眼科で診察中
次 眼を洗うから そこに座って待ってて
と 看護婦さんに言われて
長いすのはじに腰かけ
緑内障の眼の見える範囲などかかれた
ポスターをみる
すぐ 隣りに 杖をついた ....
やけくそに花 るいてし謝感を事たえ会出にたなあ
ゴマだれジュースで乾杯 る い て し い あ の ソ ナ タ
生きてい ....
郵便配達員がポストと
駆け落ちをした
四畳半の小さな部屋だった
配達員は毎日
せっせと手紙を書いて投函した
春という字を書くと
いつも何だかくすぐったかった
集配時間には
ごめんね ....
先祖は、なにをしていたか分からない
落ち武者とも河原乞食とも言われている
本家の実さんは、強い侍の末裔の顔をして
武者人形の鎧を磨く
子供の頃、母に聞いたら
戦争でお寺が燃えたから、本当のと ....
この坂道の途中に
大きな金木犀の木があります
毎年秋になれば
そのやさしい香りに足を止め
この木を植えた人を思います
開け放された窓からは
ピアノの悲しげな音が響きます
赤茶けた壁に ....
一面菜の花
白い蝶
饒舌な暦に
紋黄蝶
ひらひらと青い空を飛んで行くよ
戦闘機の青い影
いつのまにやら日が暮れて
饒舌な街の囀り舌平目
マグロ列車のテールの光り
チラチラ ....
あれ、
この花火どうしたの
おかあさん もらったの
今日はけんちゃんの命日だからね
買ってきてもらったんです
こんな暑い日だったの
戦死公報に載ってただけ
亡くなった ....
冥王星よ
君は一人じゃない
家族の中の冥王星
クラスの中の冥王星
会社の中の冥王星
合コンで冥王星
病院の待合室で冥王星
ファミレスで呼び出しボタンを押しても冥王星
mixiに ....
空が大きいこの町で
小さな命が生きている
一つ一つは小さいけれど
空に負けないくらい純粋で
大きな意味を持っている
空が大きいこの町で
小さな命が笑っている
一つ一つは小さいけれど
....
パンに トマト ぬるぜ
カタルーニャ式 だぜ これ
オリーブオイル かける よ
バージン エクストラ です よ
たまご も 焼いちゃう
べーこん イベリコ豚 だよ
....
やがて空から
金平糖が降り始めました
おんなのこ達はうれしそうに
てのひらを広げ
中にはスカートですくっているこもいます
王様は銀のスプーンで少しずつ口に運ぶし
乞食は必死に袋につめていま ....
うふふふふ。
いいもんだ。
もう引き返さなくて良いのは。
良かったじゃないか。
僕なんかの思い通りに
ならなくって。
すべてうっちゃらかして、ぶらぶら。
ご近所の真っ昼間 ....
あれは忘れもしない
一年前の8月6日
仕事を終えて
家に帰ると
あなたは待っていた
フリルのお母さんエプロンを
ひらひらさせて
おかえりなさい
待ってたよ
ばんごはんの支度が ....
押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができ ....
つめのなかに兄さんがいて
たいていは僕は水分がなくて
笑った。
西へ向かうサボテンよ、散れ。
インディゴの似合う女がもうすぐ
市民になるんだ。
兄さんは木曜でも
まあ、レインボウ ....
そら
そう
ほら
みて
ここ
そこ
むこう
ぜんぶ
ぼくに
とって
ふかく
やさ ....
(でっかいのが、死んだ。)
風殺すようないかり肩に丸刈りの白髪頭乗せて来るのは あれは
ロブス 漁師で 工房の隣の教会の管理人だ
逆光でも分かる お調子者の いつものいたずら ....
バスでするな
バスで
花つき言葉 −もとこへ−
一周年の祝いに
なにか書いてみせようと思ったが
気負いのせいかどうもうまく書けず
かといって最初の年に
なんにもなしでは済まないぞと思い
月並みだが ....
窓に
張りついた夏、
グラスの中で氷が
音もなく溶けていく午後
少し薄まったアイスコーヒー
にミルクを少し加える
ゆっくりと拡散していく、
ゆっくりと沈殿していく、
夏。
あの頃 ....
?.
ああ
オルテンシアがほんと楽しそうだ
あんなの日本語だとね、てんこ盛りって言うんだよ。
ひひ、てんこ盛りだって、おかしいね。
まあ、要するに、昨日の俺たちのパスタだ。あれが ....
※この詩は、下の行から上の行へと読んでください。
人間というものを。
私たちは知らなかったのです。
私たちアンドロイドは、母の葬式で涙を流しませんでした。
だから私たちアン ....
美術の先生が
黒と白だけは
どんなに絵の具を混ぜても
作り出せないのだと言っていた
そんな貴重な色の絵の具は
どんな材料で作られ
どこの国の工場から送られてくるのだろうかと
想像をめ ....
(冒頭に云って置きますが、この文章を不快におもう人は正常です。なぜならこれから書く事は、ある人達にとってははっきり云って誹謗中傷と取られることを覚悟しているからです。ただし、勿論、特定の個人に向けて書 ....
花はそのままで美しい
草木もそのままで美しい
根も葉も茎も枝も美しい
葉が還る土も美しい
あれらは光の受け手である
ケイソウはそのままで美しい
渦鞭毛藻類もそのままで美しい ....
夕と闇の間で
海蛍の群れに導かれ
滑空する機体の重さ
地面へと伝わる
伝わる振動は
両の耳鳴りを増幅する
アンプのように
硝子の中で火花を散らす
長い鉄塔につい ....
君の既視感を舞っているのは
紙製の蝶だよ
いちめんのなのはな と君は呟くけれど
此処はうち棄てられて久しい館の中庭
君が坐っているのは朽ちかけたベンチだよ
とうの昔に涸れた噴水の傍の
....
薄明かりの店内に客は僕ひとり
喫茶店を営む初老の夫婦は
カウンターに並び夕食を食べている
時々{ルビ片言=かたこと}の言葉を交わすふたり
幾十年を共にした歳月を物語る
並んだ背中の沈 ....
カラダとココロの半分を
分解したとて
バラバラに動く心臓は
舐めたプラスのネジのように
右にも左にも
動かずに死んだ片隅
手を伸ばしたとて
動かない腕に
針を刺して痛感したくても
....
ある日神様が降りてきて
すべての半分を君に与えた
しかし残りの半分は
自分で何とかしなさいと言われた
数日は、いや一年くらいは
与えられた半分のもので
飽きずにすんだ
けれどもまだ半 ....
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