花咲な
月が差し込む
夜にのみ
雪の色して
光仄かに
夏の野は沈黙の果てみつめあう
だけのくちづけ唇に蝶
じっとして壊れないよう忍び寄る
白い羽には光だけ射し
言葉などもはやいらない君をつれ
夏の丘へと逃 ....
沈めて
と願ったその刹那
更に深い夜はやってきて
静かな音を立てて流れていく砂時計
目に見えて時が落ちていく
君の指で触れられたうなじが
私の指先までも痺れさせ
それを悟られ ....
まぼろしか白夜の夢に君を抱く 鼓動ひととき重なりて、泣く
時を打つ鐘の音色も{ルビ夜=よ}の色も白くまどろみ繰り返す「恋」
白夜なら大地もぬくもり忘れずにいるから今宵は許しあお ....
鋼鉄を 遙にしのぐ
美しく、強靭な 折り紙細工の船にのり
飴色のラタンの椅子に腰掛けて
今宵もまた 私の人差し指は、
暗く果てしない 緻密な航路を正確になぞる
航行中もドアの向こう側には ....
子供は親の分身ではなく
意思を持った他人と思いたい
と同時に
自分の分身でもあってほしいと
少しだけ思いたい
今自分が死んでも
子供は親の分身であるから
生き続けることができるの ....
風は夢を見ている
ゆらゆらと揺れながら
青い空の夢を
気持ちよく描いている
風は夢を見ている
ふらふらと漂いながら
緑の森の夢を
心地よく遊んでいる
風は夢の中で
自分が風に ....
一 アンタレス disk1
君と夜の海辺を散歩していた、
はずなのにいつのまにか
空を歩いていた
頭上に、海
でも今日はよく晴れていたから
涙の一滴も落ちなくて ....
私は暗い地面の中にいた
じめじめとして音もなく何も感じない
自分という人間の存在すら分からない
生きているのか死んでいるのか
そんな簡単な事すら実感できずにいる
闇の ....
ひどく僕の指先が透明になる気がした
記憶の中の君は後ろ姿ばかりで
どんな表情だったかも思い出せない
ぼくは少しぬるくなったコーヒーを飲みながら
君がいつ帰ってくるのか、こっそ ....
あぁしたい
こおしたい
ダダをこねる僕を
下から僕は見つめていた
手を伸ばすと
冷たい
土の匂いがした
全てがもどかしくて
そう
もがけばもがくほど
....
昨日もまた
日めくりの暦が一枚消え
昨日を生きた言葉たちが
静かに眠る
昨日一番生きた言葉は
空だった
そこには故郷がいた
忘れていた思い出が
空の中に浮かんでいた
みんな幸せそ ....
やる気ない定期考査の勉強に机に向かえば夢へと向かう
始業ベル鳴って五分は頑張ったけれど眠気は容赦がなくて
取り敢えず解けるものだけ答えたら夢の世界へいざ参らんや
終業のベルでよ ....
疾走す十六の夏が跳ね上げる飛沫に眩み光に濡れて
夢よりも大事なものもきっと夢何追エバイイ遣る瀬ないまま
迷うのは間違っているからじゃない 信じたいのはたったそれだけ
傷つけるばかりの ....
大抵の車は白き色にして街も大概白き夏かな
散ることを知らずに咲けぬ霞草
この皿は一人暮らしの味がする
万華鏡最初の絵柄はよかったのに
一輪挿し咲いているのは違う花
地下鉄の窓の鏡が怖いだけ
あくる朝アドレス帳 ....
小さな一本のカーネーションをあげたころから
私はずいぶん大きくなりました
おこづかいが増えたり
バイトを始めたりで
年々プレゼントも 豪華になりました
でも 一番嬉し ....
朝日さえ当たらぬ
この長い廊下
軋みだけが
響き渡る
*
売られて連れられ
廓の網
格子窓から
手を出して
遊客に色を売り 遊客に色を売り
組み敷かれ色声
漏ら ....
曇った空の中で
光を探したけれど
どこにも見当たらず
心の中までもが
曇り始める
花も下を向き
自分もどこなくうなだれる
アスファルトの道が重い
自分が重いのかもしれない
進む道は常 ....
賽は振られた
目が六では足りないから
賽を追加
七
きっちりと納まる
そう、確率の問題なんだ
一番出やすい目で
一番望まれる数
二つの賽を手放す前後
前には出目の総てを握り
後には ....
南風に乗って、夏が
駆け込んできた
いつだったか あなたは
疑いなく寄せるそれを
レモンの光、と呼んで
指先で掬い上げて口付けをした
透明な時軸につかまって、僕は
ひとま ....
あなたが わたしを
過去のこととして
話すときがいつか
くるのかな。
だった・・・だった・・・だったって。
時間は無限に循環しているといいます。
じゃあ、この風はどこからきたの?
....
ススメ
知らないと決め付けていた心根に足をかけられ浮かぶ坂道
個室のテレビで
モノクロの映画を見ていた
画面に映る
その古びた部屋には
一台のストーブがあり
上に乗せた{ルビ薬缶=やかん}の口は
いつまでも湯気を昇らせていた
無 ....
あまえるなら もっとじょうずに
I want you
I want you
すなおになってよ もっとさあ
I want you
I want you
おとなになんかなんないで
か ....
つぼみですあなたの前では枯れるまで
曖昧は曖昧だからやさしいの
恋列車整備不良で停止せず
さいたま港そんな港は知りませぬ
残された飛行機雲を撃ち落とす
あなたといふ三文字 ....
考えながら眠りこける 考えてたこと忘れてる
農薬まみれのリンゴを洗わずに囓る
走り出したら止まりません 止めたいときは覚悟して
愛の言葉も銃声も ときには役立たず
いつも最新の情報は ....
赤い糸が見えるなら 黙って斬って
脈が打つままに 起こして狙って
眼鏡をはずしたほうが 視界がぼやけて
あのひとのこと 想像しやすいでしょう
誰かの代わりでも あなたなら構わ ....
かすかな朝のハジマリを
食い入るように見つめてた
温めなおしたもやもやで
ほつれたシャツが膨らんで
春影 遥かげに 響きだけ求めて
君ん家の前まで 花を敷き詰める
全て話したい ....
さらば地球よ
我が生涯に一片の悔い無し
夢のまた夢
ドラえモ〜ん
死ねばいいのに
どうにもこうにもまこっちゃん
一人はみんなのために、みんなは一人のために
死 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15