一瞬で
車に乗りながら
だんだん消えて大きくなるセミの音も
やんやんやんに見えた
やんやんやんを止まって見るのは難しく、色んな情報が入ってくるやんやんやんは
音か 光か ....
水になろうとするように
魚が魚のかたちで泳いでいる
そんな潮溜まりでは
生きものの群れがまばゆいという
空を仰ぐひとは
吐息ほどの
祈りの水を浮力にかえようとする
浮いては沈む
....
星島 〜タカラジマ〜
銀の帆の船は拒まぬ「可能性」ムゲンのココロ映せるものは
指で作る望遠鏡に反転のスカイオーシャンさよなら地球
広すぎる世界 ....
かたちのある世界は
祈りのまえでは
透明人間のようなものだ
祈りは
かたちのない世界にある
かたちのある世界で
かたちのないものに祈る
かたちのある ....
{引用=
事実、失われたものたちが/こどもみたいなことを
眉間に集束して、にこやかに手を振っている/窓際に並べ合って、トランプしている
夏の蜃気楼に酔った、寂しさの群れが/失 ....
旅だとか
なんだとか
の前で
ぼくは無性にくすぐったくなる
ここは星がきれいだ
ただ、それだけでよかった
くちにする言葉なんて
くだらないことばかりで
ハンドルを切り損ねた ....
夏休み
なんかいめかの
花火をする
お盆さえ
いっしょにいてやれなかった
贖罪を
火にくべる
はなやかな花火のあとに
さっきした
線香花火
....
札幌の上空でカモメが鳴いている
どうやらまだ私たちを海へと誘っているらしい
窓を開けていた部屋の分だけ
住宅街に波がよせて 返した
積み残した雲を片手に ベランダへ出た
澄んだ宵闇に満月 ....
僕が不安だと
君は 時折思い出したように呟き
そっと 僕の袖を掴む
自分の感情と 人間の形の不確定さに
君は押しつぶされそうになって
言葉だけで繋ぐには 大きすぎる想いに
僕は
....
真下に拡がる海原は
厳しく削られた岩の入江を包み、
とうに半世紀を過ぎた
今しも汽笛の鳴る港へと
煌めく{ルビ漣=さざなみ}を寄せて
夏の賑わいが恋人達とともに
古い桟橋を大きく揺らし ....
夏空の雲
お、あれは俺だ
俺は夏空なんだと
勘違いしている
雲だ俺は
もこもこもここもこもこ
宇宙からのぞけば
たんなる地球の模様だよ
夏空の雲 ....
全て乾いて
回り続けた
車窓に滲んだレールの錆が
鵲の群尾に一つ文字を願い 回る
回って、それは
草みどり 瓦屋根
白熱灯と傘 老女の舌先
流れてゆくのは
車窓に滲んだレールの錆が ....
かたちにあらわれるものについて
うまくなりたくなんかない
かたちからはいる、のも
かたちにあらわれないものにむかう
かずあるやりかたのひとつだろう
みえないところをがんば ....
気づけば豪雨のような音響にぐるりと包囲されていた
オグロヌーの疾駆するさま
出発するときは頼もしかった
ごついジープも心細くなった
ファインダーの向こうにあるのは、ゾーンだ
....
かたいものは冷たい
ノートに走り書き
それから探しはじめる
かたいけれど、
冷たくないものを
かたいってどんくらい?
それを考えるのも
おもしろいかも知れない ....
ジャンプして
空の高さをめざしていた
虫たちの翅が透明になった
さみしいね
ぼくたちの夏が行ってしまうね
とうとう本も読まず
砂だらけの栞を挿んだままで
ぼくたちはまた
....
庭に舞うチンダルブルーの鱗粉が日に灼かれて
ちりちり して
なんだか今日は風がうるさいなあ
小さい頃の家の庭にも
同じのが飛んでいて
つかまえようとしてもひらひら
ひらひらと
あ ....
微笑みかけた頬
何もない明るさ
目を閉じたまま
早く目覚めすぎた朝
何かが既に去った跡
曇と曇のはざまの手
子の膝もとに蛇はいて
緑に金に
息をしている
....
お客さんには笑える
社員には笑えていない
そういう物足りない経営者が
いまの俺だということさ
さっきまで
誰もいなかった部屋は暑い
そんなこと
夏じゃあた ....
奪われた約束までの昇階段 枷を片{ルビ瞳=め}に数え続ける
君の名を叫ぶ周波にふらついて砕けた硝子は星の模細工
慰めで引き剥がされた青のフェイク{ルビ鎖状=さじょう ....
カントリーが聞こえる
「もう歌わなくても良いかな?」
「ああ、いいんじゃない」
「ああ」
「ていうかさぁ、あなたが勝手に歌い始めたんでしょ?」
....
無数の生き物たちがざわめいている
走りながら{ルビ靡=なび}きながら留まりながら
かつてを振り返ることも無く
いつかを探ることも無く
連続する慌ただしい揺らぎの上に立ち
私は{ルビ空 ....
底を歩いている。ずっと。君の手で死に至る太陽が捥ぎ取られて、チタンのカップに絞られる。登山地図を開いてコンパスを合わせながら、私はさっきから携帯ラジオのチューニングをしているが、 ....
継母の喫煙
見つめている
あたしの喫煙越しに
扇風機の
あおい羽根越しに
りんごの木
ふしぎな果実
かしっ、かしっ、
あたしたちはさ迷う
....
外へ飛びたち
かけらを食べた
光になれない
鳥は何になる
次の虫がもう
鳴きはじめた
小さな背の原
熱ではないもの
葉をひるがえす
さよならを解く
....
きみの祈りは
僕からふとでた願いでした
きみの祈りに
いまじゃあ殉じる僕でした
緑の木陰にふとい風
きみと僕の
横っ面さらってゆく
きみの祈りは
....
滲んだ肌に香水が匂う、
視覚からこぼれた淡い影たちが
発せられない声とともに
音もなく、永遠へとむかう
冷たい未来の交じった
柔らかな過去の感触がまだある
つい今しがたも、
昨日も、 ....
サドルにまたがる
ぬくい風をぬうと
耳のなかでは
昔日の最愛が
飛ぶしろを採取し
ぬくもりしらべる
ぼくは いまも きみが
しかし きみも いまは
....
時計が示す時間は
昨日と今日の間の一瞬
そのなかで僕は昨日に戻りたく
今日が鬱で嫌いだった
それなのに今日が無条件で始まっていく
僕の将来は今の頑張りしだいとか ....
「え?リーチなの?」
「うぉっふ」
「嘘だよ〜、またチョンボじゃないのぉ?」
「うぅぉふ」
「ほんと?今度チョンボだったら罰金だよ、モモンガ〜」
「そうだよ、そうだよ ....
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