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それは黄昏れ時の一室 夕、だった
蛇と蛇は見留め合い からまった
それは黄昏れ時の一室 ふたり の ....
彼方へ彼方へ
はるか彼方へ
水を求めて
足取り軽やかに
綺麗な一瞬を
あの頃の笑顔を
ホログラム
乱れて、攀じれて
ひたすら笑っている私たち
ここは目的地
最たる果てで雄たけびを上 ....
封を切った宇宙からは、
懐かしい薫りがしました。
お久しぶりです。
と、
挨拶をして、
あなたを二匙。
ゆっくり沸かし、
ふんわり注ぎます。
....
押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができ ....
僕が君の一番好きな人になれたら。
たったそれっぽっちのことなのに。
それっぽっちの奇跡は起こらない。
君にはもう一番がいるから。
僕のそれっぽっちは永遠に叶わない。
だ ....
【壱】
梅雨が開ける前に
雨の一本一本を捕えて
君に贈る
つけ睫毛を作りたい
雨の繊維は透明で見えないが
縁取られる君の瞳が
香り立つ水分で
もっと
いっそう
潤んで見えて ....
地球の形を呪ったのは
近づくほどに遠くなるから
オレが呼吸を忘れた頃には傍に居て愛して。
…なんて軽口。
息出来ない位の眩暈でもって
彼岸をただただ夢見てた。
「好きなんだ」
言えやしないままオレは死ぬのか。
ただの ....
多分僕は 優しくなんてないし
多分僕は 沢山間違えてる
多分僕は ひどくひどい人だし
多分僕は 多くのモノを失い続けてる
多分僕は 君の知らないところで
僕すら ....
どうぞ私を殺してください。
死んでしまうことは悲しいけれど
それでもあなたに殺されるのなら
最期の一瞬だけはあなたを
もう一度見つめる事ができるから。
もう一度ぬくもりを ....
ずぶりと右足が沈み込んでいく
足もとには静けさがたまっている
どこまできたのだろう
どこへ行きたいのだろう
さっきつけたテレビは光り輝いて
冷たくなった僕を映してる
何もかも消えればい ....
道端で猫は死んでいた
まだ少し温かくて
血を沢山流して
死んでいた
この寒空の下で眠る彼が
こうして冷たいアスファルトに横たわっているのを見ていると
僕も彼も
なんだかひどく ....
“死にませんよ”
春の夜明け
川ぞいの土手を歩いていると
魔王と出遭いました
鼻水をずるずるとすすっています
まだ寒い中僕を待っていたようです
とりあえずティッシュを渡すと
魔王 ....
雪の降った夕暮れ
すっかり冷え込んだ空気の中で
黒いコートのポケットに手を入れると
黒い皮製の手帳にいきあたりました
そう
全てはこの手帳が始まりでした
死神の僕にとっては ....
“その名前で呼ばないで下さい”
“約束ですよ”
昔の夢から目をさますと
見なれた白い天井が水晶体に写りました
ベットから見える空の色は群青色に染まっています
いつのまにか眠って
....
“眼鏡の度があってませんよ”
俺には死神のじぃちゃんがいる
母さんの名付け親だ
父さんが死んでから
母さんは死神のじぃちゃんと二人暮しを始めた
俺が面倒を見ようかとも言った ....
“真夜中に雨が降ると良いですね”
押さえ切れない怒りの中で
死神の言葉はそれだけしか聞こえませんでした
息子が一人暮らしを始めました
あの子にも手がかからなくなって
お互いに二つ ....
“言葉にはきちんと止めを刺してあげなさい”
俺のじぃちゃんは死神だ
母さんの名付け親だから
血が繋がっているわけではないけど
昔からよく遊んでもらって今も良く遊びに行く
命がかかわる ....
“かえりみちでほたるをとってきてください”
平仮名ばかりのメールが届いたのは
電車が駅にすべりこんだ瞬間でした
アドレスは息子のものでしたが
明らかに使いなれていない平仮名と文調子 ....
“白い蛾が産まれると困るのでしばらく家を出ます”
“追伸”
“白い蛾を見ても殺してはいけませんよ”
こんな置手紙を残して
死神が家から居なくなりました
いつも一緒にいた名付け ....
“回転木馬は月夜が本番ですよ”
目の前をスキップしながら語る死神の後を
私は諦め半分で歩いていました
夏の果実は真っ赤に熟しているというのに
少し遅めのマリッジ・ブルーが私を襲っていま ....
“夜霧よ今夜も有り難う”
風呂場からのん気に聞こえてくる鼻歌を尻目に
私は部屋を出ていきました
前前から
死神の電波加減や頑固さには目を瞑って来ました
でも今回ばかりは限界です
私 ....
“朝は優しく起こしてください”
というのは
寝汚い死神のきまり文句です
名付け親の死神は寝起きが最悪です
五個の目覚ましなど死神の眠りの前では無力なので
死神を全力で蹴り起こすこ ....
“電車に乗る時は”
“なるべく人の多い車両にのりなさい”
“蒼い電車に出会ってはいけませんよ”
口うるさく喚く死神を後に
私はドアを閉めました
名付け親の死神は時々どうし ....
夜 たった一人で
街の灯りを 見つめて
僕 たった一人で
遠いあなたを さがして
いつのまにか たった一人
僕は たった一人
つなぐべき 手もなくし ....
“夜に抱きしめられてはいけませんよ”
というのは
死神の口癖です
死神は
私の名付け親です
両親を無くした今
一緒にくらしています
命にかかわる問題以外は
かなりアバウトな ....