もう二度と歌は歌わない
そう決めたのは
合唱コンクールの練習の時
隣の子がクスッと笑ったから
以来本当に僕は歌を歌わなかった
音楽の時間は口パクで通したし
歌のテストの日はズル休みをした
....
私は神をみたことがないけど
だれの仕業か
赤く染まってゆく山が
恐ろしくもあり
くる冬の
白さが恋しくもあり
私の中の
赤も白もまたあることを想う
僕、私、俺や自分が世界中に溢れてる
そんなありふれたものじゃないと
私は誰かさんとして
生きてるわけじゃない
名前を知ってる
生まれた時も場所も
そして自分を知ってる
私は私として生きて ....
徹夜明けで深い眠りのはずが
妻の巨大な鼾に起こされた
鬼の居ぬ間の洗濯…
そんな言葉が鼻先をよぎる
買い物ブギなぼくは
一日のうち5%程度はスーパーで過ごしたいのだけれど
鉄拳宰相はそれを ....
“相手とコミュニケーションが取れない
この作戦は決行するしかない
我々には戻る場所が無くなった
補給する術も材料もない
我々は戦うという選択肢を取らなければならなくなった
この暮らしを守るた ....
流れ星を数える夜は
一人寂しく冷たい黒
おやすみのあとの秘め事は
誰にも気付かれない
空の星を金平糖にして
食べていることも
誰も気付かない
約束したのだ
海のクラゲと
星がいな ....
空の色が無くなり
銀盆のような
アルミニウムの月が昇っていた
少し戸惑いながら
東の空を眺めていたら
雲霞のような
鳥の群れが
北の方角を目指している
不思議ではないのだけれど
ぼく ....
死んでないよね
生きてるよね
返さなくていいから
生きていることだけ
知っていけたらいいのに
幸せだよね
笑っているよね
傍に居られなくてもいいから
あなた ....
邪悪な自分が
恐ろしい
闇に埋もれた暮らしがイヤで
太陽の下に
憧れたのに
普通がいいって
普通を選び
普通だなって がっかりしてる
行きたい場所がある
フェンスの多分向こう
標識は黄色か赤
越えてはいけない場所だった
死んだトモダチが
みんなそこにいて
おまえもか
って笑ってる
警告はみんな受けた
でもみんな境界 ....
一等星か
人工衛星か
わからないから
嫌なんだ
この時代は
虚像が眩しすぎて
たどり着きたい未来を間違える
俺達は
まるで
月に向かって飛ぶ
命知らずの虫みたい
例えば、それは記念日の夕食の
テーブルにある蝋燭が照らす淡い瞬間
ワインで少し赤くなった顔が綻ぶ瞬間
例えば、それは久しぶりに家族で行く海外旅行の
澄み渡る天の青を仰ぎみる瞬間
遠くに見える ....
歩き、走り、止まり、戻り
止まり、走り、歩き、戻り
走り、歩き、戻り、止まり
歩き、戻り、止まり、走る
狡猾であり
幼稚でもある
すべては悲しく美しい
そう
狡猾であり
幼稚なのだ
幾日も
幾年もかけて
日が沈む
その終末の真っ赤な空を
眺めては小さな飴を頬張るように
感慨に ....
バロックの符号は今も新しく
私を魅了する
彼と私には何の関係もないのに
私は彼に魅了され続けている
彼は神という存在を啓示した
私は仏という人間に指をさす
交わることはあるのだ ....
湯豆腐の季節がやって来た
鍋を挟んで
小学校以来のお前の顔が
ようやく和らいできた
俺は少し安心した
話す言葉はすべて昔の想い出ばかり
繰り返し
繰り返し
語りながらも飽くこと ....
ヨラさんは小児麻痺だった
ヨラさんはよく笑った
ヨラさんはそのたび涎を机に垂らした
ヨラさんは頭が良くてクラスでいつも1番だった
僕はヨラさんを笑わせるのが好きだった
僕はヨラさんの涎を ....
針を指先に刺して、
血の花を咲かせるように、
ことばを呼ぼう。
浮かんでは消えていく気配が、
幻聴によく似た囁きに呼応する。
....
もし悲しみに襲われた時は
楽しかった時を思いだして
笑えばみんなが笑う
でも泣いてしまえば
みんな泣いてしまう
どんなに悲しい時が訪れても
笑顔を忘れないで
秋と冬の境目の
限りなく冬に寄り添う秋だから
ならべてみたくもなる
あったかいものをしこたまに
{ルビ炬燵=こたつ} 湯たんぽ 綿入れ{ルビ袢纏=はんてん}
焼き芋 甘酒 鍋料理
{ルビ熱 ....
過去の僕は死に
今の僕はここにいる
未来の僕はどこにある?
波間を縫うように
飛んでゆくトビウオになれたなら
ぼくはどんなに幸せだろう
七海を越えてゆく君たちの喜びが
ぼくを透明にしてゆくんだ
やがては鳥に進化してゆく君たちと
ぼくは一緒になり
....
うちのカレーライスはどうも美味しくない
横丁を曲がる瞬間に匂うカレーが誘う
どんな奥さんが作っているのだろう
どんなルーを使い
タマネギをどれだけ炒め
出汁は鶏ガラと鰹節にアゴ出汁だろう ....
夜に濡れたサックスの音色を聴けば
漆黒の街に出かけたくなった
その交差点は左だけが何時も赤だったので
曲がった事はない
カチカチと聞こえる音が脈拍と呼応したので
信号無視をして左に歩いた ....
冬が嫌いなのは
寒い夜に
暖かい思い出ばかり
思い出すから
父は
猫と一緒に
いつまでも
コタツに座っててくれると
ずっと信じてた
換気扇がぶっ壊れて
機関車みたいな音がする
台所であなたと目を合わせたら
困ったような笑顔がどこかへ旅立つ
暮らした年月を
思い出させるすべての劣化
年をとったわね
夜
....
天国の階段を昇り
ノックをすると
やがて現れた番人のような
存在は真っ白輝いていた
影は何処にもない
直観は脳髄に走った
来てはいけない世界
案内を受けて
入った神殿には
....
酸性ガスと
アルカリガスの
満ちた路を彼らは
サイレンの響きに誘われながら
長い行列をなして
飽くこともなく歩き続ける
彼らに与えられるのは
社員食堂の定食の喜びだった
昨日はデミ ....
ゆらり ゆらゆらと
泳ぐ魚たちは
英霊たちとともに深海を彷徨い
拠り所をさがしていた
命の点滅をさがしながら
大きく口を開いては
暗い海底を彷徨う
彼らは決して浮上することなく
....
それは病理の感情
刹那的は喜びがエネルギーを放出する
我ら生き抜くために今日も病んでいる
未来に恋する現実は重労働を国民に課す
100年後、今の時代は何と名付けられるだろう
この病理と生 ....
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