誰か早 ....
ことばに
すくわれたかった
だから
ほんをひらいた
けれど
ほんのことばに
こころはなかった
ことばに
ころされたかった
そんなときも
ほんをひらいた
けれど
ほんのことば ....
生ビール 泡もどかしく ひとくちめ
僕らを指導した方々は
昔言ってませんでしたか?
『自分の尻は自分で拭けって』
昔何人かの
大人が作った借金が
この国にたくさんあります
誰が返すんですか?
おかげで
きっと僕らも返 ....
{引用=
あの子の言うこと全部が
でたらめだったらいい
そうしたら
僕のこと半分くらい
信じられそうさ
}
酸素が足りなくなってしまったから
あおっちろく光る水槽を
足でかき混ぜる
だいじょうぶ
魚はもうずっと居ない
*
ケロシン
ケチラン
水槽の底に住んでいる人魚の名前
腿ま ....
時計を買おうということで
愛人とふたり
時計店めぐりをしている
ロレックスはアニキに貰うことに
なっているからやめた
バーバリーは俺の手首を巻き取る
サイズがないか ....
{引用=ばたん――
ドアがしまるような
収穫の音がして、巻きあがる
走り去ったランナーの
一陣の風
よみがえる
まなざしの白さ、
青い息
ゆらぐ光彩に
ぼっ
と一点とどまる
....
まゆに包まれて いくようです
あなたも わたしも
目をつむると
おくるみに くるまれた あなたが聴こえる
セミダブルベット
アルファベットは外に吹き出し
また自動とかかれた扉がひらき
道路ににぎやかに人混みが揺れ
飛ぶということについて考える
指を折りながら時間を値踏みし
白ビニール袋が後 ....
自分の体に
同じ穴を穿って
強引に話しを合わせた感じ?
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた
その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする
「みんな」
そして「わたしたち ....
浸りすぎて沈む身体
宙空に浮かぶ間接照明
隔週でやって来てドアを二回ノックするのは夜からの使者
もうすぐ行くから待っていて
隠れて行う私達
まるで禁じられた遊びみたい
....
朝が月を殺す頃
その細い首をきゅっと絞めあげて
太陽がごうんごうんと鳴りはじめ
白い光は
精液みたいにとろりと落ちて
ぼくは生まれてこなければよかった、
と思うのです
....
実験的に無駄を省いたら
風も 木も 波も 空も 木霊も
みんな みんな 同じリズムで
繰り返している
少しずつズレていくのは
それが少しだけ違う音になって
だんだん 少しずつ変っていく ....
その日は、何も特別な事がない、普通の日だった。
いつものように朝起きて、いつものように電車に乗り込んで、いつものように学校に行って。いつも通り授業を受けた後は、またいつものように電車に乗り、い ....
沿線に建つ安普請のアパート
かたかた揺れて
かき消されたラジオからの古い曲に
毛布にくるまりながらそっとツッコミをいれた
いいえ、わたしは東京に住んでいました
やっぱりまぶしい時期
....
「夕暮れ時がすきだといった
わたしは悲しくなる
といった
薄い光が町を
すこしだけれども透き通らせてみせるので
悲しくなるのだと
町をみた
アーチ橋の上から
静 ....
もう ラヴソングも描けないのさ
日の入りが終わった天空の
マゼンタがきれいでね
良い絵が描けた後の
水入れみたいでね
そんなことを伝える人も居ないのさ
眼球の奥でつくられる
とろんと ....
ふしぎな
ずっと
ふしぎな
きみのあくび、つたわると
こっちまで弱いんだ
あくあくあく
(うさこちゃんのだきまくら・・・)
アンテナとおして
でんせん
リラックスの色水 ....
穏やかに
穏やかに時が流れていくなら
何も憂えずにいられるのだろう
晴れた日も在り
曇りの日も
雨だって降る
時をやりすごして
それでもか ....
ごめんねを繋ぎ合わせて3年ごめんね
しにたかった
うそ
ごめんね
ごめんね
わたしもいっしょだったね
なにもかわってない
ずっとずっと
ひとりのはず
わたししかしらない
からす ....
この碗はわたし
ひんやりとした手触り
入っていたのはひと綴りのことば
自分に深い意味はない
ここまで来て
この次に至る中継点であっただけ
どうなるか分からない はいいろの海に
漕ぎ出し辿 ....
水面に、静かに輪が広がり、女が浮かび上がってきた。
そしてその女は、青緑色の沼の表面に浮かび、まるで肘をつくかのような格好でこちらを見た。
時刻は、薄ぼんやりとした昼間で、のんびりと釣り ....
すげぇいい女が絡んできて俺の皮膚を奪った
いい女の定義がよく分からないが
神経は過敏に空気に炸裂した
すげぇいい女が花瓶に差し込まれて飾られる事件
口から血を垂らし「おはよう」「おはよう」 ....
ピーナッツが好きな子が
いました。
家にあるピーナッツは
全て食べてしまいます。
柿の種
落花生
チョコピー
ピーナッツ煎餅
お母さんはピーナッツを
買ってきてくれません。
....
できれば少女のまま
死にたかったのに
星を撃ち落として
泣いた
冷蔵庫のなかの花は
ひんやりしてた
リボンは全部
捨てた
だれかの孤独を ....
深くしわの刻まれたいかつい顔の男が夜の行軍
いないばあさんを探しに夜の行軍
他のばあさんの部屋をのぞきながら夜の行軍
ばあさんの味噌汁に入れるカボチャを探しに夜の行軍
寝ている ....
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