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みかん色 落ちたよ
夜はもうこんなに蒼だし
蒼はもうこんなに夜だよ
西に光って 鳥も帰るよ
冷える音 止まる音
ひとつずつあたたかく
めごい瞳に降り来るよ
ひとり ....
傷ついているなら
はっきりと痛んでよ
何も起こらなかったように
すましたままで
密かに終局へなんて向かわないでよ
泣いたらいいのかどうかさえ
わからないじゃない
棚から落ちて
壊れた箱から
ころがりいでた
あねといもうと
今日は何をして遊ぼうか
ことのほか色を見たいのに
絵の具はどれも薄れてしまった
むらさきになるまでたた ....
足の下にかたまりが生まれ
小さくまるく増えてゆく
歩むたびに揺れるからだ
少しも速くならないからだ
地から離れ
地に繋がり
朝は歩みを呑んでゆく
光を並べては片づ ....
>>さて、ところで詩の余白ということに最初に着眼した方は1900年に活躍した詩人のマラルメさんらしいのです。
と前回「視覚詩と北園克衛 (と私の好きな視覚詩)について」の中で書いてからはや2ヶ月 ....
襤褸 襤褸
襤褸 襤
らんる らんる
らんる らん
楽しげに
悲しげに
ひるがえる
独りきりの子が ....
人という生きものは
ずいぶんと もうずいぶんと
生きものから離れてしまったのだろうけれど
まだかろうじて生きものでいて
遠く見えない同類と
同じように波打ちながら
それでい ....
水に打たれて
鳥になる雪
おしとやかなだけで
いいのですか
花の吸いがら
雪硝子の背
どこかの国の
旗のよな空
黒い丸から
生まれた春とて
羽を知らぬは ....
こうべをたれて
両手をあわせ
じっと目をふせ
みかんを持つ子
あなたにとって今までで
いちばんおいしい
おいしいひとつの
みかんでありますように
....
海へと向かう夜を見ていた
蒼い蒼い
光を見ていた
光をぬぐう水の手が
冷たい曇に触れていき
たくさんの小さな影をつくった
影は夜通し降りつづけ
肌の上で
....
雨の日 川は海へ行かない
右へ曲がりまた右へ曲がり
虫を食べ
土に帰る
逢魔 負う魔
壊れた時計
逢魔 負う魔
流れる水紋
どこへもいかず
め ....
半分描かれた
絵のなかの原
どこへそよぐ
絵のなかの原
ことり
ことり屋の前をゆく
ことり
声は少なく
一本空けた
りんごの酒
二本めは苦く ....
ひとりでぶつぶつ言っています。
ベルギーの画家マグリットは言いました。
「私の絵の題名は説明でないし、絵は題名の図解ではない。題名と絵のつながりは詩的なものである」
いい。いいねーと思っ ....
前回の、視覚詩のお勉強の続きです。
○北園克衛の視覚詩
北園克衛は日本の視覚詩の先駆者で、ヨーロッパなどで視覚詩がさかんになったのと同じ時期に
(またはもっと前?北園克衛主催のモダニズム ....
知っているのですか
あなたと
わたしが
手を合わせる
その意味を
つなぐ、と
つながれる、の
隔たりをあなたは
まるで何も
知らないかのように
この寂しさを
知ってくださ ....
己に酔って
緑に心を晒した男が
緑に穿たれ 散ってゆく
雨に打たれ
あとかたもなく
虚ろな道に 消えてゆく
おまえのなかに獣はいない
おまえのなか ....
枕のなかに棲む魚が
ゆうるりとからだを波打たせている
何の音もたてることなく
ただ端から端へと動いている
わたしは魚が静まるのを待ち
左向きに頭をのせる
魚はい ....
数十枚もの翼を持った
金色の生きもののことを考えるたびに
自分の内から眠りが消えてゆく
そしてそのあとに必ず
奇妙な痛みがやって ....
ライラックの関節
樹脂の花
石鹸の羽
咲き誇る
手も足も
沼のもの
たたきつけられる煙
....
左目の下に
はばたきがある
つねに つねに
はばたいている
自分は座っている
名前を呼ばれて
まわりの人はいなくなる
自分は座っている
まわりの人はいなくなる
自分はいる
いなくなる
自分は
いる
いな ....
この星この時に生まれた
このからだが私
煙と骨になる日まで
私を運んでね
今日も歩けました
蝶を見ました
自転車に乗れました
ヒヤッとしました
お食事できました
しあわせです ....
窓を閉め忘れ
緑のにおいに
眠れずにいる
空腹の夜
ひとかけらずつ
崩れる街を登りつづけ
眠れずにいる
空腹の夜
触れることさえないままに
気づいたときに ....
自分が自分かもしれないことを
思い出すのに時間がかかり
鏡の前で
裸のまま立っていた
自分は
どこにもいないのかもしれなかった
わんこ ほえる
....
これほど手掛りがまったくない事件も珍しい
1 殺人である事は明白だ。白昼堂々なのに だ
ただ 誰も現場を目撃していないと主張し かつ
自分は 犯人ではないと言い張る。ああ 迷宮か
どこかに ....
わたしは咲いていた
わたしは咲く
わたしが咲くとき
わたしが咲けば
わたしよ 咲け
あなたが咲くうたの
聞こえるところ ....
衣擦れの音は
人の声のようにやさしく
草の声のようにきびしく
夜を過ぎる者の足元にからみつく
あたたかく 目を閉じ
....
わたしは居ない者
わたしは居ない者
過去の法が生き返るのを見ている
死ぬものはないが
生きるものもない
あやつるものが あやつられても
止める法などありはしない
求めるものは ....
一枚の地図が置かれた
薄暗い部屋のなかで
手のひらに生えた双葉を
見つめていた
朝起きたら愛が消えてなくなっていました
ヘリウムが
知らずに抜けた風船 みたいに
わたしは気の抜けた
あくびをします
あの日
黒猫が背中
狂おしく逆立てて
そ ....
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