すべてのおすすめ
別に、慌ただしい人生を過ごして来た訳じゃないけれど。
今、ゆっくりとした時間がもどかしくも愛おしい。
そして、不安で満ち溢れてる。
いつまでも続くとは思わないが、もどかしいこの曖昧さ ....
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ほら肩に蟻がいる
友達の言葉に慌てて払った。
秋の陽射しの中、
落ち葉と一緒に落ちて来たのか、
払われた蟻は水溜まりに落ちてもがいていた。 ....
ふいに目の覚めた深夜
妻の亡いひとり暮らしの老夫は
布団から身を起こす
サイドテーブルに置いた
リモコンを探りあて
ボタンを押す
テレビに映し出された
モノクロ画面 ....
人が大勢居ます
彼らの表情からは感情が読めない
ねぇ、どうしちゃったの
貴方の目には何が写っているの
貴方は何を聴いているの
何故か涙が出てきた
哀しい
彼らの姿は
彼らは今も ....
みんなが
願いごとを
かけすぎたせい?
叶えることができないから
消えてしまう星。
それとも
願いごとが叶ったから
かわりに消えてしまうの?
ううん
星が落ちるのは
....
真っ直ぐな迷路を歩いている
ゴールなど見えないふりをして歩いている
真っ直ぐな迷路を歩いている
スタート地点はもう見えない
真っ直ぐ ....
あまりに静かなので
どうしたものか
耳を澄ますと自分が
階段になっていることがわかる
踊り場には
温かい春の光が落ちて
多分そのあたりに
思い出はあるのかもしれない
遠くで ....
瓦礫に腰かけて
悩んでいる天使がいた
天使でも悩むんだ
と僕は云った
天使だから悩むんだろう
と君は云った
そうかもしれない
どうして悩んでるんだろう
と僕
翼が汚れているか ....
私が生きている理由
この世に あなたがいるから
電気を付けたまま寝ていると
母が怒って消しに来た
俺は無意識に
「暗いから、怖い」
と言って泣き出した
すると父がやってきて
「付けておいてやれ」
と優しく言いつけて
二人で静かに去っ ....
あの人はね
魔法の花が好きなんだ
夜に咲く黄金の花が
誰を待っているのか知らないけれど
あの人は待っている ずっと前から
満月の夜
魔法の花は満開で
あの人の影が映るだけ・・・
貴方が飛びたいと言うのなら
私が翼になりましょう
どこまでも高く
どこまでも遠く
あなたの望むところへ
私が連れて行きましょう
そしていつかそれが汚れたなら
かま ....
秋めいた頃
あの丘の上に
古城があったような気がします
前に見たことあるような
なつかしい
古城があったような気がします
それから何日か経って
私の心に古城が建ちました
前 ....
雪に閉ざされた街と
鉛に封じられた空が
防風林の向こうで
混じりあって、深藍に
レールギャップを鉄輪が踏む音
ポイントを焼く篝火の色
私は泊まる宿も決めず
真っ白な駅 ....
ニコニコと笑う君も 好きだけど
口とがらせて怒る君も 好きなんだよ
怒った顔も可愛いから
ついつい怒らせちゃう
僕を信じてる君も 好きだけど
僕を疑ってる君も 好きなんだよ
安 ....
太陽が沈んでゆく
そこが西の空だ
そして今日は下弦の月
だからすぐには
月を見ることができない
真夜中までじっと待て
そうしたら
太陽が沈んだ反対側を見ろ
今日の理科で習ったばかり ....
今あなたが食べた
その秋の実は
一年に一度しか実がならない
そんな生き物なのです
人の一生の中では
わずか五十回くらいしか
作ることができません
この秋の実ができるまでに
冷たい風 ....
夕方
花に水遣りをしていると
ブルーサルビアの花の影に
妖精がいた
一目見て
「ヤバイ」
と思った
妖精は蝶の羽を持っていて
ブルーサルビアの花と同じ色のワンピースを着て
髪の毛 ....
君の夏の中に
向日葵は咲いた
去年よりも太い茎で
大きな花を咲かせて
はっきりとした向日葵は
これからしおれてゆくだろう
けれども君はそれを
悲しんではいけない
それが自然なのだか ....
大きな線香花火が
今日もゆっくり
海へと落ちていった
水に浸かる瞬間に
ジュっと
火の消える音がしないかと
耳をこらしてみたものの
カナカナカナと
聞こえたは
夏の終わりにすがりつく ....
静かな蓄音機
音を集めている
風の歌
空のつぶやき
草の声
みんなみんな
吸いこんで
小さな箱に
ため込んでいる
静かな蓄音機
音を探している
小さなざわめき
悲しみ
鐘 ....
くるくる廻る
くるくる廻る
時計の針が時を紡ぐ
糸を紡ぐよに
くるくると
くるくる廻る
くるくる廻る
水が世界をめぐる
大地と海と空とを
くるくると
くるくる廻る
くるく ....
夏休み
なんかいめかの
花火をする
お盆さえ
いっしょにいてやれなかった
贖罪を
火にくべる
はなやかな花火のあとに
さっきした
線香花火
....
一日の終わりを影の長さが教えてくれる
ため息捨てて家路を急げば
坂の上に君がいる
ねぇ君
ずっと一緒に居てくれないか
多くの物は望めないけど
君の寝息を数えていたい ....
鮮やか
鮮やか
眼も眩む青空に
吊るされた虹
くっきりと
痛いほど
焼き付けて
きつく瞑ると
眼の奥で
青が
けものみたいに
震えている
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ
やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする
やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまた ....
夏がゆっくり 歩み
晩夏のうしお
ひたひたと
我が胸を濡らし
透明な羽根 輝き
つくつくぼうしは
夏の最終章を寂しげに歌い上げる
木々の圧倒的な緑の先に
秋の気配は
そよぐ風 ....
いつも掬おうとして
指の間からこぼれ落ちていく
はらり はらりと
そんなふうに
掬いそこなったものが
ゆるゆると
私たちをほどいて
別のものにしていってしまう
すべての灯が消えて
私は闇と静寂につつまれた
携帯電話のディスプレイだけが
取り残されたかのようにひかっている
それも数秒したら消えた
今度こそ私はひとりになった
....
空を展開図にして
組み立て直したら
あなたがいなくなった
もう一度
組み立て直したら
わたしがいなくなった
知らないだれかが
組み立て直したら
あなたはあらわれた
ふたり ....
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