つなぎとめるものはだれ
たりぽん(大理 奔)


花が咲き乱れ
緩やかに風が渡る高原を
想うのはもう やめた

  飛べないのではなく
  飛ばない虫

穏やかな海に向かう
明るい窓を
開けるのは やめた

  鳴けないのではなく
  鳴かない魚

誰かの背中にもたれかかり
安らかに眠る夢を
見るのは やめた

  咲けないのではなく
  咲かないサボテン  

勝手に生きている体と
疲れて眠ろうとする魂
つなぎ止めるのは

  生きられないのではなく
  生きない私

もうやめた
もうやめた
なのに

  つなぎ止めるその手
  つなぎ止める温度
  つながっていく
  つながって  いく

深く眠った夜が明けると
いつも激しい雨
が降っている
いつも



自由詩 つなぎとめるものはだれ Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-01-25 22:26:43
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