すべてのおすすめ
私とあなたの間には 
いつも一枚の窓があり 
互いは違う顔でありながら 
窓には不思議と似た人の顔が映る 

私とあなたの間には 
いつも一輪の花の幻があり  * 
互いの間にみつめると ....
日曜日の朝 
シャワーを浴び 
鏡の前で髪を整え 
{ルビ襖=ふすま}を開け
薄暗い部屋を出ると 
何者かが{ルビ袖=そで}を引っ張った 

振り返ると 
ハンガーに掛けられた 
高 ....
半年振りで姉は嫁ぎ先の富山から 
5歳の{ルビ姪=めい}を連れて帰っていた 

家族{ルビ揃=そろ}って
僕の出版記念すき焼パーティーをするので 
今朝の出勤前母ちゃんに
「 今日は早めに ....
一月前 
長い間認知症デイサービスに通っていた 
雷造さんが88歳で天に召された 

だんだん体が動かなくなり 
だんだん独り暗い部屋に置かれる時間が多くなり 
ある日ベッドで瞳を閉じて横 ....
身に覚えのないことで
なぜか{ルビ矛先=ほこさき}はこちらに向いて
誰かの荷物を背負う夜 

自らの影を路面に引きずりながら
へなへなと歩いていると
影に一つの石ころが浮かぶ

理不尽 ....
夜道を散歩しながら
人知れぬ夢を呟くと 
胸に溢れる想いは
目の前の坂道を昇り 
仰いだ頭上には 
只 白い月が
雲間から地上の私を見ていた 

半年前 
オートバイに乗ったお爺さん ....
幸せは一杯の紅茶 
飲み込めなかった昨日の苦さに 
{ルビ一=ひと}さじの砂糖を溶かす 

幸せは真昼の入浴 
日常の{ルビ垢=あか}に汚れた{ルビ心身=こころみ}を 
泡立つタオルで浄い ....
少女は高い{ルビ椅子=いす}に上ろうとしている 
小さいお尻をどっかり下ろすと 
食卓には色とりどりのご馳走とデザートが並んでいる 

食べ終えると飽きてしまう少女は 
物足りず他の何かをき ....
団地の掲示板に 
吊り下げられたままの 
忘れ物の手袋 

歩道に
転がったままの
棄てられた長靴 

{ルビ棚=たな}に放りこまれたまま
ガラスケースの中に座っている
うす汚れた ....
鎌倉駅の通路の壁に
寺へと続く石段の写真が展示されていた

門の向こう側の境内には
不思議な光が満ちあふれ
そっと上げた足先を写真に入れると
体ごと吸い込まれた僕は
気が付くと
石段の ....


昼休みの男子休憩室の扉を開くと
新婚三ヶ月のM君の後ろ姿は正座して
愛妻弁当を黙々と食べていた

「 おいしいかい?
  結婚してみて、どうよ・・・? 」

と買ってきたコンビ ....
年が明けてから まだ太陽を見ていない
外には{ルビ只=ただ} 冷たい雨音

静かで薄暗い正月


神棚に手を合わせたら
{ルビ揃=そろ}えた足元の床がへこんでいた

町では偽 ....
親父は定年退職し
母ちゃん専業主婦となり
息子のぼくは半人前

母ちゃん家計簿とにらめっこ
ばあちゃんが払う食費も1万ふえて
なんとかやりくりの日々であります

雨もりがあふれる床
 ....
立ち並ぶビル群の幽霊
ビル風が吹き抜けると
敷かれゆく風の線路の上
滑らかに空中列車は行き交う

乗客は皆視線を落とし
日常に見つからぬ出口を
携帯電話の画面に封じ込める

 「 ....
昨晩瞬いていた満天の星屑が
ねむってた間に降ってきて
昼の七里ヶ浜の海にきらきら光る

昔々
女がりんごの実をもいで
男に蜜をあげました
  
人祖の罪で失われし楽園も
秋晴れに江 ....
佐野権太さんの服部 剛さんおすすめリスト(105)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
傘を差す人_- 服部 剛自由詩21*06-6-9
壁に吊るされた学生服- 服部 剛自由詩10*06-4-25
姉のまなざし_- 服部 剛自由詩18*06-4-7
雷造じいさんへの手紙- 服部 剛未詩・独白13*06-3-26
六地蔵- 服部 剛自由詩13*06-3-15
シリウスの光る夜- 服部 剛自由詩11*06-3-11
真昼の入浴_〜デクノボウの休日〜- 服部 剛自由詩8*06-3-10
小景_〜父と娘〜- 服部 剛自由詩6+*06-3-10
空白の呼び声- 服部 剛自由詩16*06-3-8
ある日の夢_〜鎌倉の寺へ〜- 服部 剛自由詩10*06-2-2
「結婚」についての考察- 服部 剛自由詩15*06-1-17
初夢の青年- 服部 剛自由詩13*06-1-6
さといも家族- 服部 剛自由詩22*05-11-5
空中列車- 服部 剛自由詩25*04-10-3
きせきのひ- 服部 剛自由詩10*03-10-26

Home 戻る 最新へ
1 2 3 4 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する