暑いよね、暑いですよねと会話する二人は何故かつきあっている
予報なく気づかずに降る五月雨も君を迎えに行けるのならば
傘をさす理由をなくし歩いてる濡れてもそれで満足なの ....
わたし 財布を無くしてしまいました
めでたしめでたし
わたし 道を間違えてしまいました
めでたしめでたし
わたし 階段から落ちてしまいました
めでたしめでたし
わたし 羽を折っ ....
それは
わるい季節だったのだと
小さすぎる靴に
むりやり押し込んだ足のような気分で
小雨をついて
散歩にでよう
動かない洗濯機のなかの
洗濯物のように
売れ残るテレビショッピン ....
布団のなかで
好きだった本や
好きだった歌や
好きだった人のこと
考えてみる
それだけなら電気はいらない
暗くなってもさびしくはない
人間の胃袋がまいにちふくらんでいる
それは比喩 ....
「私暗い歌がすきなの」
「死ぬのとか、別れるとか、血がどうとか、イケナイ関係とか」
「だってむかつくじゃない」
「幸せいっぱいでそんな色しかない曲なんて」
「耳にするだけでうん ....
おばあちゃんの命題は
生きることにはないわけで
生きないことにもないわけで
なんだかそんなことを越えたところに
なんだかもっと真実に近いものに
潜んでいるとされています。 ....
{引用=その靴は履かないけれど捨てられないロボットの足音が聞こえる}
バイテクで創った人魚抱きかかえ海へ駆け落ちロボットの恋
風俗に生身の女消え果ててロボット小指を切り ....
1.
風邪が押してきた
したがって私は引いたのだ
それならばと
風を押してみた
すると、私は実に無力であることを
思い知らされたのだった
2.
趣味も思考も
全く違う ....
私の眠剤は
胃の中の闇に溶ける
ふかーい
ふかーい
闇に溶ける
私の眠剤は
広げられた風呂敷を
四角くたたんで
明日へ持って行く
のこのこ ....
いつか
すごく詰まらない詩を
書いてしまって
私はそれを破り捨てた
なのに君は
破られた詩を
四苦八苦しながら繋ぎ合わせて
時間をかけて読んだ後に
すごく良いね
と笑った
本当に君 ....
歩く速さは一緒なのに
想いの速さは違ってた
貴方は『恋』を『愛』に変えたくて
私は『好き』を『恋』と呼びたかった
初めて会った夜に抱きしめられ
さりげない会話に「一緒に暮らそう」と
....
2年ほど前になるだろうか。
僕は落とし物をしてしまったのです。
それはとても大切なものだったので、ずいぶんと長い間、血眼で探しまわっていました。
でも、それは決してどこにも、その欠片さえ ....
たとえばそこに私がいるということ
炭酸水の泡の中に私がいるということ
生まれては消え消えては生まれる
連鎖する中にほんの一瞬私が見え隠れするということ
たとえばそこに私がいるという ....
夜に
眠らなければ
朝は来ないと
信じていた
子供の頃
けれど
そんなことはないと
知ってしまった
午前5時半
朝日は無情にも
私の好きなオレンジ色だ
ぼくは悩んでいる。
毎日毎日悩んでいる。
そう、悩むことがすでに趣味なのだ。
ぼくたちは小さな悩みをどんどん大きくしていくことが楽しみなのだ。
世界の難しいことがらのほとんどは ....
おまえが絶望していると言うから
俺は絶望していられなくなった
おまえが取り乱すところを見たから
俺はもの凄く落ち着いた
おまえが傷ついているのを見たくないから
俺は自分のことを棚に上げた
....
音もなく降る雪
泣いているのかもしれない
白い
空の向こうで
殺された小さな手と
殺した大きな手
どちらもあなたに似せて造られた手
耐え難く
愛しい
泣いているのかもしれない ....
油染みだらけの記憶のわら半紙提出期限をとうに過ぎ去り
透明なグラスの底を目にあててきみの星座を見る白昼夢
あの夏にきみが投じた問いかけのこたえをさがす 波のまにまに ....
わたしはゴルフがきらいだ。
外したのをよろこんで拍手するギャラリーにはなりたくない。
そういうみにくいこころのうごきがきらいだ。
あいてのミスをねがうこころのいやらしさがきらいだ。
わたし ....
大人になりたくない と
純粋に逃げ続けた頃は通り過ぎ
大人になれない と
不透明な迷路で行き詰まった頃に
私はあなたの詩にえぐられました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中 ....
うたを綴る
ひとつ ノォトに
うたを紡ぐ
ひとつ こころに
今日の言葉を装い
明日吹く風を纏う
雲に似て
恋に似て
刻々とかたちを変えるその憧憬を
留めるため
小さな引き出 ....
川沿いに歩いて ようやく
国道まで出た
ぼくたちは、しばしば
夜を迷う
ぼくたちには靴がなかったけれど
それはたいした問題じゃなかった
歩くべき道を
さがすだけの、夜を
迷っていた
....
【運転室】
ミステリーツアーの
ほんとうの行先は
汽車の運転手さえ
知らない
行先はレール任せなので
運転手は楽譜を前に
指揮を振っている
振りをしているに過 ....
一頭の牛が
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
....
家出した
2軒先のオモチャ屋まで
所詮そのくらいの意気地
模型電車のガラスケース
豆電球が優しくて
何度も何度もトンネルを覗いた
眼鏡のオヤジが
オデコで睨むから
負け犬のように店 ....
今、あくびをしたのは誰だろう
今、勉強の途中で灯油を入れているのは誰だろう
今、ボブ・ディランのCDを聞いているのは誰だろう
今、足のむくみに気づいたのは誰だろう
今、明日は7 ....
真夜中の毛布に隠れ
短い振動が
密かにわたしを呼ぶ
七十センチ横では
きみの見知らぬ連れ合いが
高らかに寝息で嘘を吐いている
幸福の整理券を
並んで手に入れたものの
本当は少し ....
輝くような明日が待っている
と
誰もが思わなくなったって
明日にしてみたら
たまには輝くのだから
輝きがいがないではないかと
愚痴をこぼす時代なのだ
と
....
忘れてはいけない
詩と空想が生活を救い
貧困が雪解けを待つたのしみに変わること
おまえは知るだろう、
やがて現実がひとつの虚構として
おまえの空想のまえに立ちはだかるときに ....
学生のころから
よく行くとんかつ屋さんがあって
久しぶりに行ってみたら
お昼時を少し過ぎていたのに
待合の椅子もいっぱいに
さらに立って並ばなければいけないほどだった
良心的な値段と
カ ....
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