土曜の朝
夢の中で計算していた
資料の動画を作成していた
まるで休日出勤
休みなのに
仕事のことばかり考えてる
好きかと言われたら
そうかもしれないし
違うかもしれない
心は ....
病棟のベットでぼうっとしている私
四人部屋のお隣さんは
ラジオを鳴らしながら歌っている
私は揺れる緑の仕切りカーテンを見る
空調の送り込む風にゆっくり揺れ
お隣さんの歌声は続いている
....
まだ1ヶ月以上あるというのに
この時期になると
街のいたるところに
イルミネーションが灯りはじめる
一個人の家庭から
木々のこずえ
待ち合わせの広場
イルミネーションの灯では
....
昔戦場だった野原に
ススキが生えている
百姓なのに雇われて
怖がりながら
斬られて逝った命たち
風でススキが揺れる
手招きみたいに
たくさんの無念が
教科書には載っていない ....
薄暗さ覆う海辺、うねり寄せる波間の渦に
子供たち二人、あっちとこっち何か大っきな貝を掴もうと盛んに手足を動かして動かして
自分たちに肉体があることの自由自在を喜び、歓喜の木霊のやがて波間の渦 ....
最早絶望に絶望する
孤独と云うモンスター
最早親も誰も助けにならない
その現実を幼少に凝視した人間の
ごろんと転がる親しみ在る人の死体
ぱっちり両眼見開き固化した瞬間 、
自らを切 ....
粉雪の夜空からそっと舞い降りてくる、とてもちいさな白い天使たちが、君のながい睫毛の上にそっと置いていった、とてもちいさな氷水晶。
姉は
母の遺影だけ渡してくれた
お父さんのは?
とは聞けなかった
彼女の中では
一生赦せないひとだったのだろうから
母の情の{ルビ強=こわ}さを受け継いだ姉
酔って暴れる父を
....
火炎に光の耀き燃え立つ処、
必ず煤の吐き出され闇の病み
天に誘われ地に誘われつつ
人の伺う対局の間合い
天と地への執着の悪夢、
二の狭間に三を導き
真の途を見出し
意識魂の己 ....
冬は
つま先からやってくる
朝の換気のあと
畳を踏みしめると
つま先に
じわっと
寒さが滲む
つっかけを履いて
ゴミ出しに出れば
つま先に
冬を感じる
お布 ....
ことばが灰になる
皮膚を焼くのと同じ匂いで、
私の祝詞は、
毎月、かすかな煙をあげて消失する
――わたしたちは
プーチン大統領に起因する不条理に反対する、
と
白紙の地図を焦がしな ....
泥水に塗れたいと言いながら
肩書きを武器にしようか迷う
そんなあなたに
ふと愛想が尽きた
ニセモノだった
ファッションとして
上手く着こなしていただけ
辛酸舐めた人間を知ると
....
きみのしずかな寝息は、 この、
夜の水槽のような部屋の暗がりのなかで、
とてもふわふわと、
まるでちいさな海月のように、とてもしずかな寝息だね、
突き抜ける青さは曇りなく
一点の雲もない
どこまでも恒久の青
360° 全部 青
水色でも蒼でもなく、青
(雲が無いのは空気中の湿度が低いからだ)
あまりにも高くて
酸欠にな ....
魂の器 鞘の壊れた
精神疾患取り敢えず
別にしても 、
歳月を重ねつつ
肉体の衰え来れば
それ相当の苦しみ
誰もが背負う
にもかかかわらず
皆んなを愛してると言う
苦しみど ....
昨年の冬
ついにグランドフィナーレを迎えた
一年半訪れず
そして再びの来訪に驚き
慌てふためき病院にまで行く
「そういうこともありますよ」
お医者様の言葉に安堵した
確 ....
最後に君と会った日
別れた後で泣いた
もう二度と会えないことを確信したから
いつかはもう来ない
命が消えてしまう
どうして
子供みたいに問う
どうして
君の写真を見ながら
....
南向きの陽当たりの良い縁側で
母は新聞を読むのが好きだった
そこは
冬でも小春日和で
いつも長閑で寛いでいた
母もまた然り
これと言って趣味がなかった母だが
いつもの厳しさはどこへや ....
渋谷陽一の語りには、論理的な暴力性があった
良い加減な人? ただの音楽好きなおっちゃんだよと語るけれど
その独特の嗅覚には、いつも本物の持つ匂いがした
体系的な知識と全体像だけじゃない
人肌 ....
地球観測は地上から行える
月と星の下で地球を見下ろし
地球のヌードを通り越して
植物の種類
光合成の程度
土の種類まで判別して分析する
ドローンで配達が当たり前
今日も通行人を避けて ....
生きる上澄み掬い取り
深く深く沈む汚濁を
遥か眼下に見入れば
凍結の斜面滑落し
呑み込まれる
不断の恐怖
隣り合わせの
生きる歓び
赤から紫
紫から青に
青褪め
開かれた ....
すこしだけ何かを言いたいのなら。
さようなら
繰り広げられる白い雪の
すべてをさらけ出した清いあきらめが
くるおしく皮膚にしみこんでゆく
季節の記憶が旅立って
たどり着くこと ....
今夜も その笑顔に癒されている
カウンターで
コースターを弄りながら話す
目の前のグラスは
緑の照明にぼやけて滲んでいる
近すぎる席に感じるのは
貴方が大柄だからでしょうか
....
(生きている)
前にしか進めない
立ち止まっている時も
一方通行の時間に乗って
細胞を殺しながら
生きている
乗り越えれば乗り越えるほど
壁は大きくなってゆく
問題も難しくなっ ....
どくんどくん
どくどくどくん
ぁああぁああ
およいでいるわ
落ち葉舞い始める
晴れ晴れ朝の未だ手前
妙に明るむ意識の視界
泣き声絶えぬ懐かしさ
ぁああぁああ
ときのなみまに
....
冬が
にじみはじめ、
すべての あらゆるものを
灰色に染めあげる、
陶器の カップをおく音に
ためらい
振り返る
キッチンのテーブルに妹がいた
久しぶりに見る姿
うつむい ....
グッと入った
ツボに指
自然と涙が滲む
痛いのに嫌じゃない
この金属のようなカラダを
神のような手でほぐして
どうしようもなくなるまで
耐えてきた
グッと入った
ツボに指
....
15年続いた結婚は
ロマンチックじゃない
愛してるもなければ、きゅんともしない
15年続いた結婚は
穴の空いた靴下と電線したストッキングだ
みっともないところもだらしないところも容赦なく ....
夢は記憶の足跡とも聞く
舟に揺られ、震えて叫んでいた
夕暮れよ
あなたは気まぐれで
私を弄んだまま、夜ヘ送った
夜よ
あなたは私をその底に沈め
耳を塞ぎ、目を覆わせた ....
澄みわたる秋夜に冬の接近想いつつ
今に至り失われたもの又得たもの
遠い夏の日の森から立ち上がる
浮き世の波頭の幾つも幾つも押し寄せ
何れ容赦なく降り始める雪の死の門出
愛娘残したまま時 ....
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