床に線を引いて、
彼女は国境を決める。
彼女はとても怒っているので、
とっても横暴に決める。

彼女は地図を作ったので、
ぼくらの部屋は地図になった。
彼 ....
ここは田舎町だから
電車の中はいつもの様子
ポツンポツンと
どこに座れば良いのか
迷ってしまう
どうせ辿り着いてしまう

ガタンゴトン
揺れる
窓の外には
見慣れているという
さ ....
外が
ひどい雷鳴なので
ベランダから眺めてる
夜を

そこが
どこだかわからない
ただ
重なって空はゆく

見下ろすと
街路樹はミニチュアだ
濡れた道路を
ヘッドライトが舐め ....
かみ合わない歯車に、また少しだけ時がずれる

秒針のきしみは それでも
壊れたメトロノームのように 私を、
追うから
逃げ込んだいつかの雪原で 私は、
細雪がわずかに切れる夢を見た

 ....
ちゃぷり、と
月は青空のお風呂に浸かり
朝陽に白く霞んだ

今日も随分と
夜を照らしたものだと
そっと呟く

早く寝よう、と
いつも思っているのに
太陽と話し込んでしまう

長 ....
     1 序章

慎ましい木霊の眼から、
細い糸を伝って、子供たちが、
賑やかに、駆け降りてくる。
溺れている海の家の団欒は、
厳格な父親のために、正確な夕暮れを、見せている。
見開 ....
市場通りに一尾の魚が落ちてゐる
眼は赤く悲しげに潤み
視線を曇天へと彷徨はせる
そして
路面についたもう一方の眼は
闇の地の深みを透視してゐる

魚は期せずして
天国と地獄を
同 ....
                    
?.

まだ葉が落ちない
白樺の上に
黒猫がいる
のを
見ている
うつくしい猫で
目が
とくにきれい
久しぶりだけれど
思い出 ....
中国人の女の子が
俺をじっと見ている
秋晴の真っ青な空の下
バスは
俺たちを乗せて
ゆっくり坂道を登ってゆく
母親が
女の子の目線をおって
俺と
目を合わせ 微笑む
 ....
秋が風になびく
僕らはぼんやりと空を見上げながら
くっきりと今を抱いている

君の話す言葉が
木々の合間に踊り
遠い獣が夕暮れを呼びはじめる

生温いカフェオレの缶
高い枝の上で大き ....
日々の風景が
柔らかい布で
硝子の小鉢を撫でている

堆積する繁華街の雑音と
踏み付けられたスニーカーの踵と
人知れず花びらを千切る風

この窓の外側では
幼い子供の笑い声と家族の灯 ....
見覚えのない住所から
冬の匂いの封筒は届き
記憶の引き出しから
銀のペイパーナイフと
あらん限りの想いの欠片とを
わたしは交互に取り出す


かさり、と開くと
月夜の薄明かりのなかで ....
駅前の寂れた広場
少年がギター片手に
この世の終わりを歌っている
死んだ魚の目をしている

完全だろうが不完全だろうが
事態はすでに起こっていて
動いていて生まれては無くなっていて

 ....
2年前 
中年夫婦で営んでいた 
ふっくら美味しいパン屋さん 
大洪水で流された 

跡地には 
独り身の{ルビ若旦那=わかだんな}が一人で開いた 
手打ちの美味しい{ルビ蕎麦=そば}屋 ....
さくらがみたいのと
おまえは呟く

けれども
おまえの為に
こんな時期に
桜は咲いてくれないのです




ようちえんにいきたいの
とおまえは呟く

しかし幼稚園は日曜日に ....
わたしのくびれを
無数の星砂がくぐりぬけ
今か今かと
あの人からの着信を待つ
動脈に溜まり過ぎた
星砂で
浮腫んだ下半身は辛いから
壁際でくるり
倒立でもしてみる
静脈を辿る星砂の勢 ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
本当の暗闇と出会う
それって
なかなか難しい
ひとつひとつの灯火を消しても
寝付けぬ夜に何処より話し声が漏れて
この街の闇は仄かに明るい
本当の暗闇
それは遠い日の感触
胎内にいたとき ....
 
少しも嬉しくないのだ、という顔をして
柔らかく笑う君が
この手の中に入ってしまえば良いと思った
誰も
許さなかったけれど


喉の奥が鳴って
もっとずっと奥が痛む
そういう ....
いしきとまる裏通りの星にふれ
かぜにひかりながら
まきあがった燐屑のポケット
スペースから既に世界は切り取られ
創傷な気圧はとても静かな私をうけいれた
しばらくの沈黙 またたき彩 ....
 

落ち葉の中に
紛れ込んだスズメは
保護色の枯葉を
ホームグラウンドとして
はしやぎ回つてゐる


いくら喚いても
掻き鳴らされる
落ち葉の
大仰な音には
自分の声すら聞 ....
緩やかな曲率で
道は行き止まりまで続いていた
そこより遠い場所を
知らなかったので
墓標はその岬に、と決めていた

漁火の整列する底には
冷たい海流があって
行き止まりの
もっと向こ ....
棍棒を
作った
オークの
頭四キロの

素振りを
ずっとしてた
だってお前が
怖がるから

引っ越した家は
夜少し静か過ぎて
お前が怖がるから
まあ実は俺 ....
雨を連れてきた少女が
優しいソプラノで歌い
美しい夢を見た男たちは
花嫁の所在を探し求めて女たちを殴りつけ
少女は如雨露でうす桃色の野花に水をやり
男たちは銃砲店を襲撃し
花園には霧が立ち ....
お前の髪
蚕の繭だったらなあ

白くて細くてふわんとしてて
綺麗だろうなあ

俺はお前を紡ぐんだ
糸車を
カラカラ言わせて

それから織って
お前は美しいすべらかな生地になり
 ....
魚の名前や花の名前に似ているけど
それとは違う言葉
直線ではなく曲線にも似ていない
それでも閉じている言葉

数え切れないそれらを
生み出しては忘れ去り
墓標をたてては
思い出と気取っ ....
一見、ト音記号のような
タツノオトシゴは

誰のためでもない、その姿形で
何のためでもないかもしれない
秩序を求めて

海中を
ゆっくりと動き回ります。

秩序なんて結局は
 ....
ひとりぼっちのサンディ
夕焼けのまるのなかで
さんかくばかりかいていた


ひとりぼっちのサンディ
太陽の光に照らされて
世界が水晶よりも静かに
組み立てられていった


うたの ....
地面には 
ぺちゃんこのかまきり 
おどけた鎌を振り上げて 

お前は偉いな 

踏みつぶされても 
踊ってる
旅が
かすかにかしいでいる
分かれゆくかがやきの幾つかが
道に沈み 泳ぎ去る


家の陰に落ちてくるのは
わずかに早い 未来のまばたき
午後を閉じては
またたかせている
 ....
ku-miさんのおすすめリスト(657)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「_まっぷす。_」- PULL.自由詩23*06-11-16
車窓- 青山スイ自由詩6906-11-15
たかいところ- umineko自由詩9*06-11-11
ささめゆき- Rin K自由詩45*06-11-10
太陽の偽善月の憂鬱- プル式自由詩9*06-11-10
夜を夢想する海の協奏- 前田ふむ ...自由詩27*06-11-9
路上- 杉菜 晃自由詩14*06-11-9
黒猫の星- 水在らあ ...自由詩38*06-11-9
秋晴- 水在らあ ...自由詩40*06-11-7
- 松本 涼自由詩6+*06-11-5
琉球硝子- はらだま ...自由詩12*06-11-3
ベルベットの夜- 銀猫自由詩24*06-11-2
祈り- 青山スイ自由詩1306-11-2
消えた店_- 服部 剛自由詩8*06-10-27
さくらはなぜさくの- 自由詩92*06-10-27
ときめくと言うこと- 恋月 ぴ ...自由詩23*06-10-25
空腹- たもつ自由詩3606-10-14
永遠ということ- 恋月 ぴ ...自由詩43*06-10-11
布レンズ- 田島オス ...自由詩4*06-10-10
童心- キメラ自由詩406-10-9
スズメ狂想曲- 杉菜 晃自由詩9*06-10-9
風、とまどう鳥よりも- たりぽん ...自由詩14*06-10-8
棍棒- 水在らあ ...自由詩26*06-10-8
水の都- ダーザイ ...自由詩11+*06-9-29
紡ぐ- ふるる自由詩33*06-9-23
大人になって、僕は- たりぽん ...自由詩18*06-9-12
タツノオトシゴの秩序- ブルース ...自由詩406-9-12
ひとりぼっちのサンディ- 青色銀河 ...未詩・独白306-9-10
標本_- 服部 剛未詩・独白11*06-9-9
けだもの行(いとふるみち)- 木立 悟自由詩606-9-5

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