夢の中でキリンと友だちだった
野原や森を走り回って虫とりをした
僕の運転でドライブした
キリンはサンルーフから首を出して
ご機嫌に歌った
作ってきたお弁当を文句ひとつ言わず
ウィンナーも卵 ....
背もたれが
椅子を飲み込んでいく
水槽の言葉で人は話す
たとえ古くても
あなたが好きだ
いつも日なたに
消えてなくならないから
またひとつ閉めらる
ガラスの窓がある
そして代 ....
薄く繋がる皮膚の下に
どこまでも空は広がっていた
その空の下には
同じくらいの大きさの街があった
その街で確かにわたしは
皮膚の持ち主だった
だから夕べ
知り合いの人たちに
なるべくた ....
ぼくの隣
静かなきみのポケットに
たぶん幼い
春が来ている
手を入れれば
指先に形のない手触り
必要な幸福は
それで足りる
春になったら
そう言い続けて
ぼくらは今
何を ....
噴水のそばでは
アビリティーが無効になります
仕事の話はやめましょう
大声で電話しながら歩いている人
あなたの内側を掃除したい
2004年11月23日制作の上記「噴水の話」から、昨 ....
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるか ....
森を出て 信仰をなくした
ひとびとが むれつどって
安息の日を 消費している
ショッピング街に やおら
慰安のような 綿雪がふる
座礁しながら ふっくら
帆をはり 夕波に
額をあてて うしなわれる
熱量を 愛しつづけた
おれたちの 船に
みえないけれど おやみなく
ふっていたのだ 透過して
つもっていたのだ 襤褸の
矜恃よ 背をこえてゆけ
あふれて 雪崩れてゆけ
白紙に滲んだ黒い赤
むくむくと大きくなって
たくさんの物語を生んでくものを
とくり、とくりと創ってく
神秘の朝は窓を黄金に染め
鳴いたはずの軋んだ世界を
やさしく やさし ....
気分のいい日曜日の朝だ
メープルシロップを頭からかけてやる
世界が歪んで見えるだろう
俺からはお前の顔がよく見えない
イエー
ソーセージを挟んだパンがある
醜く太っ ....
届きそうで 届かない
そっと でも ぎゅっと
抱きしめてね
夜の深さにあなたを探して
水の中で泣いてたの
蒼い時間に漂う 光
キラキラ
....
シャーベットブルーのグッドモーニングサイクリング
期待混じりの小石飛ばして
12のままの感性隠して
潰れた空き缶わざと踏みつけ
抜けてく空気で甦らせた
なくしたノート
もらった消し ....
夜になると
鳥は空を飛ぶことを諦め
自らの隙間を飛ぶ
高い建物の立ち並ぶ様子が
都会、と呼ばれるように
鳥は鳥の言葉で
空を埋めていってしまう
知らないことは罪ではな ....
やさしくされるたびに
真冬の鯉になってみせた
一番深い底のあたりで
ひげだけ動かして
じらしてみたりした
春になり
浅いところに出ると
やさしい人は
もういなかった
かわりにたく ....
昨日哀しみを突き放し
今日の瞼は何も隔てない
地表を渡る細波を
裸足でなぞり
葉の無い枝のように
四方へと手指を広げている
数羽の鳥が羽を休める
屋根の上には
ソーダ色の空が
....
階段を上る足音は
後からわたしを追い越して行った
想像以上の現実感
ある日、空に見た一つのひずみ
わたしはそこへ近付こうと
高みを探した
見下ろせば
オウトツの街、色彩 ....
グラスの先に
君を みて
微笑めば ふわり
ふれる 花の香
あの 日の
あの 場所
あの 時間
くり かえし の
未練 の 日々
今日の僕も
やっぱり
いつもの僕だよ
残して
捨てられなくて
腐らせていく
そんな君が嘆いてる
保存が下手な君が
声にも出来ずに繰り返す
昼が終わったら眠りたい
夢に出てきたあの場所を探している
冷え性 ....
あの木の下で
そっと見送った
雨の朝
花の香微かに震え
君はもう旅支度
紫の花びら蕾は北を指し
傘も持たず
歩き出す
投げかけた問いは
雨音に ....
むせかえる緑
森の深みで
一本の幹を背にすらりと立つ
わたしの頭の上にはもぎたての林檎
正面、幾重もの木々ごしに
とらえようとする鋭い矢尻が
抗う弓をキリキリと押しひらいてゆく、あな ....
美しくなった、本当に
美しくなった
成人を迎えるからだの中から
魂の
幼い部分だけ
すくい集めて
投げる
そこに生まれた空間が
やさしく
かたまったら
ほし
と名づけて
揺 ....
祈りは
誰かにむけるのではなく
私の中に沈んでいくだけだった
地下鉄は
風景なんて
みえないんだ
しらなかったよね
電車に乗って
どこまでも
見渡す限り
風景が ....
そして雨が続いた
近付いて耳際で一つの嘘をついて
傘が手離せなくなっていたその手から
力が抜けていくのを見た
瞼を擦って世界を揺らす
誰かになりたいって
誰かも分からず ....
限りなく遠い
果てしなく遠い
どこまでも遠い
この線上には何がある?
この線は何処で止まる?
この線上でだれと交わる?
限りなく遠い
果てしなく遠い
何処までも遠い
....
指で突いて倒れ始めたドミノに
切って配られるトランプの絵柄
外は薄紫に染め上げられていて
伏せられた今は
カタッ カタッ て
倒れる音だけが聞こえている
忙しいけどそれを理 ....
男の人が白い塀に寄りかかってる
ぼんやりした格好で
衣服には模様のようなものがついている
何をしているのか聞くと
誰かの夢の中なので勝手に動くことができないんです
と言う
かわ ....
注ぐ姿が暖かいのは
優しさが含まれているから
うつむいた視線の先に
想いが溶けこんでいる
蜃気楼みたいに遠くに居るのに
不思議と寂しくない
それは確認できるから
見える ....
浴室ではシャワーが降りしきっていて
その音が続く中
僕は見失った事を自覚する
正面の壁を眺めていた
髪の先から雫が落ちる
蝕まれていく今を
蟻が何処かへ運べばいいのに
....
うまく言えないから
靴の先を見つめていた
物思いに更けてばかりで
文庫本も進まないまま
気が桜みたいに散っていく
口癖を真似されて
ぼんやりと指と指を繋いで
不器用な照 ....
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