無声
こしごえ

 は、真空の一点で凝縮し続ける無言するさがである。



仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
濃紫こむらさきにゆれて立っていた
(うふふ)と

((う)
螺階を降りていく音が
胸中に響き
一段ずつ
過去を落してゆく

しかし
どこまでも近づくことのない底である
その上
上を見上げれば眩しいばかり たまらず
えいや
との声に立ち止ったりしてみせる
がここはどこだろう
たしかに私は階段をおりてきた
がここはどこだろう
時間に逆らえないでいる生き身は
ここと等しい惰性で下降線を描くばかり

爪先がちんまりと
そうだ凍えつつある
秘密をした唇を閉じたままなのだ
今にも溢れ出そうと
いつまでもとどまっている内圧に
遠くで星が鳴いている
(ふふ))

暗闇へ歩みより
その手をとって
満天の星空のもとを
ふたたび進み始めると
空白を打つ
深い静けさが
この小さくて冷たい手から 伝わってきた
(ご一緒にいかが?)
あなたが、鳴いているのでしょうか
暗く重く熱く








自由詩 無声 Copyright こしごえ 2006-07-24 16:00:00
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