ことばは
かけらだ
かき集めて
かき集めて
つくる砂の城が
ひかりを浴びて
窓に飾る花の叫びだ
レースがひるがえり
それは、かけらだ
宿酔いだから
洗濯に行こう
宿酔 ....
人間になったときに
長いしっぽは捨てたはずだったが
ゆうべまた失くしたので
蜥蜴になろうと決心した
体が楽になったのは
まっすぐで生きられるからだろう
背中が陽に染 ....
最寄り駅にあるキヨスクでは
店員のおばちゃんが詩集を売っている
おばちゃんの書いた詩や
駅員の書いた詩や
ホームの柱に落書きされていた誰かの詩が
そこには載っている
地域住民の出した詩 ....
背中の星が重いから
飛翔しても
飛翔しても落ちる
てんとう虫の
ちいさな宇宙
野の草のように
持ち上げたものの重みに
ひとも耐えているが
あまりにも大きなものの中で
あま ....
長い間雨が降らないので
涸れた池がある
長い間話さないので
枯れた声がある
長い間誰とも会わないので
忘れられた人がいる
長い間続きを思いつかないので
書き終えられない詩がある
雨 ....
あなたを通り過ぎた風は
凪いで
睫の高さで追いかけていた
ニ歩先の肩甲骨と
くしゅん、と鳴った鼻
とのあいだに、置いていった
指先にのせて飛ばした
内緒のくちづけの形をした
ふ ....
飛ぶ鳥から抜け落ちた羽根が
地面に墜落する運命に気付かず
いつまでも空を飛び続けていることがある
これを残鳥という
猟銃で撃たれた鳥の
飛び散った大量の羽根が
そのまま鳥の形をして飛び ....
毎年、4月1日には、絶対に無理なのに遠くにいる君に「今から会いに行くよ」とか言いたくなる。もちろん、君が遠くにいることなんて嘘で、君がいることも嘘なんだけど。まぁ、僕がこの世に存在していることも嘘な ....
と君は
言いかけて
黙ってしまった
桜の花びらが散って
一枚が肩に落ちたんだね
手に取って真近に見たら
とても薄くて白くて ....
想像したよりもずっと早く
世界は作り変わって
僕だけが一人
真ん中で体育座り
バラバラに並ぶ標識には
「これはするな」、や
「あれをするな」、の
禁止の言葉ばかり
どうせな ....
凍える手のひらを
りんごほっぺに
ぺったりくっつけ
まっさらな
じゅうたんの上に
一人立つ私は
ホワイトプリンセス
確かここには
ゆらゆら舞い散る
桜の花びら
....
音になるまえの おと
歌になるまえの うた
暗く静かな時空の中に
君の居場所は
きっとあった
生まれたばかりの かぜ
一番最初の なみ
弾かれるための弦のように
始まりの場所は
....
たらふくに酒を飲み
電信柱にしがみつく
「こらこら、電信柱に上っては駄目だよ」
ちがうの
電信柱の陰から 君を見てみたかったの
少女漫画のそれの様に
ゆらゆら乙女にふけっていると
....
彼女が好きなそのカフェにはいつも
雨が降っていた
店内はびしょびしょで
暑くて
植物が生い茂り
肉厚な緑の葉の上で
色とりどりのカエルが跳ねた
極彩色の鳥達が
テーブルの下で睦 ....
あたしのほしい車を買うには
あたしの貯金は
ちょっと足りない
なのでう〜んと悩んでいる
磨いたウィンドウのなかのレッドがまぶしい
あたしのほしいブーツを買うには
あたしの給料は
....
凪いだ空に
鳥の群れが
海の方角に向かって
泳いでいく、朝
朝ごはんの残りのパン屑を
ほんの少し撒くだけで
海鳥ではない鳥が集まる
手のひらが
くすぐったい
高台の家から望む ....
私は今でも忘れない
学校の帰り道
家に着くまでに
いろいろな影を踏んでいく
影踏み遊び
大きな木の影家の影
人の頭を踏んだこともあるけれど
鳥の影を踏めたときは
空を飛んでいるようだっ ....
猫と一緒にぼーっと外を見ていた
ふと猫を見るとこっちを見てる
どうしたの?と聞いてみると
横になってごろごろ転がる
ここがあったかいよと言いたげに
きっと猫はそこに春の温かさをみつけたんだ
桜も咲 ....
ダイヤル式、赤の公衆電話
バーの片隅に隠れるようにあった
この電話って使えるわけ?
マスターはゆっくり頷いた
つい懐かしくてコインを落とした
手は勝手にダイヤルを手際よく回す
この ....
誰もいない放課後
鼻につくチョークの匂い
校舎裏には誰かの名前
雨風にもう消えかけて
らくがきにも見える名前
ひとつ
あれは
ひたかくしの時間でした
スカートの丈を短くしたり
お ....
東京特許許可局
俺はおまえを許可しない
おまえのような早口言葉は到底容認することができない
おまえだけじゃない
赤巻紙青巻紙黄巻紙や新春シャンソンショーにも伝えておけ
ふざけるなって
おま ....
あおいカーテンの
こちらがわで
くらげとくらしています
くらげはいつも
ふらふらゆらいでいるだけです
わたしがねてても
おきてても
ゆめをみてても
みていなくても
この街はす ....
人の顔がすべて己より愚鈍に見える日は
できるならすぐに帰宅して就寝すべし
寝酒にカップ酒を飲むもよし
人の顔がすべて己より愚鈍に見える日は
決してそのことを人に告げるべからず
自ら恥を晒 ....
まるであんぱんを分けあうように
二人はその心を互いに分けあった
まるで紅茶にいれた角砂糖のように
それぞれの心に溶けて一体となった
まるでエルドラドを目指す旅人のように
二人は二人で ....
あの人が縁側で
たばこを吸っていた。
たばこって美味しい?
と、私は聞いた。
うーん。
その人はうなって、
「美味しい」ってわけじゃ、
ないんだけどな。
と言った。
癖になってるよね ....
青信号が点滅すると
いつも
急がなきゃ
急がなきゃって
もちきれない
いろんなもの
おっことして
けっきょく
間に合わなくて
車が
ぶーぶー通り過ぎて
埃っぽくて
かな ....
あっぷるいろに、そまる
いみたちをよこめに
とりは、うたう
はなも、うたう
すなはうたえないから
なみにこころよせ
わたしをみつめる
ちからづよ ....
きょう
ぼくは少年だった
両腕をいっぱいに伸ばして
いちにち
空を憧れていた
ぼくのノートは
かなしい文字でいっぱいだ
さようなら
さようなら
みんな さよ ....
すみません、僕はいなかったらしいです。探さないでよ見つけないでよ
最後までみつけれらないかくれんぼ、ひとりで帰るにちようの午後
あの星と、この星にいるあなたとは関係ないのを証明し ....
それはかなしいことだけれど
わたしたちは
ひとつになんかなれません
べつべつのからだのなかに
べつべつのかなしみがあるの
それはかなしいことだけれど
わたしたちは
いたみをわかちあえ ....
1 2 3 4 5 6 7 8