「不安が消える時」
木の若芽
斬新でいる必要はない
ありのままでいつづける そのほうがいい
空にちょっと同意を求めたら
にこっと光ってみせてくれた ....
秋の海は幻想的だから・・と
男が女に誘いをかける
秋の海は思い出が振り返す・・と
女が男を拒絶する
男と女が言い争う
互いに引く気もなく
男と女の口喧嘩が終わったみたい ....
みな年を取って行く
かわいい女を妊娠させ
若い女をエスコートしても
みな年を取って行く
無邪気な芸術家を気取っていても
また年を取って行く
二十五でやっと大人の仲間入りをし
三十で自分が ....
桜守はいつも見ている
敷居の前を
週末に見慣れた木立
榎が化けた大欅が
獣たちを一瞬で覆い隠す
昔 此処が夜のしじまだったように
限りない静かがありふれていた
ダカラ思イ出ス ....
遠い星を見つめて
丘のうえ爪先だちで
手を伸ばしてみる
遠い
遠いんだと実感する
掴めるものは何もない
墨色の空/新月の空
星はこんなにも
たくさん瞬いている
風が吹いて ....
歩いていたら
むやみやたらに歩きすぎていたようで
でも本当は進んでいなくって
うまれるのは
足の振子と呼吸数
皺と涙
そして自分の影の数
5ねんご10ねん・ご
わたしは
・・ ....
廻り廻ってさようなら
季節はまたも去って行く
やがてはわたしも去って逝く
寒くなったね
それでも今夜はまだ
震えながらも網をかけて
待っていましたよ
今夜はまたすらりとして
....
煙草をすっている間考えたんだ
天気の良い日ばかりでは無い事を
世界はちょうど良い硬さでバラバラにならずに済んでいるが
手綱を緩めたら僕をおいて走り去ってゆくことを
ちょうどバランスのと ....
寝息を立てる背中に心の中で呼びかける
世にも優しい人
ベニヤ板で塞がれた窓に蒼い月の光を描こう
今は夜中、外は涼しいはず
都会も眠り、時の歩みも止まったよう
月光と小さな鉢植が要る(習慣化の ....
「木 樹 木」
木の若芽
木という美しい存在から発せられる
さらに妙なる空気は
宇宙の真空に似て
静かなのに歌に満ち
陰なのに光にあふれ
少し怖いけ ....
この粗末な杖で
渓谷の深さを探りながら
対岸に渡り
平らな岩の上に荷物を置いた
紅葉は始まったばかりで
枝は葉を乗せて
上下に ゆったりと揺れ
葉は揺れながら 左右に小刻 ....
1
耳なし芳一
壇ノ浦に座す
撥は海風
火の肌をなぜる
赤い藻屑と沈んだままの(旗たち切れの)
悔いの嵐の そのなかの
2
めくらの芳一 どこへゆく
雨滝のよう 夜闇のよ ....
手廻しミルのハンドルが飛んだ
散らかったコーヒー豆の破片が
映し出す記憶が全て
重なって出来た白色
試験間近の高校生たち
ノートに書き留めた言葉で
妄想の歴史旅行を始めるための ....
とししたのメンズは
いどんでくるから
つかれちゃうのよ
かちたくもないけど
かつし
かてばかったで
つぎから
てきよばわりされるし
そう ....
{ルビ月極=げっきょく}さんは資産家だ
日本全国に空き地を持っている
でも、どこに住んでいるのだろう
月極さんのお家がない
そう思うと、ちょっとかわいそう
パートさんになった
月極で働 ....
―適応―
異国で生き抜くために身に付けた術
外国なのだもの、
文化も生活習慣も考え方も
違って当たり前
違いにいちいち目くじら立てていたって
所詮何ひとつ解決しない
抵抗は余計な葛藤 ....
心に夕陽が沈むと
満天の星
ことばたちがキラキラと
月よ お前様は 自ら輝く事も出来ない身の上だと言うのに
借り物の服を着て
ものまねの明かりの下に 私を座らせて この めくるめぐる思いを
ただ 寂しいよ と一言だけ 言わせて 癒 ....
いつだって
人は やじるし、だ
変幻自在に曲がる針金製の
伯父は
がんだった
誰にもしらせずに
抗がん剤とむきあう
プライドと
やさしさで
わたしは何もないように過ごす
一 ....
連れられて来て
放たれて
追いかけられて
追いかけられて
すくわれて
入れられ
揺すられ
揺すられて
閉じ込められ
名前を付けられ
見つめられ
見つめられ ....
固く胸がふくらみ始め
女の子はあごの下で
つぼみが育っているのを知る
不思議なわたし。
自分の体につぶやいてみる
身体の深奥から
まるで一本の茎が通っているみたいな内部から
外へ外へと ....
まいにち、テレパシーをとばしている
とどいたのかなぁ
今日は雨だけど ・・・
れんちゃんにとって
六月はもう、真夏とおなじだった
朝から暑くてたまらないみたい
ひんやりつめたい ....
見上げた灰色の空に
風が答えるように 霧雨をよび込む
屋根岩二峰
小さな張り出しの下にたどり着いても
漂う水滴から 逃げる事はできない
吸う息も 吐く息も
踏みしめ ....
いつからあるか給水塔
コンクリートで固められ、
一二本のピラスター(付け柱)
誰が呼んだか丘のクラウン
二基一対の給水塔
昭和どころか大正の
遙か昔の古城のよう
異様な風貌の建造物で ....
ヒロシマにはたくさんの暑いがあって
たくさんの雲がながれて
たくさんの橋がある 。
たくさんの足音がビルに響き
人々はべつに重苦しくもない電車を今日も走らせる 。
雑草は ....
礼を尽くして
空き缶をいただく
あなたの日々は
わたしの知らないところで
正々堂々
みずからの命と向き合っている
早朝
髪をかき乱し
欠伸をしながら外に出る
籠にあふれるビールの ....
青い空を切り取って
それも丘に埋めたのだ
まるでお前の目のような
きれいに澄んだ青空を
果てなく自由な青空を
閉じたお前の目の為に
春が来れば
硬くお前の口一杯に
詰まった土も温も ....
空のピアノを見ましたか
ほら・・、
二重橋のような、おおきな虹のことです
ト音記号と、ヘ音記号のついた
おおきな、虹
ドは、どこにあるのかなって
迷いませんか
ふしぎなことに ....
昼下がりのファミレス
奥まったテーブル席
初老の婦人が
ぽつんと一人
一人 ナポリタンの遅い昼食
ゆっくりと彼女は
飲み放題のコーヒーを
啜る
そして 静かな店内に目をやる
....
真夜中
娘の背中をさすりながら
ただ一心に祈る
他に何も要らない
何も要らないから
ただこの子の咳を治して下さい
今この瞬間にも
地球上のどこかで
同じように子を抱きながら
....
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