すべてのおすすめ
桃のにおいの手が
空を混ぜて
はじまる
闇のなかを見つめ返す
まぶたの奥の水があり
ひとつの葉に隠されている
海岸と夜
手のありか
通り雨
....
鼓動は通り
鼓動に還る
夜は
そこに無いように在る
夜の坂を下り
振り返る
夜を作るもの
何もなさを照らす
黄金と黒の
二重の円のなかで
せめぎ ....
水の子ども
鏡にしるしを
つける子ども
今日は 離れて
泡の手と手
ひともとの
すべてがすべてに
あきらかな夢
青と 次の色
半分の径
仕草 ....
空から川へ
融け落ちる途中の樹が
水面で動きを止めている
野のむこう
そぞろ歩きの雨曇
穏やかに酷く
匂いのひかり
壁づたいに
曲がりゆく影
川から海 ....
水は降る 冬は降る
銀と灰と
誉れなき晶
午後は降る 午後は降る
右手で右手をしぼり
流れ出るのは同じ色
痛みに混じる
あたたかさ
ななめうしろ つ ....
小さな炎が鳥になり
葉の下の土を照らしている
傾く森
灰を数える
瞳に足りずに 瞳を足し
あふれるものは 金の浜になる
打ち寄せるひとつ
手のひらになる
....
霧の音を
水の音が割り
沈む虹を追う
流れない冬ばかりを
追う
ゆうるりとうすいまばたきが
冬の窓をすぎてゆく
内と外は
眠りながら見つめあう
火 ....
暗がりが暗がりのなかを
剥がれながら落ちてゆく
滴が滴でなくなるまで
見つめ見つめ 見つめられてゆく
見えるものは そこにないもの
赤を隠した 白の毛糸玉
腕に咲く ....
最初の雨の火に焼かれ
槍や矢の血の頬を娶い
色なき泡を
曇へ放ち
海を消す火
ひかり鳴る海
寄せる片目
まばたきの波
黒円が重なる
白濁が白濁を射抜く ....
うすむらさきの川に指をひたしたまま
舟が帰らぬことを願っていました
あなたは何故そんな
紙の花のようなことを言うのか
とうの昔に終わっていたのに
今がはじ ....
ひらき ひらき
また変わる
ひらき ひらき
変わりゆく
鉄に降る虹
坂をゆく午後
水をすぎる影
花や光や 曇をかかげ持つ
脱げば脱ぐほど
次の次の ....
絵の具の年譜
金の闇
渇ききった既視の風に
名を呼ばれては遠去かるもの
暗い霧をつなぐ虹
ところどころ消えながら
雨を照らし
雨を鳴らす
岐路の前の影
....
ちぎられる紙
ちぎる紙
はざま はざま
せめぎあう
扉の前の
やわらかな不都合
光の前の
しじま つまさき
背のびをして しずく
背のびをして 白詰草 ....
巨きすぎる絵を
照らす拍手
また
照らす拍手
葉の影が
頬から動かない
音なでる指
なでる指
縦の水に沿い
三つの魂が立っている
渦の音 見えぬ ....
左肩を左壁に押しつけて
くたばってしまえ
打ち寄せて来いと
うたいつづけているのだ
左肩の血で壁に絵を
描いているのだ
猫のように餅のように
鳴いているのだ
....
人生も英検も我二級なり
二つしか選択肢無く二級なり
二級には二級の言葉きゅっきゅっきゅー
ひとつだけ持つ不安から二球持ち
「 ....
割られようとしていた
ひとつの陶器を盗み
よくわからない生きものを大量に殺し
自分で自分の頭皮を傷つけ
蜘蛛をひとり救った
今日も自分は
わがままだった
....
草から分かれた空色に
虫は染まり 身じろぎもせず
夜明けの光の逆を見ている
曇りの上の曇りから
水の底の骸へと
緑はさらに緑に降りつむ
闇のなかに闇 ....
氷の角度の緩いほうから
あけるつもりもなくあけた扉から
かわいた風が入りこみ
指のふくらみのはざまに熱い
奏でること
月から目をそらさずに
奏でること
奏でつ ....
水の上の火
空の姿か
底の姿かわからぬまま
ひとり ほどける
風 息 原へ
去るを見る
砕けるを見る
散るを見る
傘をたたむ
遅い夜の色
ひとつやわ ....
夜が落ち
夜に鳴る
風の無い 夜の明るさ
羽 葉 紙 綿
重なりと水
空へほどけ 沈む光
緑降る日
誰もいない日
青の足跡
水へつづく坂
....
髪を切る音
霧に落ちる道
羽と火の音
氷の船
高く奇妙な階段の家
ある日消えたあとの空地を
ひとつふたつすぎてゆく声
影のなかをすぎる影
海に沈みか ....
凪と鉛
曇が地へ落とす火
色より広いまぶしさの
まなざしのふちを洗う雨
水を踏み
坂をのぼり
鈍を振る
頭は 音になる
空に浮かぶ火が薄まり
他の火を ....
意味さえ知らず
触れては消える
水のなかへ
音のなかへ
一滴一滴
光は変わりつづけている
抄うともなく抄う指先
常に既に異なるふちどり
鉱の音が響い ....
だらしない服が
花のように香る
からだの線が
浮かんでは消える
あなたは
無言にたなびく
降る曇
くちびる
とじたまなこ
うしろあたま
ひとつかがやく
....
硝子を失くした窓の列を
鳥と花と草木が通る
ここは痛みを知らぬ胸
ただまなざしに焼かれるところ
道から湧く音 光まじる音
重なりを解いてはつなぐ音
....
頬つたう流れに小指吸われつつ鏡のなかの老いを見つめる
死にかけた小鳥を隠す藪はいま蕾の波に覆われており
窓たたく冬の名残りをふるわせて排水口をふさぐ髪の毛
....
互いに背を向け
曲がり またたき
空と波を
指おり数える
月が隔てる言葉たち
手のひらの海
無数の帆
とまどいは澄む
濁りのあとさき
透明でもなく鏡でもな ....
ゆるは {ルビ温=ゆる}
ゆるは You Will
ゆるはやがて現われる
こどものために
しずくのために
私はこの名をはためかす
....
映りの良すぎる鏡があり
いつのまにか見なくなり
いつも下に向けていたが
ある日偶然元に戻したら
醜い炎がそこにいたので
上に向けたままにした
そ ....
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