灰色のコンクリートには
ない、ない
としか書かれていなくて
薄紫色の夕暮れには
さあ、さあ
としか書かれていなくて
茶色の地面には
まあ、まあ
としか書かれていなくて
青 ....
愛していると言われた
ホントかどうか疑った
衣類を剥いて 手足を縛った
跡が残るように きつく きつく
愛していると言われた
ホントかどうか疑った
....
警官に職務について質問する
駅員になったが台風の身代わり
恍惚の森の道化師は骸骨のようなその腕に
あの娘の頭蓋を抱いていた
砂漠の泉の畔には烏が群れを成していて
魚の死骸を囲んでた
それなら僕は群青に染まる夕日を閉じ込めて
夜に輝くあの星に ....
また原油
高騰の影響で
野菜の値段が
上がっている
そうだけど
生命が燃焼し
続けるその熱効率は
これから永い
冬までずっと
下方向に
傾いていく
ビニールハウス
栽培の野菜を ....
紛らわすために見逃した。だがすぐ寂しさに気がついた。
紫色の夜が駆け出す。文字は否応なしに同方向に顔を向け、背伸びしている。
膝先の夜を蹴っとばしたくなった。どうせ目撃者は星か水滴かなんかだ。 ....
夢のように細い骨で
ぼくたちは生きてきたんだね
愛についてを乞うたのならば
骨と枯れても
幾千
幾憶
そこには声があった、と
想う
....
ずっと
雲に話したいことが
あるの
でも雲は
なにも話さないの
聞いてくれてるのかな
そこはいつも
清潔な湿度と
せつないじゅうりょくの
香りにみちている
身ごもったおんなたち
髪を横に束ね
しずかにもたれている
雑誌をうつくしく取りだし
うつくしくめくる
とろと ....
頭蓋骨
閉じ込められた
ピンクの本体
My name
何を示して
呼ばれる記号?
自己中心
隣の心へ
無限マラソン
あなた誰?
....
思いっきり声を上げて泣きたいのに
それすらも出来なくなってしまった
感情とはこんなにも脆く儚い
くちびるから洩れた
やわらかな言霊は
鮮やかな弧を画いて
森の揺れる夏の午後
無垢な白い笑い声を背に
七色の橋を渡って
空を掴もうと伸ばした
ゆびのすきま
棚引く髪の小高い丘のうえ
....
剥ぎ取られ
た天使の笑顔と、分割された、
髑髏の気持の行方は。
飽きるほどコピー
され、スキャンされたマリア様と
の絆、
老いた初期衝動。
それは、
き ....
あってもなくても
同じだと
詩人は思っていた
どうでもいい今日が終われば
どうにかなる明日が待っていて
とっくに時化ちまった昨日ともおさらばだしな /しける
なのに
足しげくテ ....
老婆はいた
透明なアトリエに
少年とともに
パレットの上ではいつも
色がつくられている
新しい色は
ひょっとしたら 美しい色
かもしれない
ふたりはひとりで
....
がらがらくじをまわした
一等がでた
そんな感じで
人生のいちぶが
がらがらとかたちになる
とまどいは
変化をきらうひとの常
しあわせは
もうあるのか ....
は
なので
しないでください
通りすがりの商店の
入り口の看板
赤い文字のところが脱色して
(何故たいてい赤なんだろう)
黒い文字だけが残った
「葉なので ....
仰向けになって
ずっと天井を見てると
なにか
いろんなものに見える
小さい頃の
熱を出した時のように
あの点とこの点を
くまにしたり
小鳥にしたり
だけど
点と ....
練習船
黒い尖塔
木馬の何頭かを失ったまま
メリーゴーラウンドは廻転している
空はいつでも鋭角
時折少年が墜落してくる
旗竿の上で
燃え尽きる旗
その下でそれでも昏い宴はつづく ....
観察日記の
最終ページにある
やさしさは時に
人を不幸にする
の文字が
青く滲んでいる
向こうには
形跡が虹みたいに
消えていて
雨でも降ったのか
経験のように
過ぎ去る日々はま ....
昨日 おかんが泊まりに来た
おとんとの惚気話、散々聞かされた・・・
おかんよ
これでも うち傷心やねんで?
まぁ仲良うしてんねやったらエエんやけどな
今日 おかんが帰った
そしたら ....
弟と川辺で遊んでいると
親戚のおじさんが流れてきた
僕達の作った小さいダムを壊しながら進み
ちょうど僕と弟の足首に引っ掛かるようにして
おじさんはやっと止まった
おじさんは皮膚の中で ....
捨てられた便座の{ルビ蓋=ふた}が
壁に寄りかかり
{ルビ日向=ひなた}ぼっこしている
日射しを白い身に浴びて
なんだか
とても幸せそうだ
2006年8月25日
旅の話
世界遺産になっているしらかみまくり山地にいってみよー
ということで前日にお連れさん方と合流
わいわいやりながらレンタカーで走りました
私は後ろの席でぐう ....
・
駐車場で暮らす人と知り合いになった
駐車場の
車一台分に四角く区切られたスペースに
うまくお布団を敷いて
机を置いて
入れ替わり立ち替わりする車のヘッドライトを灯りにし
雨が降れ ....
のぞいてごらん、おまえは蓮華畑で興奮している、鼻腔を刺激する春の芳香のなかで、何かを追いかけ、また何かに追われて、ちいさな蓮華の花を踏み潰すたびに熱くなっている、いけないことをし過ぎて気持ち良くなった ....
街に日が射して
コンクリートの
続く壁面が白く発光しているのを
たよりにつたって
あるいて
その擦り傷のようなざらつきの
わずかな影のさき
壁の尽きるところの
晴れや ....
ふうせんガムを背につけて
うそつきが空を飛んでいく
「らいねんまでには戻ります」
いいから降りて働けよ
悲しみを
身近な毛布で
覆った
ある夏の日
君は
静寂を壊さぬけど
気付いてた
目の前でピザを頬張る顔が好きだ
唇の端に付いたピザソースになりたい、と言ったら
君は困ったような納得のいかないような顔で
ピザソースとは接吻は出来ないよ
と言った
トロトロに溶けたチーズ ....
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