あしたのことを
考えていました
今が今でしかないことや
過去が過去でしかないことは
そっと忍び来るあしたにくらべれば
ずっと簡単なこと
あしたはいつも単調 そんな貌で
あなたのこ ....
私の影がそろりと
地表から剥がれる時
私はやはり独りで
遠く空を見上げているのだろう
そして夜毎夢の中で
出逢う死者たちは
いつもと同じ柔らかな手を
差し伸べるだろう
けれど彼 ....
いつの日にかめぐりあいたい
半生のうちで別れたひとたちと
春の朝なら花園のなかで
夏の昼間なら木漏れ日のしたで
秋のゆうべなら紅葉のしげみで
冬の夜中なら街灯のかたわらで
....
雪降るや前が見えずの帰り道
風花や橋を渡れば別世界
哀しみの後は雨から雪となる
あなたは私を暗がりでは
抱かない
ただ
感触で繋がっているだけ
それは
あなたの
言葉だから
一緒にいる
と
いう
感覚をつかむための行為
抱く
というときは
大 ....
飛んでく、
夜には虫が飛行機が
わたし
女の子じゃないって
いいたかった
鳥が
飛んでいく
ぼくの
夕日の上で
電線と
電柱が、足元に垂れてきた
電気色のコーヒーに
「こんばん ....
パイ皮につつまれた子羊の肉がある。
ぱりぱりとしたその外皮と一緒に切り崩され、
皿に敷かれた甘く濃いピノノワールのソースへこてんぱんに塗り付けられ、
ゆっくりと口に運ばれることを運命付け ....
ある夜
友達がひみつを打ち明けてくれた
今まであった つらくて 悲しい 出来事
ひとつ ひとつ 言葉を選び
ゆっくり ゆっくり 話してくれた
友達は泣いていた
いつも花のように笑っている友 ....
真の賢者に
恋の相談はしない
悩みとともに
その恋からも 解き放たれてしまうから
灰の混じる手で
顔を洗う
灰は髪になる
灰は語る
火が残り
背を照らし
髪の影を燃し
ひとりを浮かべる
月を連れ 別れる
赤い光が 鉄路を去る
隣を歩む ....
飛行機雲が消えゆく
夢のように
やさしさのように
ゆらりゆれゆく水面に
魚のかげはうつらない
深く沈んだ自転車の
かすかなひびきが ぽつり
雨をよび
あらしを誘う
梅雨の日々は湿っていて
すべてをひらたくさせる
私も 床も 土も
....
大勢の鳥達がワアワアと騒ぎ立てて逃げていった
と同じくして
私の胸の中でも鳥が泣いていた
閑古鳥 かんこ鳥
一人が怖い 一人と言う寒気が痛い
重量感のある世界に一人の ....
我が北大路家は 代々 京都守護の仕事をしている
昔 空海が張ったとされる結界を 現在は父が張りつづけてる
私も中2の頃から仕事を手伝い始めている
結界の保守・管理などが主な業務
....
光りを纏い取り戻していく
近い記憶の
無邪気と純粋
瞳に映る輝きに
洗われていく心
今は半分しかない
あの頃のわたし
透明なはずの七色の粒を集めて
....
或る雲の
雫が揉まれて
濡らされて
塗れて流す
村雨よ
明かす日に
落ちた雫が
乾くまで
再び降ることを
願わぬ
ぼくのかばんは空の色と同じだ
青いような白いような
どっちにしても気持ちいい
空より入らないけど
たくさん入れることができる
テキストとノートや筆箱を
ぎゅうぎゅうしながら押し込めて
背 ....
目を閉じると
ざわざわとした瞼の光がある
生き死にとは関わりのない所で
夜に終わっている
大変な引力で
言葉が土に還っていく
無音とはそういったもので
雪でも降ったりするんだろうか
....
離れていても
一緒に過ぎる
二人の時間
針金を折りたたんでいく、と
先には僕らが息をしている家が見える
目を細めれば海のようなものがあって
僕らはそれを海と呼んだ
その前で君はセーターを編み続け
僕は隣でセーターを食べ続けてい ....
君がひっそりとやさしい人になる
誰も気づかないうちに
日が射して去っていくように
教室の片隅で
冷えた空気を少し弛ませて
小さな出来事だった
草の芽が最初に ....
?.
この絵、あんたにそっくりね
そういっておまえが笑った絵は
リオハのお城みたいなワイン美術館にあって
おまえが指差して笑った絵は
赤ん坊のバッカスが
ワインをラッパ ....
「愛してください」と言えないから「ちゅーりっぷ、ください」と言った
「あなたが好きです」と言えないから「白いちゅーりっぷが好きです」と言った
たった一つ、あなたから貰った
白いち ....
仕事に行く
ぎりぎりのところ
足を一歩踏み出すだけで息が苦しい
外の世界とつながらない
伸ばした手はいつも空気を掴んだ
あたたかい手はない
足を踏み出すだけで疲れていく一歩一歩
....
冬だって
やがてやってくる暖かさで
春になる
悲しみだって
やがてやってくる笑顔で
幸せになる
酸性だって
やがてアルカリ性と混ざって
中和する
キャラメルだって
やが ....
なんでもいいから、
理由も
温もりも
微笑みも
なんにもいらないから、
とは言っても
傍にいられるだけでいいよ
とも言えなくて
それは
きっと
ただのわ ....
ついに定規は曲がった
まっすぐにしか使われない自分が
悲しくなったという
まっすぐに測れるものなんて
世の中のほんのわずかしかない
そう思ったらしい
もっと柔軟のある生き方を求めて
現実 ....
みじかい泣き虫夢を見てる
らすとワルツが踊れなかったから
いしを抱いてみじかい夢を見てる
じいっと黙って言葉をこらえて
つちの匂いだけが冷たくてやさしい
とすかーなの事を考えて ....
稲妻でみんな酔って終われるって言うから此処に来た
だから早くそれを出せばいい
そう言いながら手を傷つけて血を流しながら
貝殻を握りつぶしている友達を笑って見ている
俺たちはライトアップ ....
触れたところから崩れていく
もろいビスケットの空
投げた言葉も跳ね返らない
石畳を、転がるように
冬を塗りつぶしながら
配達夫が窓をこじあけていく
のびあがっては、きりきりに締め上げる ....
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