すべてのおすすめ
誰もが
しあわせのにおいをさがしている
目隠しの鬼は
手の鳴る方へと
ほんのかすかな予感が
僕らを誘う
どこかにかくれるしあわせの
その端をつかめるように
おぼつかない ....
彼方からの気流にのって 届いたそれを
あのひとは
夏だと言った
わたしにとって
わたしの知らない、どこか
遠い場所で あのひとが
笑ったり、泣いたり、しているということは
あ ....
ずっと遠くの方を、
水平線が見たかったのに
空との区切りがよくわからない
から
少しだけ背中を丸めた
薄い水色のワンピースから
覗く白い腕が
夏には似合わない
から
ただ黙っ ....
?.
ああ
オルテンシアがほんと楽しそうだ
あんなの日本語だとね、てんこ盛りって言うんだよ。
ひひ、てんこ盛りだって、おかしいね。
まあ、要するに、昨日の俺たちのパスタだ。あれが ....
水が
光のように満ちる
その上に折鶴を浮かべ
はるかなその波紋を数える
海を見たことがなかった
見え隠れする光
あれがそうだ、と無骨な指で示された海は
たいして青くなかった、が
軽トラックが、ギシギシとカーブを曲がるたび
輝きを探して、車窓にしがみついた
....
#31
言葉は
無力ではない
あなたの
言葉が
無力なのだ
#32
今日は
どこにも行く気がしないし
なんにもしたくないから
携帯電話の電 ....
ついに、越えていかれるのですね。
拝啓、海沿い、立ち並ぶ風車に。ごろんごろんと音をかき混ぜる大きな手に、何でもないことを、挨拶のように振舞うあなたに。ここを、越えていかれるのですね。知ってい ....
明かりのない部屋で
画面の光に群がる私
また生まれるの
そしてまた 日の出前に私は死ぬの
太陽に喰われるの
私 瞼の裏 なんだか妙にスカスカするの
だから仕返しに
喰ってやるの 奴の ....
暗い人をみたら
いつも尊敬しなさい。
父さんはいつもそう言っていた。
南の島へライオンを助けにいったきり、
かえってこなかった父さん。
明るい人がぼくは好きだ。
明るい人はなんてすてき ....
無を抱いて生きる
私の
存在が無で
誰かと笑いあったり
じゃれあったり
先輩のお通夜に行く
病床の彼は
いつも怖がっていた
功とげ財を成し
誰もがうらやむ位置にあってもそれで ....
ぼくは生れた時から、
夜にまぎれる術、を、
知っているの。
多くの人たちが、
何事もなかったかの
ように、通り過ぎて
行く。夜道を、
たった一人で歩いて
行けるの。
たくさんの恋 ....
慣れない街では風がうねってて
目まぐるしく僕を迷わせる
どれほど背中を押されようとも
ブレーキを踏んだままなので
なんの意味もなかったんだ
傷だらけの中古車は
駐車場でたそがれて
夕 ....
男が
美しいものだという事を 知った
骨ばった手も
厚い胸も
大きな足も
上着のポケットに突っこんだ手
そのときの肩から背中が
恋人を待って人混みの中を探す視線
そのときの首すじが ....
雨が病んだ午後
嘘を吐いてひとり外に出て
散らばる足音と車輪に跪く
ひとり
熱に浮かされる様に
ひとり
裸足の儘でペダルを踏むんだ
信号無視した無彩色の車が
ハンドルを掠めるひ ....
ヒトラーの「わが闘争」を
いつもポケットに入れていた
まるでサリンジャーの小説の
脇役のようなH君から
十二年ぶりに電話がきたのは
二年まえのことだった
十二年前H君は中国人の留学生に ....
底なしだから絶対に近づいちゃダメだ
あなたはわたしの手をしっかりと握りしめて
沼の縁から大きく距離を置いて
濁った水面に視線を落とした
ときどき
得体のしれない気泡が浮かびあがってきて
....
おれは歩いていた
いつもどおりの海岸沿いを
おれは歩いていた
いつもどおり美しい海岸沿いを歩いているのにおれは
おれは海が見えなかったちっともおれには
おれには唇 ....
{引用= あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
越えられない高さに、すこし安心した}
砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
ぼくのもっとも尊敬する詩人は
F君である。
F君は現在ガソリンスタンドで働いている。
そこがどこであろうと
まるでそこがカリフォルニアであるかのように
真っ黒に日焼けして。
F君の詩を ....
凍てる指よ
松井の骨折のように外野は
草が深い
ぼくの夕陽から伸びる野の球。
眼球のようにやわらかいものが骨折している
ぼくのさみしい眼球譚が
そうして麦笛に ....
むかし、俺に親切にしてくれた人がいた。
初めて入ったそば屋のおばちゃんだ。
俺は浪人生でひどく痩せていた。
まるで勉強ができなかったので、
ひとつも大学が受からなかった。
どうやっても勉強な ....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
もう少しで
ぼくは
ぼくについての無知が
分かりそうな
気がするので
暗やみの中
きみを裸にする
不完全なきみが
ぼくを見ている
不完全なぼくの
わずかな感 ....
切ないものは
この胸の痛み
今朝一番に見た
青い空
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする
この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
ママあの
超合金買って
またね
またこんどね
こんどって
いついつが
こんどだったのだろう
もう
こんなに
大きくなりすぎてしまったのに
ママあの
超合金いつ
買ってく ....
太陽は 生き絶えた
俺の 孤独も 持っていって
俺って 言葉 使わない?
寒い
太陽は 盲目なんだ
俺の 友人も 行ってしまった
俺を 連れていって
どこへ 行っても
俺は 一 ....
川縁の土手に根を生やした蒲公英たちは
うららかな春の陽射しを浴びて
いっせいに背を伸ばす
夏になったら向日葵になるの
ダンデリオンが通りかかると
みんなで声をそろえて問い ....
透明なビー玉はころがっていって
冷蔵庫の下からほこりまみれで帰ってきた
それを見ていたから
僕は大会で優勝できたのだ
ずっといい子にしていて
サンタさんが大きなお人形を贈ってくれた
そ ....
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