今の時間から親友が集まる木の上の秘密基地へ行く
夜も更けて満天の星空が顔を出している 月の時計が僕をウキウキさせる
濃密な暗闇は景色に馴染んでいて リュックを担いで夜道を全速力で走る
僕 ....
我が家に
最新型のテレビを入れてみた
だからといって
家族の会話が増えたわけではない
そもそも家族全員が
揃って家にいるときはない
増えたのは
番組録画の数だけだった
自分の付き合 ....
一生青春、なんて言わずに
人生には
朱夏
白秋
玄冬
とあるのだから
たまには
真っ赤に染まる夏も
白くおおらかな秋も
奥深い黒の冬も
あっても良いな
りんりん、と
風鈴が鳴る
目蓋の裏に
広がる風景
日本家屋の
優しい縁側
そうめんに
氷を浮かべて
酢の入った
ところてんは
食欲を誘う
かき氷
甘い匂いと ....
雨が降ってきた
そんな空にイライラしたのだろうか
家に置いてある
どうでもいいコップを
庭の真ん中においてみた
少しずつ
コップの中に水が溜まってくる
少しずつ
コップの中で雨が揺れて ....
浸りゆく
この黄昏に
街は慈愛の潮 満ちて
海から遠く 離れて
唸る 街に
古代の虫 発光し
アスファルトのタールは
原油のにかわ 舗装する
道をまっすぐに!
密 ....
西暦2500年の世界は 人類は月に移住していて緑豊かで特別争いも無く暮らしている 僕は近いうちに月へ移住するつもりだ その為にはかなりまとまったお金が要る
僕は肉体労働をしながら詩を書いて生活し ....
目の前で
ひらりと舞い上がって
足跡は空高く飛んでいった
あのひとの足跡も
ひらりと舞い上がった
慌てて両手でつかまえて
背中に隠したけれど私はすべてを知った
行き ....
+四杯目から+
店の一番奥に大きな真っ黒なドアがあって
それはちょっとやそっとでは動かせそうにもないタンスで蓋をされてる
さらにはドナセラなんたらとかいう幸せの木の鉢植えでカムフラージ ....
バルサミコソースが複雑に酸っぱくて
関係ないのにあの汗の味に似ていたからって
ああもうぜんぶだめなんだとフォークを置いた
まったく大げさな話だ
こうやって一日中町をふらついたあと
溶けた飴で ....
あの緑陰に佇んでみたものは
光るまちだったのか 雲の流れになぞらえ
かすかに形を変えてゆく思いなのか
今はもう分からない黄昏に包まれる
やるせない影ばかりがのびて 路に夕べに
項垂れ ....
水溜りは空を映しこむだろうが
さして時間も掛けずにそれは乾くだろう
ことに街中ともあれば路上に水がとどまる事はない
*
汗をかいている
背中の汗の珠を
そのふくらみを想 ....
目が覚めたら、いつも通りの真っ白な天井。
うんっと伸びをして、立ち上がる。
顔を洗って、朝ごはんを作ったら、新聞を取りに行こうかな。
ゆっくりゆっくり歯を磨いて、少しずつ少しずつ目を覚ませば ....
子ども電話相談室で
かめさんは なにをたべるのですか
と訊かれた おねいさんが
かめをかみと聞き間違えて
とたんに 形而上学的哲学的になってしまった
疑問符を 回答の先生に たら ....
沼に霧 立ち込める
そのように
寂しげな 繁華街の一角は
その 二階まで湿った汚泥
感情のむせび泣く 湿潤に覆われ
時は初夏
汚泥の沼に白蓮
救世の観音
その華に座す
....
梅ちゃんに、また会いたいなあ、
そうつぶやくと
また三郎に、あの風が吹いてきた
三郎は
ふいにじぶんに吹いてくるその風を
虚無の風、と呼んでいた
風に吹かれて幾 ....
星空を君と見たい
月が嫌いだから月のない夜に
空が澄んでいて雲が確実に動く
魔法使いが箒に乗って空を過ぎりそうで
冬だけどこのまま眠ってしまいそうで
君が横にいることがとても幸せ ....
夜空の星をピンセットであつめていた
明日はあなたの大切な日だからもう寝なさい
お母さんがそう言うので
私は集めた星をポケットに入れて眠った
夢を見ていた
星にはひとつひとつ名前があり
それ ....
空はギター
すきとおる
風の音
甘い日差し
幾層も重ねて
陽炎の音
うすい残響
地平線
ふるわせる
細い弦
音もなく
切れて
とぎれて
聞こえる
波の音
月の囁き
空は ....
夜霧のなかのバイオリン弾きの
奏でる音はどこかもの悲しい
それは夜霧がそうさせるのか
それともバイオリン弾きが
そのように弾いているのか
グレタ・ガルボは
実はフランス政府の
女スパ ....
天変地異が起こった 悪霊達がハルマゲドンに全世界の王達を集めた
一人の緑豊かな国の王が言った これからどうします?
一人の砂漠の国の王がこう言った ここにミレニアムキングダムを創れと先程あな ....
ムード音楽
意味もなく妖艶なおばちゃん
四角く座している皆さん
俺たちは欠けた
美しい輪っかだよ。
私は欠けてない
満たされた輪です。
アルデンテ
精密 ....
見えているものは
ただ単に
見えているだけであって
見るものを
見ていないのかもしれない
見えているものから
見えるものを見えたとき
初めて見えるのだと思う
目を開けなくても
見 ....
時は答えて想いは途切れず
はがれおちてゆく鮮明な影に
立ち止まらないその軌跡に
輝く光が満ちている
真実(ほんとう)はきっと誰の胸にも
止まらない雨が降っている
ほら 君も 皆と 同じ ....
この 二足歩行を支える
骨と筋を 賛美せよ
足裏を遠い岬の土に
摺り合わす 意志があるなら
この風は
風力発電機のために 吹くだろう
ひと時の 陽だまりの幻想
岬の土音を ....
“赤ん坊のように
手をグーにしたら
幸せはやってくるの?”
なんて考えてみたけれど
実は
わたしたちは
まだ、赤ん坊にも
満たない
無垢な気持ちは
いつでも忘れない
死ぬこ ....
もみじ もみじ
てのひら もみじ
衣笠の秋の空 染み渡る
東山も 嵐山も 頬を紅く染める
ひとはあはれ 賀茂のながれ ずっと見てた
もみじ もみじ
てのひら もみじ
衣笠の秋の ....
彼はサックス吹きだった。
誰にでも噛み付きそうな
いかつい面持ちで
疑問には、
とことん言及することを楽しんでいた
そうして四十三年で生涯を閉じたのだ
無印良品の三つで1パック ....
ゴミはゴミ箱に捨ててくださいと彼は言う
イメージと詳細にしか興味がない彼は
ある日からゴミ箱の中に住むようになった
今日もゴミ箱の中はイメージと詳細でいっぱい
そのことに彼はとても満足している ....
雨の日が
咲いている
新緑に
咲いている
ワイパーが
音たてて
曇天をめくる
青い血の空の
矢印は白く
悲しみは白く
雨の日が
....
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