向日葵
服部 剛

自らのおぼつかない足どりに
黙って下を向いてたら

「歩けるかなぁ ・・・
 じゃなくて、歩くのよ!」

隣で僕を支える君が
猫背をたたき
ぬくもった平手で「気」を入れた

若かりし日々から
繰り返された弱さで
知らぬ間に打ち寄せる音のない波に
目をつむり
朝の玄関を押し開いては
昇る太陽を仰ぎ
しわの入った革靴の両足は
小鳥等の唄がこぼれる街路樹を抜けて
変わらぬ表情で口を開ける駅へと足跡を伸ばした

(僕等には互いの顔に見飽きても
 離れない手と手の内に育まれる一粒の種があった)

「歩けるかなぁ ・・・」

の呟きを振り切っては
踏み出す一足々々は
振り返ると
長い道に四つの足跡を刻んでいた

傍らにはいつも
向日葵ひまわり
黙って風に揺れていた


自由詩 向日葵 Copyright 服部 剛 2004-04-21 18:50:44
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