拳を握り立つ女
瑠王

拳を握り立つ女の背中の弓が跳躍する
大地のステップをくぐり抜け
夕映え瞳の奥
火燃ゆるその矢が到達すべき心臓へと導かれ
まさに射抜くのを誰もが目撃した

唇は乱れひとつなく
確信が彼女の骨に肉づき
黒い滝の髪に生命が模される
光る銀食器のような視線
しかし潤う露がその頬に降り立つと
すでに世界は彼女を愛していた

群れる狼は女の強さを知り
夜を待たずして月に吠え
そして本当の支配者が誰なのかを知る




自由詩 拳を握り立つ女 Copyright 瑠王 2010-06-02 23:17:42
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