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秋風に揺られ 
無数に実りゆく 
夜の小さい太陽達 
 
今にも落ちそうな実に 
枝はしなる 

自分らしく熟れるのを待つ
世界中の人々のように
ぶら下がる無数の実が
枝から離れる ....
秋の日の涼しい夕暮れ 
散歩から帰り家の門を開くと 
上から ばっさ ばっさ と 
木の枝が降ってくる 

数日前66歳になった親父が 
はしごの上から「お〜い」と呼ぶので 
もうすぐ3 ....
急いで道を歩いていたら 
目の前の車が{ルビ理由=わけ}もなく止まった 

(下手な運転しているなぁ) 

車と壁の狭い隙間をすり抜けると 
痩せこけた若い母が{ルビ咳=せき}を繰り返しな ....
窓外に 
枯れたまま{ルビ俯=うつむ}く 
{ルビ向日葵=ひまわり} 


辺りを照らす
太陽の花に
振り返っていた人々 

秋 
{ルビ独=ひと}り汚れ身を{ルビ晒=さら}しな ....
体のまあるい婆ちゃんが 
ぜいぜいと団地の階段を上っていた 

通りがかりの少年は 
後ろから両手で腰を抱えて 
ゆっくりとした歩調と合わせ押し上げた 

( 振り返ると 
( 団地の ....
朝の車の中で 
おばあちゃんは 
他のお婆ちゃん達に 
七色のあめ玉をくばって 
僕にもくれた 

「 このあめ玉をなめると 
  元気百倍ですね    」

というと 
おばあち ....
親父・母ちゃん婆ちゃんは 
姉・婿・孫娘のいる富山に行き 
一週間は帰らないので
家はがらんと広くなった 

仕事を終えた帰り道 
夜空を見上げ 
雲から顔を出す十五夜お月さんと話し 
 ....
日曜の午後 
立川のカレー屋で行われる結婚式で 
新郎新婦に贈る小さい花束を傍らに 
大船駅から乗った東海道線に揺られている 

向かいの席に座った空色の服の女は 
携帯電話を鞄の上に持っ ....
職場の先輩が 
強気な部下のOLに牙を向かれ 
いじけてた 

この日、日誌の僕は 
書類をコピーしたら 
紙が詰まった 

事務所に行って 
先輩呼んで 
「 頼りにしてます、助 ....
プラスティックケースの上に 
並んでる、ふたつのせっけん 

小さいほうが、お婆さん 
大きいほうが、息子さん 


「 生まれた時は逆だったのに 
  わたしに向かってハイハイしてた ....
雨が降る日に鎌倉の寺に行き 
賽銭箱に小銭を投げて 
ぱんぱんと手を合わせ 
厳粛な顔つきで 
びにーる傘をさしながら 
帰りの細道を歩いていたら 
濡れた路面につるんとすべって尻餅ついた ....
竹筒の側面の穴に生けた
{ルビ秋明菊=しゅうめいぎく}の白い花々 
境内に奏でられる{ルビ雨唄=あまうた}に耳をすまし 
そっと{ルビ頭=こうべ}を垂れている 

{ルビ些細=ささい}なこと ....
久しぶりに訪れた{ルビ報國寺=ほうこくじ}は 
雨が降っていた 

壁の無い 
木造りの茶屋の中 
長椅子に腰かけ 
柱の上から照らす明かりの下 
竹筒に生けた{ルビ秋明菊=しゅうめいぎ ....
お婆ちゃんの細い手が
絵葉書に描いた
美味しそうなまあるいピーマン 

筆を墨に浸した僕の若い手は 
「 いつも ほんわか しています 」
と曲がりくねった字を余白に書いた 

お婆ち ....
気がつくとその{ルビ女=ひと}は 
明け方の無人列車に乗り 
車窓に広がる桃色の朝焼けを 
眠りゆく瞳で見ていた 

列車がトンネルに入ると 
全ての車窓は真黒の墨に塗られ 
闇の空間を ....
北鎌倉の山寺の
{ルビ境内=けいだい}を歩くと 
左手に緑色の池が現れた 

小石を一つ拾い 
池へ投げる 

緑の{ルビ水面=みなも}の真ん中に 
水の花が開いて 
広がる 
  ....
人々が漏らす{ルビ溜息=ためいき}で 
街の輪郭が{ルビ歪=ゆが}む土曜日の夜 

場末の Bar の片隅で 
翼の生えたアダムとイブの人形は壁に{ルビ凭=もた}れ 
虚ろな瞳で古時計をみつ ....
鏡に映る「私という人」は
だらしなく伸びた髪を 
ばっさ ばっさ と刈られていく 

( 少しくたびれた顔をしてるな。 
( いつのまに白髪が混ざりはじめたな。 

幼い頃 
{ルビ日 ....
( 青年と初老の母は、
( 寺の小さい庭へと入っていった。 


小石の砂利を敷いた庭に 
細枝と葉影は揺れて 

木作りの小屋に坐る 
首を{ルビ斬=き}られた観音像 
優しい手に ....
午前一時二十分 
列車の連結部近くの狭い一角 
床に腰を下ろした青年は 
震えるドアに凭れて眠る 

( 手すりに{ルビ柄=え}を引っ掛けて
( 吊り下がるビニール傘の振り子 

真夜 ....
東の空に日が昇る早朝 
工事現場の低い土山の頂に 
クレーン車が一台
運転席には裸の王様が{ルビ居座=いすわ}っていた  

黄色と黒の{ルビ縞々=しましま}の 
柵に囲まれた小さい世界の ....
その{ルビ女=ひと}とは、ついに重なることはなかった。 
どんなに重なっても、何かが{ルビ逸=はぐ}れていた。 

( 左手の薬指に、指輪が光っていた 

求めるものは、柔らかきぬくもりであ ....
夜になってから急に 
庭の倉庫に首を突っ込み 
懐かしい教科書を次から次へと処分して 
家の中に戻ったら 
腕中足中蚊に刺されていた 

それを見た母ちゃんは、言った。 
「あんたはつよ ....
そうしていつも、一つの愛は
踏み{ルビ潰=つぶ}された駄菓子のように
粉々に砕けゆくのであった 

そうしていつも、一人の{ルビ女=ひと}は 
林道を吹き過ぎる風のように
{ルビ昨日=かこ ....
私は今、顔を猿のごとく真っ赤にして酔っ払っているのである。 
なぜ酔っ払っているかって?
それには深い、深い、わけがあるのである。 
女に振られたって?
そんなのは日常茶飯事朝飯前であ ....
うたたねをして目覚めると 
一瞬 {ルビ黄金色=こがねいろ}のかぶと虫が
木目の卓上を這っていった 

数日前
夕食を共にした友と 
かぶと虫の話をしていた 

「 かぶと虫を探さなく ....
長い間
{ルビ棚=たな}に放りこまれたままの 
うす汚れたきりんのぬいぐるみ 

{ルビ行方=ゆくえ}知らずの持ち主に 
忘れられていようとも 
ぬいぐるみのきりちゃんはいつも
放置され ....
押し寄せる人波を
私は独り、逆流する。 
東京駅の地下に蒸す夏。 
目の前の{ルビ陽炎=かげろう}を掻き分けて。 

日常の流れに{ルビ弾=はじ}かれて、立ち止まる。 
重い{ルビ荷物=ト ....
夏の涼しい夕暮れに 
恋の病にうつむく友と 
噴水前の石段に腰掛けていた 

( 左手の薬指に指輪をした
( 女に惚れた友が 
( 気づかぬうちにかけている 
( 魔法の眼鏡は外せない  ....
立ち位置を、探している。
いつまでも見つからない、
足の踏み場を。 

もしくは、
消えてしまった君の幻を
抱きしめる、
世界の中心を。 

人波の川が流れゆく
この街の中で、 
 ....
佐野権太さんの服部 剛さんおすすめリスト(105)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
柿の実- 服部 剛自由詩13*06-10-19
はしごの上_〜親父と息子〜_- 服部 剛自由詩6*06-10-18
背後- 服部 剛自由詩4*06-10-15
向日葵_- 服部 剛自由詩12*06-10-15
少年と老婆- 服部 剛自由詩13*06-10-13
あめ玉_- 服部 剛自由詩7*06-10-13
もらいもの_- 服部 剛自由詩12*06-10-10
「幸せの花束」〜奥主榮・白糸雅樹さん結婚の日に〜- 服部 剛自由詩7*06-10-9
「ピース」_- 服部 剛自由詩6*06-10-7
せっけん_- 服部 剛自由詩16*06-10-2
お皿の傘_〜はっとりんぽえむ・その1〜_- 服部 剛未詩・独白6*06-10-1
秋明菊- 服部 剛自由詩16*06-10-1
鎌倉・報國寺_〜初秋〜_- 服部 剛自由詩10*06-10-1
「ピーマンの絵」_- 服部 剛自由詩9*06-9-27
朝焼けの声_- 服部 剛自由詩12*06-9-23
はじめの一歩_〜鎌倉の寺にて〜- 服部 剛自由詩8*06-9-23
堕天使達の夜_- 服部 剛自由詩11*06-9-17
断髪式_- 服部 剛自由詩7*06-9-13
「母子像」- 服部 剛自由詩7*06-9-6
夜行列車_- 服部 剛未詩・独白6*06-9-5
頂_- 服部 剛自由詩6*06-8-31
逸れた夜_- 服部 剛未詩・独白8*06-8-29
歩く花- 服部 剛自由詩15*06-8-27
晩夏_〜蝉の臨終〜_- 服部 剛自由詩12*06-8-27
新連載?はっとりんは今日もゆく〜その一〜- 服部 剛散文(批評 ...12*06-8-27
探しもの_- 服部 剛自由詩16*06-8-22
棚の中のきりちゃん_- 服部 剛自由詩21*06-8-20
東京駅_- 服部 剛自由詩11*06-8-13
呼声- 服部 剛自由詩20*06-7-30
「空」を抱く人_- 服部 剛自由詩20*06-6-19

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