毎度ありがとうございました
こんどお会いするときまで
つつがなくおすごしください
ぼくは生活と
そうでないものの間の距離を
はかりそこねる者
その両端にひきさかれ
かつ跨がろうとする ....
ぼくはさむ風を知っている
ほどよくちぢこまる肉体が ....
あ ちょっと
そこの
なにやらごたいそうな ....
また春がきたね
「のどかに愛し
愛して死のう」
と囁くたびに
あなたも歳をとり
ぼくも
樹木の内側に広がる空洞のように惚けて
なみだいっぱい流したことも
愛されたことも
みんな忘れ ....
このようにして世界がおわる
あなたの腰に手をまわし
ささ ....
しばらく詩をかくのを忘れていた
それはいいことだ
そして ....
森に 街に 空に
さんざめく
いきものたちの ささやかないとなみ ....
平成元年五月六日午前八時三十八分
きみはこの世にあらわれた
なんて真新しい
しわくちゃないのちなんだ
嫉妬と羨望 そして羞恥から
たちなおるための時間を少し
ぼくにくれ
そのあとでなら ....
きみにとってぼくがそうであったように
ぼくらにひとつの指針が ....
みえこが
おなかの赤ちゃんに話しかけ
仮の名を呼んでいる ....
みえこは日増しにおなかをせりだし
いまではぼくのと いい勝負
でも内容がちがうと 夜ごと ....
まだ柔らかいオブジェ
蠕動しているくちひげ
最後の作品はみずからの死体だった
さけられない悪夢にも青空があるように
はてしない無の領域にも鼓動をうつ宝飾がある?
いいえ
いまでもすべての見 ....
産婦人科から出てきたみえこが
あっけらかんと言った
「二ヶ月のなかばだって」 ....
チューリップ・ツリーの上で
しきりに鳴いている蝉にしても
伝えようとしているのだ ....
また降ってきた
ぼくは樹木に身をよせ 心を
誰からもみえない角度にかたむけて
ときおり
満ちてくる静けさを
溢れるまえにこぼす
こんな美しい雨のなかでは
ひとも盆栽のように育つだろう
みえこ
きみはぼくの肉体の
ひいていく最後の熱量をはかる者 ....
ぼくは最近おなかが出てきた
だってみえこが言うんだもんなあ ....
風にのって
ぼくのつぶやきが ....
いま言おうとした言葉を
忘れてしまった
なにかが胸骨のす ....
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