混みあった電車の中で
携帯電話の画面を見ながら
泣いている男性を見かけた
年齢は三十代前半くらいだろうか
声はあげずに
時々
窓の外や
中吊り広告を眺め
今にもぐしゃぐしゃになりそうな ....
風の手触りなど
いくらでも描けてしまうように
わたしとあなたの
輪郭は
ありふれた景色なのかも
知れないけれど
戯れることの
ひとつ
ひとつに
やわらかく透ける名前があって
眠 ....
ゆらり金魚
ふわふわ踊る朱色の帯
髪結い上げた女の子の
すくい網から
グルリと
あわてて
飛び出していく

金魚
しなやかに
泳いで
見えないゴールを
いくつも越えて

金 ....
ばっさり斬り落とした短い髪に
唖然とたたずむ
 (なんか、めんどくさくって
照れたように君が笑う
右の頬を隠して

僕の知らない君の夏
正しい折れ曲がり方なんて
よく分からないけどさ
 ....
一羽の鳥が空をゆく

わたしには
その背中が見えない

いつか
図鑑で眺めたはずの
おぼろな記憶を手がかりに
爪の先ほどの
空ゆく姿を
わたしは
何倍にも引き伸ばす

こんな ....
放課後には、
音楽室から聴こえる
ソプラノが
一日の中で一番
しっくりはまる少女、何処か夕暮れに似た、

朝には
誰にも触れられていない、
まだチョークの匂いすらしない教室でひとり
 ....
夜が深くなった頃
静かな優しすぎる時間
窓の外では月が おやすみを呟いて
それでも声は透明で音すら存在しない
昨日見た夢の断片も もう忘れてしまった

読みかけの本を開いて
いつか千切れ ....
長い陽も沈むよう
医院の外灯が付いて
傘の影が三つにひらく
バス停にひとり

何も捉えぬ目で
車道の先に見た夢も
呆気なく流れて
ちっぽけで哀れな足を
ざぶざぶと濡らす

雨粒は ....
ネコが網戸に張り付いている
白いネコだから

ネコが網戸と化している
曇り空だから

ネコは宇宙からやって来た
よろめくような遠方の
夜空しかない白昼の星を発ち
土管経由で

「 ....
競うように加速してゆく
コットンキャンディーの群れ
夜の芝のうえを 不穏に

湖につづく川面をすべって
あなたの髪のさきに ぼんやりと灯る光を貫いて走る
モンスターのうしろ姿

扁平の ....
冷たい消毒槽は
三歩で渡ると決めていた
プールサイドの足跡が
しゅわしゅわと、夏にしみこむ

浅黒い肌の散らばる奥に
見え隠れする
白い朝顔
先生の御子だという
なるほど、鼻筋はそっ ....
押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができ ....
いつまでも気付かなければ良かった
と思うことがある
熱帯夜の寝苦しさに目をふと覚ますと
わたしの知らないおとこのひとが
わたしの横で寝ていて
二つ並んだお揃いの枕と
ふたりで寝るには狭いベ ....
雷鳴に少し怯えて
ようやく雨が遠ざかると
いつしか黄身色の月が
丸く夏の宵を告げる

湿度が首筋に貼りついて
ついさっき流れた汗を思う

狡猾な二本の腕を
互いの背に回して
策略の ....
すぎていくものに吹かれて
川辺で季節におびえ
一掴みの名も知らぬ萱よりも
かほそくゆれ
ただ老いていくことに
腐っていくのでしょう

笹舟のように
未来にむかってちぎれていくものが
 ....
南にむかって
角をひとつ 曲る
てのひらに 
陽の照るように
ゆっくり

あなたのほほからたちのぼる
あたたかなあめの 午後は
甘くて
空をむかえる地べたのように
五つのゆびを ....
この路地裏の
アスファルトのひび割れは
どこかの埠頭の 
それと 
似ている

相槌を打ってもらえる筈が
ここにあるのは
頬を刺す風



見上げる雲の隙間から
一筋の光が降 ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋

殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
空は虹色に溶け
得体の知れない甘さが
いちめんに薫り立つ夏のゆうぐれだ
長い夏のゆうぐれだ
君の記憶が
水のように透明に
けれど水よりも濃い密度で滴ってきて
それは容易く
私の現在を侵 ....
君の声を聞きながら
僕は背中で昨日の夕陽を夢見ている
後ろ向きに眠りたい夜もある
紙飛行機だけが日付を越えていく

いつも聞こえるユーモレスク
君はどこまでも繰り返しで
世界はいつでも思 ....
お見合いしないの?
って、長いつきあいのおんな友達に聞いた。
「しないよ、どんなの来るかわかんないじゃん。」
いやなら断ればいいんじゃん。
きっとさあ、

銀縁メガネでさ。
市役所の市民 ....
額ぶちを
ばさりと
鳥が斜めに横ぎった
びくりと
骨ばった視線の止まる
瞬間

空腹も満腹も
傷口もかさぶたも
窓の光に
照らされる
額ぶちの向こうからの光に

もはやここし ....
ここ数日波がない
今朝も七時前に降りて
朝焼けをちょうど見逃したぐらいだったが
水平線は透明で
空も海もやさしい
海辺のディスコの
アフロのカマレラがモップかけてるが
その動作もやさしい ....
いつも通る公園の入り口に
いるホームレスのおばちゃんがいなくなっていた
でも
そこにあるマグノリアの木に
真っ白い 大きな花が咲いていた
おばちゃんがその大きな白い花の中から
にこにこ手を ....
ちょっと、いちれんの投稿を読ませてもらって

どうやら

ものすごい気合を入れて詩を書いている人
趣味でてろてろ詩を書いている人

が、いるのね。

ものすごい気合を入れて詩を書いて ....
にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
   
{引用=  あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
  越えられない高さに、すこし安心した}   





砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
あなたにも

嬉しい気持ちを

おすそわけ
それは
濡れた樹々の梢に透かし見た
緑の扉
明るい庭先のその扉を夢見る
光と影を刻み憧れにたたずんで
あるいは移り変わる街の喧騒の中に
待ちくたびれて
人知れず錆びついていたあの扉
そ ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
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