「生きるには辛すぎる」と語るすべての人が流す涙の味を
私は理解する術を持たないが
しかし私はただ一つの言葉を、確信を持って言う
(あなたに死んでほしくない
あなたは絶望を心の内に溜めこんで ....
ビルは氷柱(つらら)のようであって
交差点に、滴る微笑の鋭角が
夜はひときわ映える
空は無限の海にはあらず
月のマンホールに、僕らは吐き捨てる
ばらけた感情語
それを生 ....
折り返す列車は濡れて雨粒の数の約束待つ河原町
烏丸のホームで制服のリボンを揺らしてあの子は白線を踏む
閉じかけた夏の絵日記直線では描けなかった桂の警鐘
高 ....
■ミッドナイト・シャワー■
ミッドナイト
月のナイフで切る指に怖いほど、まだ滴るカシス
甘い、赤
舐めて
瞳に翻る
純情、孤独、叫ぶキラメキ ....
心に出来たほんの少しの隙間
埋めようとして 快楽に身を任せ
自ら泥沼に足を突っ込んでる
そんな自分が悲しくて
寂しさっていうのは、暇があるからできるんだ。
何も考える余裕 ....
ゆきすぎた夏のよこがおを
どうしても思い出せない
急行に揺られて
日よけを半分だけ降ろす
だれもいない改札で
追いかける風は
やさしいだれかと
海のにおいがして
すれ違う夏のよ ....
もうだいぶ短くなった青鉛筆を
今日も必死に削っている
先を細く細く尖らせなければ
気がすまないんだ
そのくせ
極度の尖端恐怖症なものだから
どれほど尖っているのか
目で見て確かめることも ....
クビを吊りたいくらい不安。
将来とか、学力とか、
ひとつもつかめない、
不安で押しつぶされそう。
三者面談をやった。
それからちょっとおかしくなった、
それで、今に至る、
おかしい ....
波の匂いがする。
まぼろしはわたしをさらうことはしない。
やさしさという風が、角のコンビニエンスストアに入っていった。思わず後を追う。ああ、ここにはいつも、誰かがいる。自動ドア ....
「らっぱのみ」って「ラッパの実」だと思ってた
ラムネの瓶で揺れるビー玉
宿題あるし
何十日も君の顔見れなくなるから夏休みは嫌い
毒々しく赤く染まった舌を見せ笑う少年
まるで悪魔だ
すなでつくったおしろ
おおきいな
うれしいな
でもね
かんたんに こわれてしまう
かんたんに。
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ
・
・
・
机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないこ ....
「リトマス紙がなにでどうなるか」のように忘れてしまいたい夏がある
まだ明日を信じていたからサヨナラを 告げた渚にゆらぐ太陽
ケンケンで駆けた砂浜しゃらと鳴る 乾いた粒子、ただ熱 ....
ビニ傘の心棒だけが側溝の蓋の隙間に刺してあります
眠れない 夜には君の その胸に
耳を押し当て ただしがみつく
君が居ない メトロノームを 出してきて
「65」にして ベッドにもぐる
身体の中で潮騒を飼っている
辞書はそれを焦燥や憂鬱や歓喜などというが
潮騒はそんなにもシュハリ、と
姿を変えるものだろうか。
生まれて初めての始発に乗った。
どうしてだろうかとは考え ....
りっしんべんに 新字体の
柔らかくなる きみのかたち
なぞらえる 次ぎにくる列車の電報
ドタンド タン カッタカッタカッタ ア ゴー
コウヒイの煙 たちのぼる屋根
スウ ....
ねぇ そうなんだろう(知っているよ)
指を一本絡めて泣いた
あの日死んだあの暑さを思って
ちぎったあの日は
いつまでだって箱の中
ねぇ 知っているよ(そうなんだろう)
君の ....
静脈を流れていった
幾度かの夏がありまして
網膜に棲みついた
((ただそれだけの))海があります
無人の駅舎―――ああ、思い返せば
入り口でした この仕掛け絵本の
....
夕闇と暗闇の姿消え失せて煌々と輝く破滅への光
灯火を手に入れたとき我々は動物ではなく人間になった
夕方に「暗くなるよ」と母の声今は聞こえぬコンビニの光
地の上が賑やかだか ....
身動きを許してください水底は26時のネオンさえ青
息継ぎを忘れた彼女が電池式だったと知った火曜のメトロ
遺失物届けの欄に書くべきはリセットキーか押す指なのか
「き ....
祖母は絵に描いたような大阪人でした。商売が大好きで、勝気で、たまに口が悪くて、酒屋でしたからものすごく酒には強くて、花は大ぶりの派手なものが好きで、ついでにヒョウ柄も大好きで・・・そんな人でした ....
それぞれに
ぽっかり開いた胸の穴
貫いてゆく
いのちの言葉
春終り夏へと変わるタイミング恋から愛に変わるのに似てる
聖火リレー混乱の中駆け抜けるランナー達のまあるい心
あの、ね
君の語りの中にはいつも海があって
壊れた砂時計が海岸線を塗りつぶしている
波はいつの間にか言葉になって
こだまする、喉の奥
赤いうさぎを抱いた少 ....
ダイエット中だというのにばいちゃんは飯とお菓子を食え食え迫る
雪がとけ木の実に混じり現われる二つに割れた銀の歯車
先生や親と呼ばれる生き物が同じヒトには思えなかった
....
あなたは桜だった
溶け孵化し
桜の花びらに似せた羽根で
ちろちろ漂うモンシロチョウ
桜は高い
届きそうもなくて
飛んでいけたら
あなたの頭に留まってリボンになってあなたを飾る ....
あなたはいま、幸せですか?
君の単純な問いかけに
イエスともノーとも言えなかった僕は
不断桜の幹に身体をあずけ
枝先の小さな葉を気にしていた
こいつも光合成してるんだなあ
陽ざ ....
現代詩フォーラム創作系スレッド「○現代詩フォーラム短歌部○」の「第6回 短歌祭」は参加が31作品と、盛況でしたね。
色々読ませて頂いて、すごく面白かったです。
せっかくなので、短歌祭に参加された方 ....
「第一話・名もない色」と書いてみた。二年と五日前の扉絵
漁火というたましいに導かれ浴衣のうさぎ逃がすわだつみ
王冠を貝に譲ったソーダ水だまりこんでた午後がいとしい
消 ....
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