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草木萌動
そうもくめばえいずる
厳しい季節を越えて
蓄えられてきた力が
和らぎ始めた光と風の中へ
堪え切れずにはみ出す
樹皮を突き破って
凍土を持ち上げて
命のベクトル ....
そうだね ときいてほしい
なにも 教えないでほしい
ちがうよ といってもいいから
いったんはきいてほしい
おなじじゃないんだ
結局はおなじでも
そうだね ときいてほしい
君の ....
影と影は
こんなにもたやすく
ひとつになれる
犬とわたし
樹とわたし
電信柱とわたし
あなたとわたし
昼に束ねられていた
よそよそしさは
夜がくれば
溶け
すべての影と影 ....
スーパーで並んでいたときのこと
小学校一年くらいの男の子が
母親とおぼしき人に
何やら言いに行ったかとおもうやいなや
ばしっと音が響きわたるほどの勢いで
頭をはたかれた
理由はわか ....
言葉の針に意図を通すのは難しい
何を繕うでもなく
きれいなシシュウを夢見ては
チクリチクリと傷つける日々
《針子のトラ:2014年2月11日》
空もなく
風もなく
光もなく
雨も降らない
季節がない
そんなところに命があるのだろうか
あるよ。
声がした
家の建つ
ベタ基礎コンクリートで
固められた
土の中から
芽吹 ....
屋根が雨に叩かれている
僕を濡らさないように
屋根は僕を守っている
何かから
けれど
どうしようもない雨音が
僕の何かを貫いて
濡れないはずの袖口が
どうしようも ....
雨が好き
外出しない理由に出来る
何の予定もない休日に
雨が好き
水滴の音が心に浸みる
考えがまとまらない昼さがり
雨が好き
乾いた気持ちに潤いを
さよならを言われた夜に
....
手をかざすと こぼれる 木漏れ日のように
胸の奥の あったかいところで
あなたのことを ただ想う
元気でいますか
ごはんは 食べられたかな
苦しんではいないかな
笑顔で 過ごせてい ....
雪が降った!
私の住む町で
こんなに雪が降り積もるのは
何年振りだろう
熱いコーヒーを淹れて
窓辺に立って外を眺める
まるで紙吹雪みたいに
ひらひらと空から落ちてくる
ひら ....
腐る。
ギリギリのところで
なんとか持ちこたえている
としたら
死がとても怖い
かくれんぼしていて
うっかり見つけてしまった
小鳥の死骸にうごめいていたうじむし
その卵が
この空気中 ....
遠くを見ていると
そこに至るまでの道のりが
ないもののように
錯覚してしまう
けれど
その錯覚が
誤りだとは言い切れない
正しいこととも
言い切れない
わからないこと ....
なにもない
雪だけの原を歩く
目の前の白
後ろに点々と足跡だけが残る
まるで世界に
自分だけがとり残されたような感覚
孤独の影が走る
ドサリ、と音がする
木から雪でも落ちた ....
うちには時計が大小20以上はある
掛け時計 置時計 目覚まし時計
腕時計 携帯電話の時計 PCの時計
給湯器の時計 ファックスの時計
炊飯器にも時計が付いてる
時計が多過ぎてうんざ ....
こんな日は
決まって風が泣く
弔いはもう済ませたというのに
細い通路に
冬という冬が
我もわれもと押し寄せて
ひゅうう ひゅううと
うなるのだ
夢遊病者のように
あの音を ....
雪を被った針葉樹の臍あたり
ふっくりと一羽の雀
小さな瞳に世界を映す
やがて薄曇りの向こう儚げに
手招きをする太陽へと飛び去って
小さな黒点となり
視界から消えた
わたしの煤けた ....
異国の少女の瞳のよう 青く澄み
だが雲はお構いなしに夢の中の鰐だ
純白に生れ落ち
気まぐれな冬の微笑みにほだされる
だが夜には冷たくあしらわれ
朝には固く汚れた肢体を通りに ....
夕闇がやってくる気配
それは決まって
南向きの玄関の隅から生まれた
冷えていく板張りに寝転がって
図書室で借りてきた本を読んでいると
ふいに呼ばれる
声、
のようなものに
夜が
....
冬の音なんてどうせしないとおもう
私たちの前にはなんの音もない
空に浮いた私のカラダを
かろうじて文字が支えている
悲しくなんかないのに
雪がふるから痛いよ
まるで忘れていた場所か ....
揺すらないで
覗かないで
ノックしないで
猫はいや
汚いものが沈んで
息がつまる
追い詰めないで
掬わないで
閉じ込めないで
逃がさないで
窓はどこ
酸素が欲しい
....
白銀の光
冷たい熱を帯び
今
私と月の間には
透明な冬だけがある
はるかに遠いくせに
あっけなく近くなる
こんな風に
てのひらにのってみせるのは
何故?
まるで
弓矢を射れば ....
腰が大きく曲がった
近所のおばあちゃんが通るたび
あの中には何が入っているの?
と、母に質問して
そんなこと聞いてはいけません
と、言われた
大人はいつだって
ほしい答えをくれやし ....
栗色のたてがみをなびかせ
どこまでも駆けて行く
その凛々しい姿どこまでも
草原の果て 日の昇る場所
おまえは駆ける 駆ける
休むことを知らない
この大地をどこまでも
おまえはひとり駆けて ....
夜を抱いて眠っている
布団の中が宇宙だ
せっかちな朝が起こしに来ても
夜が放してくれないのだから
おれのせいじゃない そもそも
三百六十五日ごとにリセットされる
そんな人生を歩いては来 ....
薄紅の花びらの真中で
一匹の蚊が死んでいました
その造花の霊廟には
微かに白く埃が積もり
異なる時が流れているのです
知っていましたか
昆虫は外見が骨格なのです
死んだニンゲンが放置 ....
寝室の窓の外で
また今夜も
切れかかった街灯が
青白い点滅を繰り返す
この世に未練があるのか
ただ惚けてしまったのか
それとも
死二ユク前のあがきなのだろうか
今夜も
わたしの静 ....
冬の肌は
こわれもの
夕餉の火を落とし
手にたっぷりと
クリームを塗る
ひび割れから
そっとしみこむように
日常というものは
重力がある限り
何処に行ったとしても
そう変わ ....
朝がきた
薄ぐらいもやの向こうに
金色の光が輪をかけている
あなたが いつか その手のひらに
汲んできた水は だいぶ前に
何処かでこぼれてしまったけれど
....
君の歌声が響き渡る
僕の身体を癒すように
山間の誰一人いない公園で
一緒に歌うラブソング
周りの木々や山々にも届く愛
透き通った歌声が
透き通った現実を生み出す
歌声が周りと ....
仕事場のドアを開けると
早く来て掃除をしている筈の君がいない
代わりに卵がひとつ床に転がっていた
とうとう君は卵になってしまったのか
私には何も言ってくれなかった
淡いピンク色を ....
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