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空虚が扉を叩くので
愚かにも私はまた、
鍵を開いてしまうのです

生まれたての悪魔は
私の恋人達を連れ去っていきます
暫く経てば私を忘れて
皆幸せに暮らすのでしょう
(きっともうすぐ春 ....
そしてライラックは飛んだのです
{引用= 恋人を探しに?
いいえ
思い出を探しに?
いいえ}
芽生える緑に、もうもたれかからずとも
新しい世界を知ることができるように
すり減った若さを残 ....
灯台みたいに光る目と
夜空を照らす回る首

両手は常に塞がっています
だって、なにが起こるかわからないでしょ
いつだって捨てられないもので手が一杯なの

{引用=お馬鹿さん
どんなに利 ....
角砂糖ひとつ分のダリで歪んだ
そんな私の記憶の個室
父が一杯の水を差し出す
母が一輪の花を差す
それがかつての始まり
最後に望む光景

角砂糖ふたつ分のダリで歪んだ
そんな私の記憶の個 ....
私がとても遠いのだと思っていた人は
すぐ目の前にありました
なぜならその人は海だったのです

必要とあれば向こうから
そうでなければひいていきます
私がどんなに駿足でも
どれだけ望みを握 ....
冬の間、生活していると
だんだんと埃まみれになってきて
粉糖をまぶしたケーキみたいに
頭の先からアルプスのよう
そんな時に誰かがやってきて
ふーっと吹いて埃が舞って
中から出てきた蓋をあけ ....
天使と間違えられた悪魔が
今まさに翼を拡げて地上を去るところでした

人々の彼への愛は(またはその逆も)確かだったはず
なのに彼の血が自分達と違うのを見ると
一同揃って鍋に蓋を閉めました
 ....
宇宙から地上へとのびる滑り台を滑り降りて僕らは生まれた

あまりはっきり覚えてないけどあの光景をもう一度見たいから

僕らは長い時間をかけてより高い宇宙への階段を登ってる
拳を握り立つ女の背中の弓が跳躍する
大地のステップをくぐり抜け
夕映え瞳の奥
火燃ゆるその矢が到達すべき心臓へと導かれ
まさに射抜くのを誰もが目撃した

唇は乱れひとつなく
確信が彼女の ....
舞台の緞帳はいよいよあがり

しかしその舞台のうちで更なる幕は開かれる

改革は合わせ鏡

今や幾重にも続く世紀の幕開けに

観客は右に左に首をかしげ

出演者達は台本を忘れ

 ....
私の中の音楽達は皆
荷を詰め込んだトランクをもって出ていきました
だから今は
産まれたてのように静かです

ただ目に映る春をのぞいては
先天的な性質
どんなに抗おうとも
それはシーツの上での舞踏に過ぎない
反響する命の別名を半分だけ受け継ぎ
残りの半分は空気との親和にくれてやる

後天的な性質
魂である影を捨ててまで欲す ....
別に空が切り取られた訳じゃない
むしろ高層ビルの群れは空を望んだ形だろう
人が地上に建設した願望の手
その指先に立って手を伸ばしてもまだ届かない
屋上でも地上でも
見上げることしかできない
 ....
パンと珈琲と絶妙な目玉焼き―
それだけで

眼差しと沈黙と即席の悪意―
それだけで

唇と両腕とベッドの上で呼ぶ名前―
それだけで

朝と昼と自分だけの夜―
それだけで、十分だなん ....
ひとつ花のアンビバレンス

嫉妬を誘うアマリリス

物憂気なアピアランス

砂漠のようなアンビエンス

夜に潜むアンタレス

群れる羊はアクイエス

耳打ちしたのはアスタロス
 ....
やたらと動きのよい男は
チーフを取り出して涙を拭う
そして顔を傾けて囁く
女は台本通りに今宵二度目の愛を誓い
嗚呼、悲劇などないのだ、と


そして舞台袖の暗がりでは
黒髪を撫でつけた ....
{引用=先生、いかがお過ごしでしょうか。
こうして便りを書くのも久しぶりですね。
思えば立ち止まって振り返る度に、
僕はこうして先生へ手紙を書いている気がします。}


あの頃、先生がいな ....
笑うことが苦手な君は()の中で笑っている

掴んだ言葉や色を

悲しみの下地に上塗りする

黒の透けた白い肌が

本当の君から目を反らす

人々は摘んで食べては

口々においし ....
{引用=最後に}


本当は星なんて見えていなかった
ただ、そう思うことで
楽しんでいたかったんだ

そう

どんなに空虚な嘘でも
信じることでそれが扉になった

でも開くには ....
君がすっかり冷ましてくれた空は
ベルベットのように濃紺
余映がまだ少しオレンジがかっているけど
その独りよがりだった熱も
直に消えてしまうでしょう

どうかしていた、
どうかしていたんだ ....
あなたの部屋にどういうわけか
一本の木が生えてくるでしょう

勘違いしてはいけません
それを自分の一部なのだと
脈を通わせてはいけません
それがたとえ同じ血をひくものだとしても

それ ....
そんなことはない、が
結局は開かれることなかった口の内側で吠えている

不便のないところでは
それがどんな狂犬だろうと
誰かしらがいい薬を処方してくれるでしょう
それで利口に生きていける
 ....
あなたは一輪の花をもってわたしのもとへとあらわれました

あなたは一輪の花をもってわたしに別れを告げました

わたしはまた新しい花瓶にその二輪の花を共に活けるでしょう

そして同じように水 ....
{引用=きみは涙腺を狙っているのかい?
それとも胸の奥を爆発させようとでも?
いずれにしろ致命傷は免れるだろう
僕を本当に殺したいのであれば}

ある時から、
脳を押しのけて頭蓋骨の中に
 ....
君は僕に喉が渇いているのか、と聞いた。
乾いている、と応えると
君は持っていた一杯の水を
砂の上へとすべて零した。
形を崩して落ちてゆく様を綺麗だと思った。
潤っていく砂はまるでそこだけ生ま ....
その日、誰かの足の裏を見つけた
それは画家の自画像のように剥き出しで
裸足であることがこんなにも美しいという衝動
初めて僕の中に生まれたのかもしれない
それは、離れない

空気が重なった力 ....
今日の夕食は、牛のステーキだった
レアにしろ、ミディアムにしろ
それはもう食べ物にしか見えなかった
それはほんの少し、葡萄畑の匂いがした
僕達は一瞬だけ、目一杯の緑
風を感じてしまったのだ
 ....
ある葬儀の前に、
友人と珈琲を飲みに行く。

こんな機会というのもなんだが、
久しぶりの再会で
互いの変わりようについて話をする。

あいつは煙草と一緒にサックスもやめたそうだ。
俺は ....
坂の途中で電車を眺めたあの頃の独り
緩やかなカーブで、芳ばしい匂いのするwindsを過ぎて
ブランコのあるLEMONが見えてくる
手前の鞄屋のおばさんに声の要らない挨拶をして
少し早い時期に紅 ....
{引用=もし、もしいつか自分が子供を持つことになるのであれば
まずはじめに、土を踏ませてやりたい}

親鳥のもとを離れ旋回する羽は
ふわりふわりと人の波に襲われ
海は、海はまだかと
空は、 ....
鵜飼千代子さんの瑠王さんおすすめリスト(32)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
孤独の成り立ち.二- 瑠王自由詩721-1-31
眠れぬ夜の下絵_(1- 瑠王自由詩6*13-1-12
愛でる手- 瑠王自由詩6*10-7-27
記憶の個室- 瑠王自由詩9+*10-7-22
潮と月と人間と- 瑠王自由詩14*10-7-16
埃まみれの_#2- 瑠王自由詩5*10-7-7
翼を持つもの- 瑠王自由詩6*10-6-7
滑り降りてくる輪廻- 瑠王自由詩5*10-6-3
拳を握り立つ女- 瑠王自由詩4*10-6-2
緞帳はあがり- 瑠王自由詩4*10-5-21
代謝- 瑠王自由詩7*10-5-17
コーラルの森- 瑠王自由詩9*10-5-7
東京- 瑠王自由詩7*10-4-20
贅沢- 瑠王自由詩7*10-4-19
明日- 瑠王自由詩4*10-4-16
観劇- 瑠王自由詩9*10-4-14
こころについての手紙- 瑠王散文(批評 ...4+*10-4-8
いつも()の中で笑っている君が- 瑠王自由詩8*10-4-5
星の消えゆく朝より_(4- 瑠王携帯写真+ ...4*10-4-3
君がすっかり冷ましてくれた空は- 瑠王自由詩9*10-3-31
悪意- 瑠王自由詩6*10-3-26
ありったけの花束を- 瑠王自由詩9*10-3-20
ambivalence- 瑠王携帯写真+ ...4*10-3-18
太陰潮- 瑠王自由詩6*10-3-16
そして君から九番目の詩- 瑠王自由詩5*10-3-12
重なった力の上を連続してゆく- 瑠王自由詩6*10-3-5
食卓で泣いた日- 瑠王自由詩12*10-3-2
気晴らしのための下絵(4_゛詩人゛- 瑠王自由詩8*10-2-27
マロニエ通りを歩いた頃- 瑠王自由詩7*10-2-25
本当のことを知りたい- 瑠王自由詩12*10-2-18

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