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赤いラッパと白いラッパ
雨が止むのを待って
空に向かって奏でる
今はまだ逢えない
遠い星に向かって吹く
夢の中の声は小さくて
全身で聴きとって泣く
小さな黄昏に果てしない影
私 ....
いつまでも一緒にいようね。
割り算のやり方なんて忘れてさ。
風に飛ばされてゆく葉っぱを拾いあげ
それを大切に懐にしまう人をみた
まるで栞を挟むような手つきで
忘れられてゆくはずだった葉っぱが
何か違うものに変わったのだ
ある日、出会った他人同士が ....
真昼のまぶしさの下
水中眼鏡で世界をのぞく
あらゆるものがここでしかない自由をまとい
わたしだけが不自由だった
にせもののひれを誰も笑わない
ゆるされていた夏
さよなら、まりも
ひんやり ....
ミンミンゼミの蝉時雨
窓ガラス越し物凄く
気が遠くなるよな濁音の渦
彼らはひたすらに生きている
僕らが時をやり過ごすとき
彼らは命を燃焼する
僕らが虚空を覗き込むとき
ミンミンゼ ....
あたしが
まだ赤ちゃんだった頃
産んでくれたかあさんの乳房は
あたたかい海のようだった
あたしが
まだ赤ちゃんだった頃
とうさんは
ただの一人の男の人だった
あたしがまだ赤ちゃ ....
買っておいた胡瓜と茄子に割り箸をさして
精霊馬をつくり
朝の玄関に置いた
、
いつからなのか
サンダルの隙間に
しろい腹をみせてころがる
蝉の死骸を拾い
リウマチの指を思い出す
....
閉めたブラインド
風が隙間を探してる
湿ったコットンが
乾く場所を探してる
少し開くと一気に
夜行列車のように
光の数珠が流れて来る
一瞬見える青空に
涙を吸った雲が浮いてた
....
闇の重みがぐんにゃりと
魂に激しく切迫し
私の意識は朦朧として
呻きながら覚醒する
真夜中の病棟にただ独り
呻きながら覚醒する
ハッと息を呑むこの瞬間、
孤独が生きて立ち上がり
....
君の幸せは、もう、静かな心臓へ帰るといい。
夜間飛行のともしびが、
寒い砂漠の夜空に灯るといい。
君の笑顔は、もう、私の部屋から出て行けばいい。
そこで砂漠の闇のような心と ....
わたしはわたしを
いちばんに思う人だから
いちばんにしか
思えない人だから
わたしはわたしが大切にするものを
失いたくないものを
全力でまもりたい
わたしは
時に正義を口にする ....
ほんとうは 知っているのです
生きていることに 意味などないと
それでも ここまで生きた自分を
誇ってもいいですか
自分で自分を 殺さなかったことを
死にたいと呟きながら ....
オレンジ色の海に
真っ赤な風船が
空気が抜けていくように
溶けて流れていく
真上にはもう
気の早い星がやって来て
透明な月も
火が灯る提灯になる
ありがとう さようなら
黄昏の精 ....
とうもろこしをもぎると、
骨が折れるような音がして
透明な血がじゅわっと溢れて手首を伝った
舐めとるのに夢中になっていると
入道雲が発達してきた
わたしにはまだ涙が残されている
流 ....
蒸し暑い日本の夏
暑さも厳しい日本の夏
団扇を使って
涼しさを引き寄せて
少しでも過ごし易くする
打ち水をして
涼しさを引き寄せて
通りが幾分は涼しくなる
何年か前よりも暑 ....
今日も空は青かった
にこりともせずただ青く
無限の沈黙のうちに
それは在った
今日も私は無力だった
宇宙の虚無に耐えかねて
あなたにあることないこと
喋っていた
今日も黄昏は優 ....
竪琴を抱え
星の間に立てば
亀の甲羅に響くのは
繰り返し呼ぶ
あなたの名前
今なら自由になれる
早く私を捕まえて
遠くへ連れ去って
一万二千年後にはもう
北極星になってし ....
とうとう
宇宙の銀河へと旅立ちました
夏の暑い日にゆく道は
かなへびが虹色にかがやき
空には蝶やとんぼが舞い
山鳩が見送りました
たかさごゆりがお辞儀をし
芙蓉の花が揺れました
....
あの夏の朝に 私が見たものは何であったか
まばゆいかなしみがほとばしり
そして私は そのまばゆさのままに
一心に 泣いたのではなかったか
*
あ
あ あ
....
夢から覚めると
現実に囲まれる
自分の中にあるものが
現実になって現れる
自分だけの人生
ポジティブ思考が
良い現実を生み出す
豊かな世界が
現実というキャンパスに
描か ....
あじさいは
梅雨の
花房
時の静謐に
心の寂寥
抱え込み
うっとり
薮に
踏み込めば
赤々と滴る
薔薇の花、
また薔薇の花
此処にも
季節の快楽
眩めき
....
不確かな旅
羊水に揺られる小舟が
血管の糸できた繭を乗せていたことを
生きる中で傷を受けるたび
思い出す
その糸は長く延びていて
誰かとつながっていたはずだった
それは血を分けた誰 ....
あの時
あの空の下で
交わした約束
お互いに忘れるはずがない
離れていてもあの約束が心を繋ぐ
あの時
あの空の下で
見つめた夕陽
今でも昨日のことのように
鮮明に覚えてい ....
六十四歳になってしまった
今更
文学への高い志しなんて持ってないよ
ただただ
インターネットいう海に
言葉の葦の舟で漕ぎ出しただけ
もしかしたらその行く末は
砂漠の果てに打ち上げられ ....
枯れ葉の積もる森に
文字の消えた石が
鳥の声を聞く
古代の魂が消えることなく
森の天井にこだまする
胡桃の樹が森の水で
実を作り分け与える
今はもう誰もしらない
森を走 ....
鬼灯が吊るされ
静かに照らされる
花びらの椅子に座り
スピネットを弾き
森の詩が風に乗せられる
橘の香りがする
ゆるやかな甘い言葉
人の目には映らない
想念にも似た世界 ....
あじさいの花房は梅雨の色
差し出した手を青くして
この七月の静かな一時
あなたは寂寥と戯れる
うっとりとした顔で戯れる
時は輪切りにされ垂直に立ち
....
吹き硝子、
転けて
林檎、と
呼びます
たなびく夏の草影に
そよかぜが
うつくしい少女に
恋をした
その長い黒髪に
ふれたとき
あらいたての
シャンプーの残り香のような
フローラルな香りが
ただよい
....
都市伝説じゃなかった。
文字通り、地方か田舎の伝説。だから、信じるもよし信じてくれなくてもいい。
俺の父親はちゃぶ台のひっくり返しが好きだったみたいだ。頑固一徹で癇癪持ちで我が儘で無類の酒好き ....
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