輪の裏で
小人の群れを掴み
握り潰す
手の端から
零れる体液を頬に塗ると
始まりと終わりの境界を見ることのない
私たちが
夕日を捕らえ
夜に
引きずり込んでいく
えりくすま、え ....
信号機が故障したので
シマウマがやってきて
代わりの信号になった
白と黒しかない縞模様で
シマウマは精一杯頑張った
多少の混乱はあったものの
車も歩行者もそれに従った
強いものは ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
帰ります、とメールをしてきた君が向こうから全力疾走で
君の重さを受け止める。お姫様抱っこ?もう少し痩せてからね
人ごみに紛れこむとどうして私だけがここにいないんだろう
....
友人からの年賀状には離婚したことが添えられていた
数年前、結婚の挨拶に来た二人
こんな美人お前にはもったいねえな、なんて
憎まれ口にもニコニコしていた二人
昨年もいろいろな人がこの世を ....
ほしいものは やおら
灰のように くずれる
ためらうな
どうせ後悔するのなら
手をのばせ
BGM→http://www.hi-ho.ne.jp/momose/mu_title/tan ....
よっぱらって 詩を
かけなかった
まっさおな いいわけ
色彩論では
まっかな 嘘である
窓をひとつひとつ
捨てた
魚のうろこを剥ぐ時のような
つうっとした痛みも無く
部屋はほのかな幸せとともに
凪いだまま夕闇へと
進行していた
それから壁に
偽物の窓を描き
美し ....
静かな
白い波打ち際の日
僕の息が風
少年は貝殻を探す
波と
鼓動が聞こえる
入道雲
笑いかけた日が
空を駆け抜ける
茜色の落ち葉を
歩道に叩きつけた日も
僕の息は枯葉を ....
何事もなかった
そんな天気
昨夜あんなにも悲しくて
泣き叫んでいたのに
変わったことといえば
痛いほどに腫れている目
それくらい
雨でも降っていれば
もう少 ....
金木犀の香りが漂い
星は落ちてきそうに輝いてる
風が吹き俺達の頬を撫でる
愛撫するように
耳元でお前に囁く
決して遊びなんかじゃないぜ
絶え間なく続いていく命のリレー ....
ふん ガキの遊びに
おつきあいするほど
ひまじん だと
思ったのか おれを
ちっ そのとおりだぜ
錯綜している視神経の
からまりあった編み目の間に
ちいさい魚が
かかっている
つめたいつめで
そっとつまんで
涙腺の中へ
放してやろう
水草があれば尚いいが
涙腺の底には
....
本当はあなたと一緒に
花壇を作りたかったのだ
ともに暮らす家だとか
肩を並べてドライブする車だとか
そういったものはどうでもよくて
ただ花壇を作って花を育てたかったのだ
だから花は好き ....
たくさんのさよなら見送り
ふりかえると
行きそびれたものたちが
思い出たちが
おかえりと言った
いつか君の町で
君のうたで
否
否
否
回転 回避して
閉じこもる 部屋
全 否定の 現実に
立ち向かう術は無い
とりあえず 進む
そんな 毎日 を
着々 と こなす 。
否
否
否
否
大嫌いだ。
爪先から 這いあがる寒さに
冬を感じて
空を見上げれば
山からおりてくる風が
項に絡みつく
ふわ ふわ と
雪虫が 漂って
今年 最初の
風花を
運ぶ 風を
導く。
スゥとどこかへ消えてみたくなる。
風邪ひきな休日。
咳を一つしたら。
パッと体が溶けて
貴方の目の前に現れることが できたなら。
今日1日で一体。
何回貴方の目 ....
黄昏だけを掻き抱いたんだ
わかってもらえるかな
あなたがむかしひいてたアイライン
その色を選んだのと同じ理由
この気持ち
それを伝えたくて
「空は太陽を愛して、そ ....
振り返る
後ろから来る君がはぐれないか
振り返ること
振り返る
君がいなくても
他にはぐれた人がいないか
振り返ること
多分そんなことを教わったのだと思う
それが本当の愛な ....
星の欠片が
孤独な空を舞っている
異国の空からやってきた
B型肝炎
狼鳴くより
恐ろしく
月に向かって吼えまくり
とうの昔に破った約束
天才は忘れた頃にやって ....
姿勢正しくおすわりする
椅子がたてる悲鳴
僕らの部屋の空気を汚す
一生懸命窓の掃除をしてる君を眺めてる
黴まみれの窓
灰色の壁に白いチョークで描いただけの窓
そ ....
この気持ちはいつまで続くのかな
そんなセリフ言わないでくれよ
こんな雨降りの日だって
明日まぶしい晴れだって
僕たちの心は変わらないさ
もし
この恋に賞味期限がある ....
加瀬さんの実家にイチゴ狩りに行った
シーズンが過ぎると職場の同僚とその家族を呼び
完熟して出荷できなくなったイチゴを取らせてくれるのだ
妻も娘も毎年その行事を楽しみにしている
昨年も一 ....
僕の足がどこにも
繋がっていないことを知って
僕はもう地上にいるのをやめた
最初は虹色の太陽の近くで
出鱈目な言葉で歌を歌ってみた
歌は散り散りに流れて
僕の中から出鱈目な言葉 ....
間違っている気がして
冷蔵庫の乳製品を並べることにする
自分に似ているものは右側に
似ていないものは左側に
それ以外のものは
バスタブに順序よく沈めていく
ひとでなし!
口のよう ....
四つの脚をたて
温度の低い床に
椅子が停泊している
いつまでも出航しないのは
その方法を忘れてしまったから
ではなく
航行すべき海が
椅子の内に広がっているからだ
水が溢れ出さ ....
また朝がきた 歯をみがく前に
詩をかこう たべる前に でかける前に
宿題の前に なみだの前に 尿検査の前に
戦う前に 死ぬ前に 生まれかわっても
ああ詩をかこう世界を 愛しているから
....
おふろばのタイルに 線を
ななめに引く
わたしの、ナチュラルは
メイク落としの途中
まだ、水でながしていないとき
のぞきこむので
ゆぶねの、
なにもないさみしいところに
映りこ ....
足跡は
記憶の柔らかな風紋と化していた
生きてきた歴史は
こんなにも なだらかだったのだろうか?
今を生きている この複雑な思いも また ある日の
ふと振り返ってみるであろう
....
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