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墓標に刻んだ自分の名前に背を向けて
てのひらはいつまでもとどかないのです
生きることの意味を知らされないこぶしが
硬く握られたその先で照らして
夕日が水平線を越えて旅立つこの場所で
朝日 ....
踏みつけていた
いつの間にか踏みつけていた
{ルビ直線歯車=ラックレール}
きれぎれにされた
人生のように
強さだけを必要とされて
ずっとつながっていました
峠を越えるの ....
想いを何度も
辿るから刻まれる
傷という名の痛みが
証だというのならば
想いを何度辿っても刻まないもの
{ルビ轍=わだち}も残さず
同じ道のりを
落下し続けることに
....
名残の冬を集めて
風がつくった
春待ち味の
ロールケーキはいかが?
ゆくえをさえぎる雲は
散っていきました
春です
昨日までの私はふるえていました
波に洗われる消波ブロックのように
、ふるえていました
風に吹かれる朽ちて傾いた電柱のように
、 ....
この、聞こえない左耳で
この耳で聴いてみたい音
それは、世界に
あふれる音ではないのです
時間を追い抜いていく時計の刻む
バンアレン帯に太陽風が吹き付ける
海溝の暗闇で深海魚のため息
....
見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春
葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節
もう二度と会わない風が
....
幼い頃知っていた
時間を巻き戻す
不思議な眠り
思い出せないままの
まっ赤な空がいつまでも続く
{ルビ夕餉=ゆうげ}の前の過ごし方
秒針も知らず
時計も持たず
生きていけた
....
化石になるときに
石と入れ替わってしまった
私の部分
を、さがしているのです
外側の触れている世界から
入れ替わっていくから
私の肌
は、こんなにカサカサとはがれ落ちて
化 ....
高原行きの{ルビ汽車=ディーゼル}を待つ間
プラットホームの先っぽで
二人は駅弁を食べるんだ
二段になった折り詰めの
おしゃれな駅弁を
うれしそうに開けるんだ
中央アルプスの山嶺に ....
風車が
巨きな時計のようだ
三つの針を吹雪にまかせて
早回しで、ゆっくりとまわる
うなっているのは
雪を孕んで吹く北風
だろうか
誘導電流を生み出すコイルの声
それとも
ただの ....
浜辺に漂いついた瓶のように
ひとり暮らしの郵便受けに
届いた宛名違いの封筒は
丁寧な文字で
差出人の住所
きっと昔、この部屋に住んでいた
誰か宛の誰かの手紙
なにかの縁だろうと
不 ....
{ルビ朱=あか}くて小さなさかなの
息のように
そっと触れた
てのひらから
あなたを呼吸する
ほんの少し
の温もりが意識を
わたしに繋ぎ止め
る、わたしの体温
....
猛禽となり、風を信じることだ
わがもの貌で空を行く獰猛な鳥も
{ルビ不確か=きまぐれ}な風を信じるから
自由だ
タンポポとなり、風を信じることだ
着地する場所は選べなくても
{ルビ不確 ....
風のための門を
行き来する影がみえる
波を越えて続く
その道を
懐かしさではなく
今日の温度で
いつまでも、それを手に入れたいと
弱々しい手で、僕らは汲む
井戸の底に微かに照らし出される
月の光の輪郭のようなものを
楽しいといっては ひとつ汲み
愛しいといっては ひ ....
宿命でも運命でもなく
それはタンポポ
土手に降りそそぐ
季節の日差しに
僕は目覚める
旅立ちにはもってこいの日だ
風は南南東
ロウソク工場の煙から推測するに
風速は2メートル
....
僕の消えていく闇の名前
石炭ボイラーの匂い
江浦路の路面電車が踏みつける
レールの間で腐っていく{ルビ瓜=うり}の皮
入り口だらけの逃げ場所
擦り切れた人民幣
二十五元五角の片道切符
....
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた
....
明日を、呼ぶ言葉は
失われてしまった
先程くべた小さな薪が
二人に残された最後の言葉
炎を囲んでいるというのに
横たわるこの夜の湿気は何だ
天赤道上の星の名を詠んでも
横たわるこの
....
冷たい雨の暗がりが
ぼんやりと寂しく誘う
私を溶かし込むには
ちょうどいいおおきさで
ほほにつたう
みぞれの砕けた{ルビ飛沫=しぶき}
雲からはぐれた
それも孤独
いいわけ ....
落日
蜃気楼のよう
だけど蜃気楼じゃない
焼かれるのは
空じゃなく
今日という日の末路
果てるような
限界線
焼かれるのは空
じゃなく
奪われていくだけで
体の細い先っぽから熱
低い空に流れていく
雲に穿たれた青空
なくなってから知るのだと
ひとは言うけれど
得てすらいないのだ
失う事すらできないのだ
小舟 ....
名前のあるものを信じない
だからまず、二人
名前を捨てた
形のあるものを信じない
美しさだけを模倣する
{ルビ仄=ほの}かな{ルビ星行灯=プラネタリウム}をとざして
境界をつく ....
私をかたちつくる
わたしのかたち
私はわたしのなかにあって
手を持ち指を持ち唇を持って
君を抱きしめる
でも
私を入れたわたしを
あたしが包み隠して
誰かとの距離を調節もする
....
永遠の愛、が
刻まれていた
赤い鉱物顔料で飾られて
二千年の地層の中
地中にしみこんだ月の光で
風化した言葉だったから
秘密が解かれるまでそれは
王の名
呪い
花の名前
祈り
そ ....
すきとおったものを重ねていくと
届かなくなる
幾重にも屈折率をいいわけに
すきとおった君を重ねていくと
届かなくなる
思い出が赤方変位に拡散して
すきとおった偏光を重ねていくと
....
波打ち際
雪に縁取られ
{ルビ烽火=のろし}をあげる夜
松がいい、そうだ黒松だ
沖の漁船
送り雛のように
漁火を灯いて連なる夜
星が海に突き刺ささってやがる
雲 ....
星はひとつづつ
オルゴォルのピンのよう
ゆっくりと巡って
光の楽譜をなぞる
昼に
雪を降らせるのは雲で
夜に
雪を積もらせるのは月だと
指揮棒で譜台をたたく
....
僕らの住処は小さな漁具小屋
呼びあう吐息を波の声に隠し
漁網に髪を絡ませながら
夜の深まりを体温で追った
雪夜の渇いた闇をとかした雲が
入り江を真冬のガッシュに染める
朝の刃を隠した列 ....
銀猫さんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト
(281)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
漕ぎ出す春、夕日へ
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-4-7
駅・軽井沢
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-4-5
星空の轍
-
たりぽん ...
自由詩
10
06-4-4
冬のロールケーキ
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
15
06-3-30
ふるえて、空_見上げて
-
たりぽん ...
未詩・独白
7*
06-3-28
モノラル、聞いてみたい
-
たりぽん ...
自由詩
12
06-3-28
見知らぬ、春
-
たりぽん ...
自由詩
12
06-3-25
冬の終わりの草笛が
-
たりぽん ...
自由詩
7
06-3-19
バージェス、残されるもの
-
たりぽん ...
自由詩
9*
06-3-18
駅・小淵沢
-
たりぽん ...
自由詩
7*
06-3-15
さよなら、風車をまわすもの
-
たりぽん ...
自由詩
11*
06-3-15
あの、手紙は
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-3-12
きんぎょ
-
たりぽん ...
自由詩
14
06-3-8
旅立つ日、君の背に投げる
-
たりぽん ...
自由詩
12*
06-3-5
かよいみち
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
16
06-3-4
僕らは海にまぎれて
-
たりぽん ...
自由詩
13
06-2-28
タンポポ、旅立つ日
-
たりぽん ...
自由詩
13
06-2-26
上海1986
-
たりぽん ...
未詩・独白
8*
06-2-26
二台の洗濯機における青春の一考察
-
たりぽん ...
自由詩
37+*
06-2-23
君は、季節をはずれてしまった
-
たりぽん ...
自由詩
11*
06-2-22
傷、いとしく
-
たりぽん ...
自由詩
10*
06-2-19
夕刻、焼かれるのは
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
28*
06-2-17
冬の喪失
-
たりぽん ...
自由詩
8*
06-2-15
二つ折りの恋
-
たりぽん ...
自由詩
5*
06-2-14
銘菓マトリョーシカ
-
たりぽん ...
自由詩
8*
06-2-12
記念碑、月に埋もれて
-
たりぽん ...
自由詩
8*
06-2-11
透明を重ねた、届かない
-
たりぽん ...
自由詩
7*
06-2-9
おくり
-
たりぽん ...
自由詩
9*
06-2-8
うつつな夜のオルゴォル
-
たりぽん ...
自由詩
12*
06-2-7
うみべの隠れ家
-
たりぽん ...
自由詩
6*
06-2-5
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
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