電車を降りたら
小雨が降っていた
セブンイレブンで傘を買った
駅前の商店街を抜けると
道は一気に暗くなる
細い道の両側から漏れる
家々の明かりがメインで
わたしは足早に家路を急ぐ
朝
....
080605
三丁目は二丁目の先です
一丁目は通り過ぎたので
覚えていらっしゃらないかもしれません
四丁目はありません
しかたないので続を加えます
....
そうだ
あの夏の日に見たのは奇跡でも何でもなくて、ただの現実だった
忘れないようにしている
夏
僕らは、三丁目の角を曲がることにしていたのだ
赤信号の下にいた少女の制服はすでに白襟の ....
夕暮れ時 太陽の沈む音
二度と戻れぬ今日の日に「またね」と声をかける子ら
薄明かり 絵画のような雲の色
ひとりふたりと木馬に乗って帰っていく
どうしてこうも世界は緩やかに
まるで明日 ....
台所で人形を洗っていると
まだ生きた人しか洗ったことがないのに
自分の死体を洗っている気がして
かわいそうな感じがしました
列車が到着したので
あまり混んではいなかったけれど
....
川崎LAZONA5階
木のベンチに腰を下ろした僕は
各階に店の並ぶ円形広場を眺める
小さく見える人々の
行き交う傍らで
ステージに立つ
君の唄声を聴いていた
君の息子 ....
電灯のスイッチが見当たらなくて
君の顔が見えませんでした
夕暮れで 僕は
君に飲み物を出したろうか
僕は君に 飲み物を出したろうか
それはもう三日も前のことだったろうか と
オーガンジ ....
{引用=
うすいあおでゆびをきった
やましいこころ、あばいて
なみだめで、まだよくみえないころ
きみはこれからどこへいく
ぼくとこれからどこへいく?
ライトブルー、ライト
あ ....
天涯孤独だからさ…
それは、あなたの口ぐせ
帰るべき家があって
待っていてくれるひともいる
それなのにどうしてそんなことを言うのだろう
こころの空白を満たそうと
終わりの無い旅 ....
片手くらいの
かわいい顔した手帖があって
女の子のような
詩がたくさん書き連ねていた
僕には
春の風を思わせる旋律が聞こえ
夏の陽気さを感じる水彩画でもあり
ちいさな言葉たちだが
海原 ....
灰色の雨が上がって
ようやく緑が光り始めた
葉脈を辿る水の音さえ
響いてくる気がする
穏やかな五月の庭で
白いシャツが揺れる
遠くから届く草野球の掛け声が
太陽を呼ぶ
きみ ....
ことばの森の中
今日も歩き続ける
迷い込んだ
ずっと奥深く
流れていく
ささやかな小川は
さら さら と
どこに
流れ着くのだろう
ことば
それはただの
ツールにすぎない ....
先だって火星に着陸した惑星探査機フェニックスには
地球遺伝子コンペで優勝した「火星タンポポ」の種が積み込まれていました。
タンポポの根はどのような解析装置よりもはるかに深く
隠された繊細な水脈を ....
おそらく灰色の 町外れの停留場は
傘の上のダンスの 懐かしい音がするので
目玉の星が キラキラ光ってしまう
セルロイドは酸性雨に弱く
ネジ式の動力で
スキップをしながら溶けそうにしてい ....
まるでもう梅雨が明けたような日だった
絡みつくような熱気
三番線のアナウンスが陽炎に揺れる
横ではサラリーマンが
つまらなそうに電車を待っている
僕はただ
いつもの青いタオルで
額の汗を ....
ダイヤモンドが燃えた
白い皮膚で
月が燃えているという
小さな嘘で
笑い飛ばしてしまおうよ
わずかばかりの白い炎が
燃え尽き果ててしまう前に
穴のあいた靴下を
霧雨のより糸で繕 ....
泣きはらした様な空が
広がり
あたしのうちまたを
細い暖かい体液がまたながれて
玄関の先の土を濡らしてる
うすぎたない腕を
切れそうな糸のように伸ばし
母が若い稲のようにふさふさとゆれ
....
{引用=
青い夜道
降りしきるものに
真紅がまじり
花片を踏みしめ近づく
白い脚先
冷たい絹に包まれた
やわらかな しなやかな
抱きしめても届かない身 ....
ここで会った人にさよならでもないのに
さよならを言いたくなる
すぐに気は変わって
さよならは言いたくなくなる
代わりに、やあ とか どうも だとか
こんにちは を試したくなる
....
屹立した断崖に守られた
小さな浜である
波は平たく伸びて
漂着したものたちの空ろを
静かに洗う
持参した
小瓶のコルクをひねると
砂つぶのような詩がこぼれて
波にさらわれてゆく ....
テーブルの向こうには
崖しかないので
わたしは落とさないように
食事をとった
下に海があるということは
波の音でわかるけれど
海鳥の鳴き声ひとつしない
暗く寂しい海だった
....
ニンニンが餌をねだる
初夏には寒い夕暮れ
上の部屋からカップルが団欒を囲みながらこぼれる笑い声
散かった部屋
灯りが白々しい
ニンニンが餌をねだる
初夏には寒い夕暮れ
....
・
わたしの家の郵便受けには
朝になるといつも
赤い花がいっぱいに届けられる
露を含んでぽったりと
流れ出しそうな赤い花だ
どこかにわたしを好きな人でもいるのだろうか
捨てるに捨てられな ....
震える手で引いた線のおしまいの部分
そこから少しだけ離れたところに小さな点を打つと
その点から黒い煙が垂直に立ちのぼっていく
火葬場の煙突から吐き出されるものよりも弱々しく
煙草の煙よりはずっ ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない
誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる
*
夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
魚が潜って行く絵だ
深海ではないような気がする
かと云ってこの頭の中だけではないのだ
大きな
魚ではない
小さな魚の大群でもない
どちらかと云えば弱者でありたい
大義名分 ....
080513
水色の空に雲が流れ
時間が止まっているようにも見える
体育館では
子供たちが遊んでいる
にぎやかな声に
忘れかけた記憶 ....
素足に若草
浅く緑の
木々は萌え
目眩するほどに
花曇りの日なら
なおのこと
生まれたてのそれらは
やわらかに躍る
耳に愛しい鳥の名を
春になるたび
あなたに訊ね
匂い淡しい ....
教会の壁は白いものだ
僕はそう思う
緑色の夏の池の前に立って
池の向こうの森に
屋根と十字だけが見える
教会に行こうとしないままに
*
よく晴れた休日には
出歩 ....
空のすみずみまで血はめぐり
いつもの午後が
今日も静かにあくびする
ふと目が合って
空の心臓が
止まりそうになった
手を繋いで歩いたら
真っ赤な大きな心臓が
名残惜しそうに ....
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