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その者はすべてを悲しくひきよせるという
そして誰も味わえない果実を実らせている
たったひとり)

わたしは{ルビ縁=ふち}の無い波紋であり
行くあてのない
昨日が
おいでおいで
と手招 ....
空虚な腹部で
命と鳴いている
今日は夏だ
われんばかりの空だ
あぁ、こぼれてゆく

大地の精霊を
宿す
からだは
青空のもとで響く
首すじに光る雫を
ハンカチーフにすっと吸わせる ....
あわく光の閉じられた
空のもとを
一羽の紋白蝶が舞っていた
しばしそれは
重い熱風のあわいを
ちらりちらりと映えて
切れ切れに風を読んでいたが
霊園の奥深くへ とけていった

さて
 ....
 は、真空の一点で凝縮し続ける無言する{ルビ性=さが}である。



仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
{ルビ濃紫=こむらさき} ....
   {ルビ異花=ことはな}の{ルビ雲夜=くもよ}にしんわりんと咲き


翼よ
きみはなぜ
はたたくのか
熱く青くはためくからだ
その空間を根幹となし
風の性霊を動力とするためか
花 ....
初めての海で
吸いこんだ
風のにおいはふるさとのようで
わたくしは、ただ
何万年も佇んでいたような砂浜の印象へ
飛びこんで
いまこの波の揺らぎに没しようと

荒れんばかりの幾多の波の
 ....
とどかなかった、星の下
遠雷の近づいてくる夕べ
雲がますます色をなくし
このからだの重さに形をなくし
響くのは指先の細くなぞる唇の遠い約束
の紅さ
ずっと忘れずにいたのは
鮮やかに流れて ....
早朝の
夜が やっと明け始めるころ
眠りから覚めた
鳥たちが挨拶を交わし始めるころ
色白の
肌が青白く影を帯び始めるころ
私は、

私自身の気配にかすかな境界を感じ
縁側でぽつねんと ....
お人形と
お気に入りの
絵本を
雲間で
読み終り

障子に透ける
西日の淡く
映るところへ
夢想の焦点残照と
お散歩?
お部屋をくるぐる旋回
お話をお人形のお早うへ

あな ....
朝の空気の
光に濡れた
清々しい香気に、
私の五感はしとしとと沈み{ルビ水面=みなも}をみあげる重く熟した金属の愁い。

空間をよぎる
不透明な視線は、
無知な陽炎となってさえずり虚空を ....
遠い
いつになく
ほそく笑む
青ざめている唇に
小指で すっと紅をさす
星は 、
籠の小鳥と目が合った
さみしい というわけではないけれど
痛むのはなぜ
こんなにも嬉しい朝なのに震え ....
夕焼けに
うす紫に染まった
ほほにひとすじ
熱いものが流れて
小さな手のひらで顔をおおう
影が淡く
暗い血潮へ暮れてゆき

無器用な翼の
色調不明する鳴き声が、
空ろに響く
指の ....
夢のつづきを上映なさる、
あめ色に半透明な
翅のスクリーンに

隙もなく並べられた円卓が。
潤む瞳、
凸レンズ式の

灰皿におとした視線に煙り
鉛の筆跡で笑えず。
夕べは、霧の森で ....
私が、いくら黒ずんだところで
霊を量れることはない
一度たりとも零さずに{ルビ口遊=くちずさ}むことなどありえない

月が、いくら青ざめたところで
距離に近づくことはない
離れるばかりで引 ....
星の茂みの広がる{ルビ遠音=とおね}の空で
回音をのぼりつめて円頂で弾け

ふくらんでゆく
重い光で発散しながら
無重力して律動する心臓
瞬く今晩は

{ルビ青柳=あおやぎ}に迷蝶がさ ....
陽子は、すっと敷居をまたぎ

玄関を通りぬけ門をくぐり

香気ある光の朝にあいさつをした


罪とはいつか
姿なく大地に影をおとすような
色なく野原に咲きほこるような
清々しい朝日 ....
濡れはじめた空が
歌をくりかえすのに
私はピアノを弾けないでいる
雲が沈み雨音が遠くなり
やがて射しこむだろう光に
伸びた髪をさらす
地上が反転する雫のなかで溺れる
鳥の影が風に波打つ
 ....
在る

始まって以来続いてきて
この枝の伸びやかな道道に
茂る葉の呼吸は瑞瑞しい

それも
小雪のちらつく昨夜の雲上の月も
陽炎のゆらめく送り火も
私を育ててくれる花娘

季節の ....
うすい鎖骨の層をすべり落ちるひとつの円く欠けた球体
それが、

あら
早いのね
雲はしびれて そろそろ雨の匂い
届かなかったのね
手を伸ばしても 反射する灰色の空気を泳ぐ
稚魚の透けた ....
つみかさなっている遠さの てっぺんに憧れ

冷え切った形の流動する 煙仕掛けのからだ


あら、今日もあいさつをしている朝焼け


分解の森でうすわらい 月の咆哮の真空放電にしびれる華 ....
幽かなる種の話

そわりそわりと忍びこむ
小さく微動している夜の心音

紺碧の深さに丸く亀裂が走り
静かに芽吹いてゆく密かな呼吸

たらりたらりとしな垂れる
遠く木霊している風の鮮血 ....
まだ見たことのない

果実に境界線を張り

流漂する異国の砂漠

三日月が蒼く涙する

空で暗雲が轟き裂けて

光速でかおるレモン
私は、何処へ行くのだろう
やらなきゃならないならない
お墓に入ったからって終りゃしない
だからってその後は知らない
失礼だわねぇ
カラスの伝導師
あっちむいてほい
眼鏡をかけなおす
夕 ....
ひらひらり
ひらひらり
なんと翻る
雫に映る視線

あざやかに澄んで飛び立つ冬の真中へ
そろそろと気配が生まれてくる
(春の音 春の音)
さらさあさ

今日は曇りのち雨でした
しっとり雨水 雨水

夢でも見ているのでしょ?
ええはい

鈍色の季節にたつ 青く震える幽か ....
日はこの時ついに陰ることはなく

交叉点の信号が
青ざめて進めという
曲線に添った産声が
白い手で羽ばたき
円周率へ視線をおくり

目をふせた
ふせないで
みつめて
林檎の赤
 ....
あの日の筆圧で
定着したインクが
原稿用紙の余白に
青くにじんでいた

その万年筆の字体は
水性の化石だった
硬質のにじみの層は
幾重にも連なったブレストーン

そこでは私の声もに ....
空から音も無く降る雪の
つもる速度のいじらしい熱

ちょっとまえの流星は
乾燥した鋭い声で失礼のないように
(絶望はできない。
と軌跡をのこし消えていった
このとき雪はしゃららららん
 ....
いつのことでしたか
忘れてしまいましたが
絶句したその無言の先に
あの日がちらついていたのは、確かです

日溜りの微笑む
静けさのなか
涙は花ひそめ
無表情に泣いていました
それはか ....
絶望さえ透けていく
初夏の陽射しのもと
雲へ手をふり
永遠する未完の涙

生れ立ての傷が
{ルビ鎖状=さじょう}に結晶し
{ルビ手鞠唄=てまりうた}に弾む午後
幼き声の純粋にひそむ響き ....
たりぽん(大理 奔)さんのこしごえさんおすすめリスト(148)
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