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草木萌動
そうもくめばえいずる
厳しい季節を越えて
蓄えられてきた力が
和らぎ始めた光と風の中へ
堪え切れずにはみ出す
樹皮を突き破って
凍土を持ち上げて
命のベクトル ....
本日は
絶好の洗濯日和
見上げる雲は
穏やかな光に浸されて
へたくそな君のハミングが
靴下とシャツの森で揺れる
色とりどりの洗濯バサミが
タオルと枕カバーの ....
開いて
閉じて
開き直る
胸のちょうつがいを
ギシギシ言わせて
自分の扉を開け放つ
隅から隅までよく見てみやがれと
立ち塞がった戸口の後ろで
気弱な本体が震えている
....
空のどこかが
解けて
みずが零れる
雨
モノとコトの上に
容赦なく
みずが注がれる
雨
雨
ぬるんだ雨は
葉っぱを揺り起こし
やわらかな雨は
根っこにじ ....
何処よりも早く
咲く花を見たくて
何処よりも早く
鳴く鳥を見たくて
僕ののどちんこは
大陸から張り出して
しょっぱい声で
波を歌い続けている
賑やかな言葉は
トンネルの闇 ....
光が次の
季節を連れてくる
風はそれを
押し戻そうとする
雨が次の
季節を置いていく
人はそれを
なかなか見つけ出せない
ひと雨ごとに
行きつ戻りつしながら
季節は摺り足で ....
ひんやりと
乙に澄ました器に
シャキシャキと
君が
降り積もる
すでに膝小僧が
溶けかけていた
僕は
やんちゃな眼差しで
それを見守る
じんわりと
熱を帯びた午後に
....
地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く
無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す
紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し
雨傘は
すべてを受け流そうとし ....
橙色の絵の具しか
見つからなかったので
君を描いてみた
夕焼けなんかじゃ
痛すぎると思ったから
青色の絵の具しか
見つからなかったので
僕を描いてみた
海なんかじゃ
....