プテラスピス
たりぽん(大理 奔)

手帳の中で森は
もう少しだけ明るかったろうと
右手の温もりを
むせかえる羊歯の
暗闇からたぐってみる

   いつか満たされると思い
   満たされたがっていた
   月が
   また今日も

欠けている
足りないひかりにむかってかざす
手鏡ににて

   そこはたどり着けない水族館
   あふれんばかりの海水の
   トンボ玉の中で
   ひとりぼっち

今日、君を追い
手帳の中の、もう少しだけ明るい森で
右手の温度を手に入れたら
暗闇で欠けてみよう

透明な限界壁
を、壊して
トンボ玉の中
を、満たしていた
心地よい束縛
を、世界にぶちまければ

自由になれる
息苦しさを
手に入れる





自由詩 プテラスピス Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-04-13 23:13:18
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