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わたしは みにくい獣だ

 鋭利な刃物を知っている
 (わたしの爪はいつも)
 鋭利な言葉を知っている
 (やわらかな皮膚だけを)
 鋭利な視線を知っている
 (傷つける)

みよう ....
しとやかに咲く花の雌蕊を
ひと撫で
ふた撫で
愛の甘い誘惑は
心の隙間を逃さない


あなたは踊り子になる
薄塗りのなまめかしい曲線を
チュチュの爪先でなぞれば
そこは倒錯の天蓋
 ....
一昔前には
ありえないことが
当たり前になったと
思いながら仕事している

腹が空いたのを
気がつかないふりして
お昼の御飯を取りにいくと
真っ白でつるつるな
紙の箱に詰めら ....
窓を開けた瞬間
朝一番の風は
薄手のシャツを抜け
眠気交じりの肌を
下から上へとナゾルように吹いてきた

頬から
首筋
うなじへと
同じ風に包まれてゆくのをそのままに
まだ整えてい ....
赤錆の目立つ時刻表のバス停に立ち
来るか来ないかの
微妙な時刻にバスを待ってみた


進路の前にバスは無い
順路の後ろに気配も無い


行く先も馴染みの無い駅の
名前の書かれた ....
アゲハのハネは夏の欠片
土の上にパリン 零れる小宇宙

落ちていたハネなんですけれど
日にさらされてか
ガラスのように かわいていて
リンプンは星屑しゃらんりん
本体は見あたらなくって
 ....
季節はずれの花粉のせいなのだと
説明する僕のことを

受話器のむこうで
君がくすくすと笑っている

きのう雨の中でけんかして
雨なのか涙なのかわからなく濡れたふたりが
いまはこうして傘 ....
投げやりなタコ焼きが
ソースの匂いを振り撒きながら
僕を食べに玄関まで来ている

食べられたくない僕は
お守りを握りしめるけれど
よく見るとそれはカブトムシの幼虫
行き所を無くし ....
昼夜が逆転してしまう

昼夜が逆転して

ひとが寝るころに起きて

ひとが起きるころに眠るようになったら

彼と二度と会えなくなるかもしれない

そうしたら



書置きで ....
虹を渡すのは、雨の純真であるように

雨を放すのは、空の配慮であるように

空を廻すのは、星の熱情であるように


やさしき担いごとは満ちています



あなたを求めるわたし ....
はっか飴が苦手なほどに
あなたは幼い

丸めて・形よく
献上した
嘘の後

重ねて
垂直にうばう
目の前・生命線


わたしが服をぬげば
あなたも服をぬぎますか


グ ....
祈りの数だけ神がいて
祈りの数だけ願いがある


何故人は祈るのか
恐れおののく、その先の
抗いきれぬ力に前を遮られ
溜め息さえも躊躇して


祈りの数だけ花が咲き
手向けた花の ....
湿気ばかり多くて
気温が上がらない夜は虫なんかの
季節を送る歌など気にせずに
眠ってしまえばいい

閉じた瞼の裏が
奇妙な色に透けるのは
まだ生きている証だと思えるのなら
眠ってしまえ ....
天神で評判のラーメン屋でとんこつラーメンを2杯食い
満たされた腹をふくらませて夜の{ルビ那珂川=なかがわ}沿いを歩いていたら
遠くに並ぶ屋台のぼんやりとした明かりが見えてきた

橋の傍らにひっ ....
プラットフォームで 日陰のベンチに坐り
僕は詩を書いていた
いいや君への手紙だったのかもしれない

白い午後
静かな校庭のこと
いたいけな青空のこと

いいやそんなことじゃない
間奏 ....
シーン1


男の子が「つみき」という名札をつけていた
私が
つみきっていうの?
ときくと
そうだよ、かっこいいだろ、建築って意味
というのだ
へーんな名前
というと
男の子はむ ....
この大きな水たまりは俺がつくってしまったのか
海を前にして蛇口は茫然と立ち尽くした

もしかしたら俺の栓を大事に開け閉めしてくれた人たちの家も
どこかに沈んでいるのかもしれない

そう ....
海の中で生まれた気がする
始まりは遠い手のひらの中
重ね着をして、重ね着をして
風邪を引かないように眠っていた頃
どこへでも、の世界は
指先まで暖かくて
つまずかないように歩けば
いつま ....
まもなく一番線に東京行きの快速電車が到着します
あぶないですから黄色い線の内側でお待ち下さい

まもなく二番線を特急電車が通過します
あぶないですから黄色い線の内側にお下がりください

 ....
そっとかわいてゆくならば
あと すこしだけ




(でんわのおとで目をさまして)
(それからゆっくりと足の裏をつめたい床へ)
(ひた ひたと)

おきてがみの温度は なまぬるく
 ....
おまえねェ
おれからみると まだあおいんだよ


わかいときこそ まようんだって
えーっと
だれだっけ そんなこといってたのは


うちはわかいうさぎたち おおぜいいるから
そのき ....
ほがらかに歌う

ではないけれど
やわらかい
そのような、




やさしい人

やさしい
易しい笑顔 と
きらめく
すこやかな、

絶望



人を花にた ....
今しがた
煎れたばかりの紅茶は
口をつけないまま
冷たくなって
湯気をたてることも
香りが揺れることも
なくなっていたので
カップの上から覗いてみた

ふたつの瞳が私を見ている

ティーポットに
熱い ....
彼女という人は
詩人とかそういう類の人みたいで
ときどき僕を近所のファミレスに呼び出しては
伏目勝ちにちょっと小難しいことをしゃべり
左手に持ったフォークでグリーンサラダにやつあたりし ....
最終バスは一番後ろの席に座るのです
何となくそれが習性になっているのは
そこからは町の様子がよく見渡せるからです

蒼い街灯の下でたたずんでいる
停車場の表示を運転手は調子よく
鼻歌まじり ....
季節は一冊の本にまとめられ
秋の頁をめくりながら
月明かりの下
あなたの言葉を
思い返すのです

秋の頁はとても長く
多くの言葉で
埋め尽くされているはずなのに
めくってもめくっても ....
他人を批判して
自己を正当化することは
とても容易い

ところが
詩を描き始め
自分を少し管理できるようになると
正当化どころか憂鬱になる
他人を批判することは
とても難解だ

 ....
いつからか 告白することも出来なくなった
僕は
かたい貝になったのだ

息をする時だけ 口を少し開ける

その一瞬だけ
世界に触れ 地球の一部を感じる

僕は 貝

君に触れるど ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる

アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
さあカゴに何を入れましょうか。

歩き慣れた買い物道は私を安心させる
色鮮やかなフルーツと人なつこい売り子さんの笑顔

古くて腕あたりが柔らかなカゴ 私が育ってきた家庭
新しくて刺がまだ痛 ....
tonpekepさんの自由詩おすすめリスト(1074)
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連環- 千波 一 ...自由詩21*05-9-20
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