使いかけの、ビデオテープ
しまっておいた写真
あの夏の昼下がりの、切符

片方だけの、イヤリング
買い置きのシャンプー
どこへでもいけるね、って言いあった
あの日の、
あの日の約束
 ....
どうしょうもなく渇いてしまえば
身軽になるものだというように
からから笑いながら
波打ち際の空き缶の口元を叩く
浜辺の砂

昨日までわたくしは海の中におりました
かつては地殻の内側で赤々 ....
「ともだち」とは
大切なかけがえのない存在。
「じぶん」を見つけてくれた
闇の中にいたあたしを 救ってくれた
たくさんの”ありがとう” 伝えたい。

利用するものじゃないよ
けんかばかり ....
コンビニでお弁当を買うときに
あたためますか?て聞かれると
少し戸惑ってしまう

電子レンジの中では
誰かが買ったお弁当があたためられていて
オレンジ色の薄明かりに照らされている

見 ....
風の暖かくなった
空から鳥が落ちてきた
インフィオラータを知っているか
無数の花びらで地上に大きな絵を描くのだ
極楽鳥や孔雀は空から落ちてこない
カラスとハトの
いつのまにか 大雨だ

 ....
月が欠けたので
宇宙へ
行くことにする
あの欠けた部分
埋めれそうな気がする
晴れすぎた日の、透明な向日葵の光線
視界を焼くカーテンを抜けていくようだ
熱に揺らぐ交差点
人々はもう、記号にしか見えない
人々はもう、色にしか見えない
何を言ってももう、正しくはない

 ....
風の始まりは
そんな熱の高まりからだと知っている

草笛を吹きながら
その始まりに立っている

(草原は静かに燃える)

気流に運ばれてゆく草の音は
枯れ色の野を赤く染めながら
や ....
からめた指の隙間から
抜け出してしまいそうな熱を
くるもうとする沈黙

慣れない会話のように
確かめあいながら寄り添う
同じ名前の違う指

細い線を並べてゆけば
固い絆に生まれ変われ ....
となりで
しばふにねころんだひろこちゃんが
りょうてをそらにのばして
ぐー ぱー
をくりかえした
おいしそうなくもが
ながれている
わたしあのへんかなあ
せのたかいきの
てっぺん ....
わらいながらないた

冬のくるしいことは
もうじきにおわるんだとしんじて
きょうきはかかとすれすれのところに
しまいました

あたたかい
かぜはしおからく
さいたまは あざやかで ....
虚無をまとって闇を隠せば
それは限りなく深い透明のように見える

あなたは
自分を見せることなく
優しさを浮かべた瞳で見つめる

僕は
その優しさの結晶に自分を映す
一つの優しさ ....
はずむように近づいてくる
あなたの息は白くない

コートは着てこなかったよ
と言って肩をすくめる姿は
想像よりも少し小さく見える

はじめましてとはじめましてがぶつかって
どういたしま ....
飛べる

きっと飛べる
飛べるきっと

きっともっと飛べる
きっと飛べるもっと
もっときっと飛べる
もっと飛べるきっと
飛べるきっともっと
飛べるもっときっと

きっともっとず ....
気が引ける僕の手をひっぱって

闇の中に浮かぶ大きな四角い白は

両腕を箱と椅子に変え

僕の心をドルビーサウンドで

鳥肌のひとつひとつをひっぱってみたり

背筋の真ん中 ....
水槽の中で亀が暴れている
僕はひとり部屋の中で息を殺し
水槽で暴れる亀の手足を見つめる

透明なガラスの先にある世界を信じて
懸命に手足をのばす亀の甲羅には希望が詰まっている

絶望する ....
何を書こうか分からんチン
電子レンジで言葉を焼いて
食え喰えなんて、もういやだなあ
なあバイト君

僕はバイト君じゃないさ、しがない詩を書くアホさ
アホは関西弁では、いいことで
バイトは ....
それはちょうどしんじゅのくびかざりのようで
よくみるとみんなちがってみえるひとつひとつが
それぞれのかがやきをはなっているふしぎと
うちけしあうことなくよりそっていられるあなたの

 ....
雨の中でカラスは
ボロフスキーの創った
偽物みたいに固まっていた


まるでそこから
世界が固まってしまうんじゃないかと
心配になるくらいに



その横顔は
静かな怒りと ....
伝えたいことを一息で打ち込んだら
何て書いてあるのか解らなくなった

変換キーを押すたびに
簡単なセリフが難しくなってゆく

それでも
送信する

不思議と何かを伝えた気になり
不 ....
たらちねの殻梯子からおりてくる
あの白いもののなまえを

ぼんやりと霞む視界だけれど
ああここにはことばがある

たくさんの羽虫が
いのちを喰いつぶして
ああでもつらくはない

 ....
   
狂うがままに放たれた色

花びらは
その身をくるむことなく背景を抱く
自ら屈してしまいそうな首をしならせて
けれど
滑らかな曲線はこちらに向かって投げ出され
それを支えようと身 ....
静寂が満ちるのを待つ

あなたは
広げた想像の張力に身をゆだねて
空を映す水面に静かに浮いている

手のひらをつぼみにして
ゆっくりとふくらませるとき
わずかな空間の揺らぎが
水中を ....
張りつめた風の端
やわらかい記憶の糸をほどけば
泣いてしまうかもしれない
あなたは

ほころぶ桜の薄い花びら
その散り際の光景を思い浮かべるとき
過ぎた時を惜しむ眼差しで
未来を見つめ ....
{引用=冬の終わり、
時雨模様
描かれるいくつもの輪のなかで
消えてゆくだけの悲しみがあり
雪にはなれず
かすかな温かさにふれたなら、
降りつもることすらできなくて}


  一瞬だ ....
携帯電話で話しながら

「近くのはずなんだけど、、、わかるようにスッキップしてみて」
と言われて正直にスキップする僕は
どうしょうもないバカだ

そんな僕を見て
君が笑ってくれ ....
人間は 空を飛べないわけじゃない 空の色が 気に食わないだけ。 その女の人は、ずいぶんと寡黙な人で
その寡黙さが
しきりに語りかけてくるのを
熱心に聞いていた

薄い手のひらでくるまれた
さらに繊細な指先は
紙袋のひもに引き伸ばされて
青く静止して ....
ねぇ、ホットコーラだよ

甘い匂いをただよわせて
黒くどろどろしてるんだよ

はじけるように笑ってた頃
涙がかわくのもはやかった
小さな世界から飛び出そうと
圧力に押されながら生きてい ....
鏡の色が
鏡そのものの色でないと気づいたとき

透明で書かれた文字が
読めるようになりました

そこには
「在る」
と書かれていて

それを読むことで
はじめて鏡に映ることができ ....
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