夕刻の逃走
A道化





夕刻の代償として 
こぼれ始めた 影
あけすけに落ち込んだ明度のわたし
こぼれ始めて
こぼれたら 伸びました
おとなの後ろを跳ねる 少女の脚の
美しい柔らかい ケン・ケン・パへ
そうと触れて
触れたら 停まりました


停まったらそのまま わたし
おとなの人には秘密にしよう、と思いました
それだけなのに 
少女は
生きているのを感づかれた人形みたいに
ぱっと 沢山のことをやめて
おとなの人のほうへ 正しく走って
赤い靴は
赤いことも やめて


わたし 
逃げるしかありませんでした
ケン・ケン・パの 代償としてしか 
夕刻が 正しく終わらないのなら
こぼれ始めた 影 連れて
こぼれ続ける 影 連れて 
ずっと
いつも夕刻のままで
逃げるしか ありませんでした



2003.11.11.
http://www.geocities.jp/a_do_ke/



未詩・独白 夕刻の逃走 Copyright A道化 2004-11-17 08:54:33
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