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神は消えた
明日は我が身か
今は昔、をとこありけり。
いとあやしき箱の詩歌の会にしげく通ふ。
投げ打ちたる文、すなはち返し給う局ありけり。
誰にか会はむと入りしかども、いらへなかり
ければ、つれづれなることを語るうちに、 ....
「おとうさんかってにいかないでよう」
そうだね
きみのおとうさんは かってだ
きみのおとうさんは きみの知らないところで かってにあそび
きみのおとうさんと きみのおかあさんは きみの ....
金属バットの表面でなぞる
裏面でスライダーを弾く音
船端で聞いたどよめきは
確かなものであったのだが
護送船団が沈められて以来
運ぶものが居なくなり
声を聞くとも ....
雨が降る日に鎌倉の寺に行き
賽銭箱に小銭を投げて
ぱんぱんと手を合わせ
厳粛な顔つきで
びにーる傘をさしながら
帰りの細道を歩いていたら
濡れた路面につるんとすべって尻餅ついた ....
今は昔、をとこありけり。
片田舎に住みければ、いとあやしき箱にて文を交じらふ。
箱の中に、あまた集ふ詩歌の会ありて、よき歌には人々
より数を賜る。
思ひ起こして歌をばと箱の中に投げ打つも賜ず、 ....
君って
すんごいスリムだけどさ
場所によっては
そうでもないよね?
そういうと
君は高らかに宣言する
今
戦争がぼっ発しました!
もう戦争です!
戦争しかありません!
こらこら ....
あんたが あまりにまぁるいので
あたしはガラスの破片で斬りつける
真っ赤に染まるその時まで
あんたが あまりに細いので
あたしはピンヒールで踏みつける
千切れそうな糸になるその時まで ....
パンツをはかないで
ジーパンをはいた。
なんだか
ぜいたく。
野辺のコスモスと
上を舞う鳶は
同じ風の中にいる
コスモスの花びらの反りと
鳶の羽の反りは
風向きのままに靡いて
一心同体
陽光の眩さにしかめる花の仕草も
鳶の眼の目くるめきも ....
玄関を開けると
妻はドラマを見終えたところで
「あたしの唇返せ」
と言う
そんなこと尻をかきながら
言うもんじゃない
と思いながらも
冷蔵庫のビールの有無が気になった
僕らは
....
明け方、安らかな寝息で目覚める。
どんなに激しく罵りあった夜でも、
疲れ切って眠った無防備な横顔だけで、
なにもかも許してしまえるような気がした。
私はその ....
ぎらつく夕日を受けて
入江の港を出ていく船がある
あの火玉のごとく直進するものは
いつたい
いづこへ
いづこの国へ
いや そんな単純明快なものではな ....
今日、ガラスに
アメが、うつった。
ゲキガの、ナカヲ
セレブリティー、の、吐瀉物は、穿つ。
申し訳ない軍人ラッパ
ケマリをもったままでいてくれないか。
そこにあるんだたまが。
....
布団だか
地べただかわからなく
倒れこみ
かいだ匂いは
金木犀
嗚呼
わたしは
それだけで
しあわせ者だ
夜毎に月の灯りが街を照らすと
君の世界への入り口を探す
僕の世界は六角で
君の世界は八角なので
どうもうまく重なれない
僕らは半透明のカーテンで区切られた部屋の両側で
お互い影絵を ....
旅先で母親に背負われた赤子から
青梅を貰ってきた
長く握々されて熱くなった梅なんか
欲しくはなかったけれど
どうしてもやるというので貰ってきた
いらなくなったからじゃない
奴らは一番好 ....
「ありがとう」と言われたその瞬間
なぜだろう
口の中に栗が入ってきた
思わずその栗を噛み砕く
栗の味とその匂いが
自分を包み込む
なぜだろう
食べてもいないのに
そういえば ....
―もう少し生きてみるか―
駅の改札を出てきて
ふと洩らした中年男のことば
連れがいるわけではない
一人で改札を出てきて
ふと洩らした独り言
僕は電車に乗ろうとして
改札に向っ ....
その時モグラは変だと思いました。
目蓋をつたう涙を止める事が
出来無かったからです。
彼はその土を一生懸命に
生きがいをかけて
まっすぐに掘り進んだと
心の底から信じていたのでした ....
死神
鎌 持たず
心 に
囁く だけ
甘く
誘う だけ
カタツムリは
どうしてあんなに大きなラツパを
引き摺つて歩くやうになつたのだらう
身に余るラツパの大きさに
閉口してゐるのはよく見かけるが
いまだそのラツパが吹き鳴らされたの ....
午前一時二十分
列車の連結部近くの狭い一角
床に腰を下ろした青年は
震えるドアに凭れて眠る
( 手すりに{ルビ柄=え}を引っ掛けて
( 吊り下がるビニール傘の振り子
真夜 ....
いちぬけた
そう言える子には
勇気といえることのことはないのかも知れない
にいぬけた
負けずぎらい
さんぬけた
あせって失敗するなよ
とりのこされた
きみと ....
焼きそばを
パンに挟んで食べる
おまえの顎の関節が
ぐるりぐるりと反復して
それだけで気が狂いそうなほど
セクシー
その隣で
ちぎったパンを
焼きそばにトッピングして食べる
おれ ....
夢は
この歩道橋から
飛んで
シラサギにでもなれたらいいな
ってこと
いま思いついた
私の部品が軋んで
いらないもの削らなければ
重たくて滑りも悪くて
いまはとても飛べないか ....
その{ルビ女=ひと}とは、ついに重なることはなかった。
どんなに重なっても、何かが{ルビ逸=はぐ}れていた。
( 左手の薬指に、指輪が光っていた
求めるものは、柔らかきぬくもりであ ....
――きみはやさしいから
ホームページなんか作ってはだめだよ
ウェブ日記なんかもってのほかだ
と
言われたことがある
ずいぶんとむかし
まだネットが一般的でなかったころ
私の髪 ....
お前 生きてしまえよ
時代がどうだとか言う奴もいるよ
金だ鉄だと騒ぐ奴もいるよ
いいんだよもうそんなことは
お前生きてしまえよ
お前生きてしまえよ
花を盗ってきてやるよ
王宮があるだ ....
生まれながらにして入れられた
透明な箱
透明なので見えない
けれど箱
外には出られない
不思議なことに
透明な箱は手の中にあると錯覚される
錯覚されたまま
自在に扱っていると思われ ....
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