ぼくの20歳年上の友達は
ぼくによく似てる
独りぼっちで、愛を知らない
彼はぼくとは違う
中身じゃなくてね、見た目
彼の両 ....
定刻の十分前に飛び出した
マンションの駐車場では雨の余韻
生まれたての水たまりには波紋
また 小雨
浸るよりも先に 走らなくてはいけない
休み 休み 土曜は休み
流れる空気の弾力さえも ....
詩評がつらい……詩を書くのもつらい……書く自信、皆無なり。文章の書き方忘れた(笑。つらくて腹こわした。下痢ぴーである。すーぐストレスで下痢しちまうんだ、私は。とはいえ嘆いていてもしかたないんで、慣らし ....
水色のものしか口にしては駄目よ と
お姉さまは仰有いました
緑ではいけませんの と訊ねますと
緑は駄目 薄紫なら構いません と
お姉さまはお笑いになりました
わたくしは紫色のキ ....
「線路の上を歩いて海を渡る
それ自体はけして珍しい行為じゃない
だが
心してきいてほしい
次の駅にたどり着くことのできる者は
きわめて稀である
「大洋をどこまでも縦断する ....
喉が渇く
先生
あなたを
思い出すたびに
もう思い出さなくていいと思う
盲目のまま
「すき」なんて言ってしまったこと
いまは後悔している
知るほどに
嫌いな男だっ ....
私はウサギ
ただし全身フェイクファー
真っ赤な義眼をうるうるさせて
可哀想なふりをする
寂しくさせたら死んでやる
着ぐるみウサギの脅迫に
おどおどするのを見るのが大好き
何かを囁 ....
くすり指がちびた人の
ひんやりとしたリールから
がっしょがっしょと妻が走った
シッポー トト ト (朝は隣家も装い ふれるの
深呼吸のドレープの波に乗って
腕で掻き分 ....
夕刻の代償として
こぼれ始めた 影
あけすけに落ち込んだ明度のわたし
こぼれ始めて
こぼれたら 伸びました
おとなの後ろを跳ねる 少女の脚の
美しい柔らかい ケン・ケン ....
イエーイ! 家
俺らのため息というため息 体毛という体毛 のすべて
には窓が取り付けられている 家
窓という窓には俺らの手形
という手形にも窓
ところどころは出窓として取り繕っておりま ....
笑うカスタネット
I
石原大介さんの詩を読んでいる。石原さんは、そう言うことができるとしたら、短歌を
よくした。そう言えないという人がいらっしゃれ ....
俺を押しこめようとするな 俺を狭くするな
俺は到着したばかりの華麗なオタクちゃんだ グルグルパンチだ
昨日より少し大人しい犬の頭を撫でているのだ
こら そこのお前 おれを押し込めようとするな ....
弱弱しい鳥が
藪のなかに消えていった
そこにはどんな病院があるのだろう
藪はしずかだ
2001・11・8
なぜ飛ぶのなぜ生きてるのなぜ泳ぐのなぜ考えるのなぜ愛するの
寂しいと言って泣きたい寂しいと言って泣くから助けてほしい
コロッケの匂いわたしのふるさとの匂い都 ....
桝目をひとつひとつ埋めていく
あなたはまだ
自分が花びらであることに気づいていない
窓の外は想像を絶する想像に包まれ
僕はそれを夕焼けと呼ぶこともできる
かつて靴下をはかない男の子がいた ....
ーハイパーリアリズムー
ガソリンスタンドの影が路上に伸びるとき
サンフランシスコでは詩の朗読会の準備がすすんでいる
ちいさなライブ・ハウスで
おおぜいの詩人が読 ....
枯れ枝に烏の止まりけり秋の暮れ
とまってしまった歳月 芭蕉のように
暮れることもできないで バスの明かりに
たちどまる ポランスキーよ
湖に水没したナチスの ....
カマキリに襲われた眼球は
皿 皿 と 皿 皿 と
血を流しているのでありました
そのとき 時計はとまったままで
あたりは白くなりました
....
ももとあそんできた
ももはねるところだった
ぼくがてをだすとももははをむいてかみついてきた
もものあたまをなでた
りょうてでぎゅっとなでつけた
も ....
ヴェスヴィオス火山に埋もれた
廃墟のように
灰をかぶって
ぼくはいままで
埋もれてきた
標本となって
水道も飲めないで ....
裂かれた魚影は探知機にかからなかった。藻が以上に発生していた。魚影は藻の中にもぐりこんだのだろうか。藻は密生して揺れていた。海底深くはなかった。太陽の光がレンブラント光線のように差し込んでいた ....
森の中で月を見て
青さ静かに、目に染みていく
あるかないかのカーブを
そろり、ふわり、降りていく
静かに、選ぶ言葉に僕の
音はどこかで回り続けているか
泳いでいるのは、あなた
そ ....
生徒数ふたりの村の学校の日直いまだ解かれざるまま
箱舟に辞書を積み込み忘れたがために無数の言葉も消える
ソドムとゆう街が滅びたときでさえどこかで恋が芽生えただろう
「カイ ....
ネオンの中にまぎれてばかりやと
体に悪いって信じててん
今日なんか変なルートたどってるねん
あのままじゃ、きっと
なじみのないBARで
40代の男の近くに
しらじらしく座りそうやったわ ....
嵐のいった後はいつも
いろんなものが電線に引っかかっていて
奇妙な陰だとか
擦り切れた音だとか
さっきまで巻かれていた自由なもの
全部
西日を受けてしなだれている
多分みんなが
風 ....
西病棟の長い廊下に湿ったモップをかけるから
清掃婦の後姿は僕の幼い娘に似ているから
寧ろそれは僕の幼い娘ではなく君に似ているから
決して君ではなかった
何度目になるというのか また「正」の ....
青い空の向こうから
巨大な顔が降ってくる
にこにこにこにこ
笑いながら
うわあこっちにくるな
そら、なのか
から、なのか
どっちでもいいけど
「宙」と書いて「そら」と読ませるよりも
「空」と書いてなんと読むのかわからない
そんな曖昧さがわたしはすき
そら、だったのか ....
さいだぁ
けされるために生まれてきた
風見鶏の嘴
四方八方への路
くるりと北へむかうとき
あんだぁ
つぶやいた口笛
すこし汚れた半そで
わんだぁ
せかいじゅうにあまいだけの嘘と
....
あなたはすごい雨だろう。茜空さえも私は嘆いた。こんな理解の仕方で、でも私は一人だ。あなたは降ってくる。キラキラしたものも濡らす。今日のあなたは晴れた空に酷く不恰好だ。私は動物の目からすれば雨ざらしなの ....
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