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虹色の服を着た少年が 
壁をよじ登る 

若い母は 
きゅっ と眉をしかめ 
平手で幼い尻を 
幾度も叩く 

( 次男坊は、黙って菓子を、食べていた ) 

母の隣に座らされた少 ....
休日の静かな午後 
図書館で借りた
図録の頁を{ルビ捲=めく}っていた 

今は亡き画家が 
キャンバスに描いた野原に 
ぽつんと立って 
空っぽの{ルビ笊=ざる}を両手で持ち 
木苺 ....
通勤バスの車内 
後部座席から眺める 
まばらな人々が
眠たげな朝 

( 昨晩わたしは、{ルビ尖=とが}った爪を、切っていた。) 

人さし指をのばし 
四角いボタンを押す 

 ....
三十過ぎて 
忙しさを言い訳に 
すっかり運動不足の僕は 
最近腹筋をはじめた 

しばらく鍛えてなかったので 
体を起こすたび 
床から上がってしまう両足を 
しっかりと抑えてくれる ....
わたしはいつも、つつまれている。 
目の前に広がる空を
覆い尽くすほどの 
風に揺られる{ルビ椛=もみじ}のような 
数え切れない、{ルビ掌=てのひら}に。 

その手の一つは、親であり  ....
畳の部屋に座る祖母が 
親父と叔母を目の前に座らせ 
「もしも私が世を去った後も
 互いに仲良くしなさい  」       
と静かに語っていた頃 

仕事帰りで疲れたぼくは 
霧雨の降 ....
その本を開くと 
一遍の詩が終わる{ルビ頁=ページ}の余白に 
{ルビ紐=ひも}で結んだ「空の鏡」を首からかけて 
両腕をひろげた小人が 
立っていた

その本を手にした読者の 
誰も知 ....
桜舞い散る春の日 
正午の改札で 
杖を手にした祖母は 
ぼくを待っていた 

腕を一本差し出した 
ぼくを支えに 
大船駅の階段を下り 
ホームに入って来て停車した 
東海道線の開 ....
十字架のネックレスをした女は 
今日も「通りゃんせ」の鳴る交差点を 
紅いハイヒールで夜へと歩く 

人知れぬ部屋で 
男に{ルビ接吻=くちづけ}られる 
濡れた首すじに 
垂らした十字 ....
毎日ともに働く人が 
あれやって 
これやって 
と 
目の前に仕事をばらまくので 

わらったふりで 
腰を{ルビ屈=かが}めて 
せっせ せっせ と 
ひろってく 

そのう ....
フェンスの下に 
種は{ルビ蒔=ま}かれ 
土から小さい顔を出した 
緑の芽 

いつしか 
空へと背丈を伸ばす 
一本の木 

錆びた金網は樹皮に喰い込み 
幹はフェンスの{ルビ ....
 今、発車前の夜行列車のなかで
この手紙を書いています。上野駅
は昔から無数の人々が様々な想い
を抱いて上京する駅なので、昔と
変わらぬ空気が今も残っている気
がします。 

 先程、少 ....
水仙の花のように 
できるかぎりの背伸びをして 
星の花びらの中心に開いた
黄色い唇から 
恥ずかしげもなく 
むじゃきな唄を奏でたい 

( 昔々
( 少年ナルシスは 
( 自らの ....
上司の心ない一言に火が点いて 
職場のちゃぶ台をひっくり返した日
しょんぼり夜道を歩いていると

通り道のボクシングジムから 
ばす ばす と
瞳をぎらつかせたぼくさーの 
ひたむきな ....
定年後 
趣味で油絵を始めた親父が 
キャンバスに向かい 
一枚の絵を描き直している

 さっ さっ 

と音をたてると 
窓辺から
午後の日が射すこの部屋に 
絵具の匂いが満ちて ....
いつまでも 
ひとりでいるのはさみしくて 
旅先で 
出逢ったきみに会うために 
遠い雪国へ
ぼくはゆく 

金はなく 
新幹線にも乗れず 
長いトンネルを抜けた
夜行列車で目覚め ....
目が覚めて 
階段を下りたら 
まだ雨戸の開いていない 
暗い部屋の食卓に 
お{ルビ節=せち}料理の重箱が置かれていた 

「 寿 」と書かれた紙に入った{ルビ箸=はし}が並ぶ中 
ひ ....
ノロウイルスの流行で 
デイサービスの部屋はすっからかん 
いつもにぎわう30人のお婆ちゃん達も 
いつのまにやら5〜6人 

職員は皆マスクをして 
消毒液にひたしたぼろきれで 
あち ....
一面に広がる{ルビ金色=こんじき}の 
麦畑の上に浮かぶ 
一本の道 

飛び込み台のように 
道の途切れた向こうに浮かぶ 
{ルビ一艘=いっそう}の船 

途切れた道先に 
組んだ ....
疲れた顔したあなたの前に 
一杯のお茶を置く 

( そこにいてほしい 
( くつろいでほしい

長い間 
心に固く閉じていた 
{ルビ蓋=ふた}を開いて 
今までそっとしまっておい ....
朝の駅構内ベーカリー 
カウンターに座る僕の傍らには 
湯気が昇るホットティーと
サランラップに包まれたホットドック 

開いては閉じるガラスのドアの向こう側で
すでに動き始めている東京  ....
うたた寝をしていた 
週末の終電を降りると 
駐輪場に一台 
自転車は倒されていた 

それを黙って立て直し 
冷えたサドルに{ルビ跨=またが}って 
軋んだペダルを今日も漕ぐ

人 ....
机に置かれた一枚の写真

若い母が嬉しそうに
「 たかいたかい 」と
幼い彼を抱き上げている

年老いた母は安らかな寝顔のままに 
「 たかいところ 」へ昇ったので
彼はひとりぼっちに ....
歩き続けることに疲れた旅人 
巨木の木陰に腰を下ろす 

見上げた冬空の青に 
突き刺さろうと伸びる枝々 

北風の唄に散る 
枯葉の舞 

その{ルビ一片=ひとひら}は 
旅人が ....
遅刻すれすれの電車に駆け込み 
腰を下ろしてほっと一息 

気がつくと 
握りしめた手のひらにささる 
いつの間に伸びた爪 

ふいに
携帯電話を取り出し 
日付を見る 

( ....


 今、僕の手元には、「{ルビ思推=しゆう}」 落合朱美 という{ルビ凛=りん}とした縦書きの
文字が記された一冊の詩集が置かれている。朱色一色の表紙には、
白い輪郭で描かれた一輪の薔薇の ....
 僕が現代詩フォーラムという詩のサイトと出逢い、自作の詩を載
せ始め様々な人の詩を読むようになってから三年の月日が過ぎた。 
自分の詩作について言えばまだ課題はあるが、只、間違いなく言え
ること ....
本を開くと
そこは遠い昔の日本のお寺 
お金持の人々が行列をつくり 
次々と賽銭箱に大判小判を投げ入れて 
ぱん ぱん
と手を合わす 

そこへ 
ひとりの乞食があらわれて 
薄汚 ....
飲み屋を出たばかりの 
ほてった{ルビ頬=ほほ}を夜風に受けて 
改札に入ってゆく 
友の背中を見送っていた 

気がつくと 
「友情」という像の前に 
僕は独り立っていた 


 ....
酔っ払い 
どこまでも寂しくなる夜

赤くほてった顔でふらふら歩き 
電信柱に額をあてて寄りかかる 

辿り着いた
バス停のベンチにへたりこみ

夢に見る 
愛しき君 ....
佐野権太さんの服部 剛さんおすすめリスト(105)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
虹色の少年_- 服部 剛自由詩11*07-5-14
麦藁の少女_- 服部 剛自由詩14*07-5-6
「_降車ボタン_」_- 服部 剛自由詩12*07-5-2
風の声_- 服部 剛自由詩23*07-4-29
椛の木陰_- 服部 剛自由詩25*07-4-24
出棺の日- 服部 剛自由詩11*07-4-19
「_空の鏡_」_- 服部 剛自由詩1007-4-15
老婆の休日- 服部 剛未詩・独白1207-4-15
マグダレナ_〜渇いた女〜_- 服部 剛自由詩10+*07-4-14
畑の道にうつむく人_- 服部 剛自由詩18*07-4-6
蕾_- 服部 剛自由詩6*07-3-23
手紙_〜四つ葉のクローバー〜_- 服部 剛自由詩12*07-2-4
水仙の花- 服部 剛未詩・独白9*07-1-18
さんどばっぐ座- 服部 剛自由詩14*07-1-18
窓辺の花- 服部 剛自由詩14*07-1-12
雪原の足跡_- 服部 剛自由詩15*07-1-1
お年玉_- 服部 剛自由詩6*07-1-1
もみの木を囲んで_- 服部 剛自由詩7*06-12-20
麦畑の舟_- 服部 剛自由詩16*06-12-20
お茶の時間_- 服部 剛自由詩19*06-12-5
新橋駅・午前八時五〇分_- 服部 剛自由詩10*06-12-4
夜道の信号_- 服部 剛自由詩15*06-12-3
母のお守り_〜ある母子〜_- 服部 剛自由詩20*06-11-26
落葉の栞_- 服部 剛自由詩1406-11-26
冬の手紙_- 服部 剛自由詩14*06-11-25
詩人・一期一会_〜其の一・落合朱美詩集「思推」を読んで(上) ...- 服部 剛散文(批評 ...11*06-11-22
詩人・一期一会_〜序章・誰も知らない一本の大樹について_〜_- 服部 剛散文(批評 ...19*06-11-22
幸福のパン_- 服部 剛自由詩13*06-11-13
「友情の像」- 服部 剛自由詩7*06-11-6
碧い腫瘍- 服部 剛自由詩12*06-10-26

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