そして君から九番目の詩
瑠王

君は僕に喉が渇いているのか、と聞いた。
乾いている、と応えると
君は持っていた一杯の水を
砂の上へとすべて零した。
形を崩して落ちてゆく様を綺麗だと思った。
潤っていく砂はまるでそこだけ生まれたかのようだった。
この広大な砂漠でヒトが最も潤う方法なのだと
君は言った。

僕らはやがてヒトの隊列を離れて
君のそうぞうした宇宙を考えていた
君は僕に望んでいるのか、と聞いた。
望んでいる、と応えると
君は僕の眼を閉じてしまった。
誰しもが自由な闇を持っているのだと知った。
それは存在しながらも
やはりそこには何もないのだ
と君は言った。

そう、なかったんだ。
眼も、口も、手も、足も、
君も。


そして君から九番目の詩は
形を変え、今もあやまって語られている。
本当に読み解けるのは、君しかいないのにね。



自由詩 そして君から九番目の詩 Copyright 瑠王 2010-03-12 18:32:42
notebook Home 戻る